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プロテイン初心者のための プロテインの選び方と使い方

最近は、コンビニでもプロテインが販売されるぐらい一般的になってきたような気もしますが、まだまだトレーニングをしている人が飲むものと思っている方は多くいます。

また、プロテイン商品の多くがトレーニングしている方向けに作られていたり、トレーニングしている方向けの記事が多いように感じています。プロテインが一般的になってきたのも最近で、他の食品に比べて研究事例も少なく、まだまだその有効性がわかっていないことも多くあるのが現状です。

ただ、近年大豆ミートやコオロギ食などが話題になっているのは、世界的な動物性タンパク質の不足が要因であり、今後お肉やお魚に変わる代替たんぱく質の需要は高まってくると思われます。2023年の現在厚生労働省の発表では日本人のたんぱく質摂取量は、1995年をピークに1947年の戦後並みまで落ち込んでいます。

冗談で、「日本の失われた30年は日本人のたんぱく質不足が原因です。」なんてことをお客さんに話していますが、たんぱく質の役割を考えるとそれもあながち間違ってはいないんじゃないかなぁ…なんて思うことがあります。

今回は、私たちがなぜプロテイン製品を作っているのか、また、ソイプロテインをベースに作っているのか、女性や高齢者の方向けに作っているのかの原点として考えている、プロテイン(たんぱく質)について、プロテインを飲んだことがない人や、プロテインに偏見のある方向けに、プロテインの飲み方や飲む意味をまとめました。

プロテインのことをあまり知らない方にはぜひご一読いただければと思います。


1章 プロテインを飲むタイミングは?

プロテインは飲むタイミングが重要と言われます。そして、よく言われるのが運動後30分の『ゴールデンタイム』に飲みましょうと言われます。

なぜ運動後30分以内に飲むのが良いのでしょうか?それは、たんぱく質のカラダの中での使われ方に理由があります。

まず、たんぱく質をお肉やお魚、プロテインなどから摂取するとアミノ酸に分解されます。アミノ酸が塊になