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メンマは発酵食品です 〜メンマ作りと異臭の衝撃〜

ラーメンの具材でおなじみ、そのままおつまみにしても炒め物に使っても美味しい食材、メンマ。
このメンマ、発酵食品だということをご存知でしょうか?
物心ついた時から知っていて、なんならラーメンの具材で二番目に好きなメンマが(不動の一位は味玉♡)実は発酵食品だったと知った時の衝撃は凄まじく、それを知ったきっかけが何だったか全く思い出せないほど。つい最近のことだったのですが…

興味がわいたのでメンマについて調べていると、どうやら自家製できそうな気がしてきました。
折しも皮付きの生たけのこが出回る季節。
せっかくなので、生たけのこからメンマを作ってみることにしました!

1.メンマについてお勉強。

まずはメンマについて知りましょう。

春先に日本で出回る生たけのこ。これは一般的には孟宗竹(もうそうたけ)という種類ですが、メンマには麻竹(まちく)という種類のたけのこが使われています。世界には約3000種類の竹があり、食べられるものはそのうち約300種類。その中でもメンマに適しているのは麻竹だけなんです。

メンマはかつて中国南部や台湾で食べられていました。収穫した麻竹を蒸し、塩漬けにして密閉状態で発酵させ、天日乾燥させたものを味付けして作られます。

日本で消費されているメンマの99%が中国や台湾からの輸入品です。
しかし日本には、放置竹林を整備・活用する目的で孟宗竹からメンマを作っている企業があるそうです。

麻竹は入手困難ですが、孟宗竹なら3月から4月にかけてスーパーの店頭に並んだものを買うことができます。
では、作ってみましょう!

2.イチからメンマを作ってみる。

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たけのこです。近所のスーパーで購入しました。

たけのこは、切り取って収穫されるとえぐみの原因となるアクが出始め、時間の経過と共にどんどん増えていきます。そのため、たけのこを手に入れたら速やかにアク抜きをしましょう。

アク抜きは米ぬかを使う方法が一般的です。具体的な方法はインターネットで検索するとたくさん出てくるので、ここでは割愛します。
ちなみに私が参考にしたサイトはこちらです。

アク抜きが完了しました。
皮をむいて太い箇所の黒いイボイボを取り除き、通常の料理に使える状態にします。

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では、メンマ作りの工程に入っていきます。
いろいろ調べたのですが、さすがに発酵から解説してくれるメンマの作り方はあまり見つからず、見つかったとしても今ひとつ…
なのでこれから自家製メンマに挑戦する猛者のために、私の経験をふんだんに盛り込んでメンマの作り方を説明していきます!

《材料》
たけのこ(アク抜きして皮をむいたもの)
塩 たけのこ重量の20%
《作り方》
① たけのこを食べやすい大きさに切り、計量して塩を用意する。

切り方、意外に悩みます。
まずは穂先と下の太い部分で分けるように横半分に切り、穂先は縦に放射状に4〜6等分、太い部分は5mm幅程度で薄切りにしました。大きいものはさらに短冊切りにして、ちょっとメンマっぽい形状にもしてみました。

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切っているうちに、たけのこの内側(層のようになっているところ)からも、アク抜きの時に入り込んだ水が出てきます。その水気もキッチンペーパーなどで取り除いてあげて、たけのこを計量して塩を用意します。

写真のたけのこ2本で374.5gだったので、塩は74.9g用意しました。

② 保存袋にたけのこと塩を入れて、塩が全体に回るように軽く揉んでなじませる。袋の中の空気を抜くようにして保存袋の口を閉じて、常温に置いておく。

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たけのこを塩漬けにして発酵させます。
どのくらい置いておけば発酵するのかは…正直わかりませんでした。私が調べたレシピでは3日と書いてあるものもあれば、1ヶ月置いたというものもありました。
状態を見ながら次の工程に移るタイミングを量ることにしました。

3日経ち、1週間経ち…ほとんど変化は見られません。
水分が出てくるので、塩水が全体に回るよう、様子を見るたびに袋の上下を返します。
本当に発酵してくれるのでしょうか。

たけのこのことをほとんど忘れかけていた12日目。

異臭がします。
どうやら、たけのこの袋から漂ってきているようです。

どんな臭いかというと、納豆臭。よく見てみると塩水が若干白濁しています…

私はそっと袋を手に取り、冷蔵庫の野菜室の奥へとたけのこの袋をしまいました。
臭いものにはフタを。
ヤバいものは冷蔵庫に。
反射神経的な行動でほとんど何も考えていませんでしたが、ひとまずたけのこに起こっている変化を止めるため、低温におくことにしました。

動揺する心をなだめながら考えました。
発酵と腐敗は紙一重です。微生物のはたらきによって人間にとって好ましい変化が起きれば「発酵」、害をなす変化であれば「腐敗」ということになります。

納豆自体は食べることができますが、たけのこから納豆の臭いがするというのは正解なのでしょうか?私が調べた数少ない発酵メンマのレシピをくまなく見ても「納豆の臭い」と書かれたものはありませんでした。

このまま常温放置を続けたとすると、納豆臭は強くなっていくでしょう。私は納豆嫌いというわけではありませんが、これ以上臭いが強くなれば生活に悪影響を及ぼしかねません。

たけのこを冷蔵庫の野菜室へ押し込んだ5日後(そんなに放置してたのかと自分のことながら驚きました)意を決して、メンマ作りの次の工程に移ることにしました。

③ たけのこの水気を取り、天日乾燥する。

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たけのこをざる上げしました。相変わらず納豆臭は感じられますが、たけのこの外観は問題ありません。余計な水分が残っていると天日乾燥に時間がかかって効率が悪くなるため、そのままキッチンペーパーで一つひとつ丁寧に水気を取ります。

その昔100均で購入したカゴにたけのこを並べて、物干し竿に吊り下げました。場所が悪くほとんど陰干しのような状態ですが、まあ良いでしょう。

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たけのこは1日中干しっぱなしにせず、夕方から夜間にかけては家の中へ取り込みます。夜になって気温が下がり夜露が発生すると、乾燥が進まないだけでなくカビが生えてたけのこが台無しになってしまいます。

ここで、再び壁にぶち当たりました。
どのくらい乾燥させれば良いのかわかりません。
4時間と書いてあるレシピもあれば、4日というものもある。そもそも天日ではなくほぼ陰干し…
また様子見です。

ほぼ陰干し4日後。

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状態を見ると、全体的にまだ水分は残っていますが、端のほうは水分が抜けてしなしな縮んでいます。
存在を忘れるくらい放置して納豆臭を発生させてしまったという、たけのこに対する負い目があるので、今度はヤバい状態になる前に手を打ちたい。

ここで次の工程に移ることにしました。

④ たけのこをボウルにためた水に12時間程漬け、ときどき水を変えながら塩抜きをする。

たけのこは工程②で塩漬けにしています。このままでは塩辛すぎて到底食べられません。
たけのこは重量の20%という高濃度の塩分に浸かっているので、浸透圧により細胞には原形質分離が起きています。そのため細胞内外で水分や塩分の移動が自由にできる状態になっているので、真水に浸しておけばたけのこから塩分が自動的に抜けていってくれます。

ただ一度水に浸けただけでは、たけのこの塩分によってできた塩水にたけのこをつけているだけの状態なので、たけのこの塩分を完全に抜くことはできません。完全に塩分が抜けないと、この後の調味工程に影響が出てしまいます。
何度か水を変えて、完全に塩分を抜きます。
私は3回ほど水を交換しました。

完全に塩抜きができたかどうかは、実際に食べてみるのが一番です。

⑤ 塩が抜けたら④をざる上げし、味を付ける。

検索すれば水煮たけのこからつくる(発酵させない)即席メンマのレシピはたくさん出てきます。それらのレシピを参考にしてお好みで味付けしてください。
ちなみに私が参考にしたのはこちらです。

お疲れ様でした。発酵メンマの完成です。
アク抜きから数えると、22日かかりました。

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3.自家製メンマを食べてみた。

いよいよ実食です。
発酵・乾燥という工程を経ていないたけのこと比較してみることにしました。(比較したたけのこは皮付きのものをアク抜きしていますが、味付けは若干異なります)

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写真左が今回作った自家製メンマ、右が味付きたけのこです。
見た目はメンマっぽく仕上がっています。
が、食べてみるとよく知っているメンマとは明らかに違います。メンマのくったりやわらかくも、筋を感じる独特の食感とは違い、比較した普通の味付きたけのこと同じような固くてしゃきしゃきした食感です。

平和な我が家に衝撃が走った、納豆臭…
もう返ってこない、22日という時間…

呆然とする私に「でもこっち(自家製メンマ)のほうが味がしみてるね」とフォローする相方。
まあそうでしょう、なんせ原形質分離してますから醤油もみりんもしみしみになるでしょう。

美味しいんです。味付けは美味しいんですけど、期待していたような食感のメンマにはなりませんでした。作る手順は間違いないはずです。ではなぜ、メンマらしいメンマにならなかったのでしょうか?

次回、考察・反省編に続きます。
これから自家製メンマ作りに挑む方々は乞うご期待。

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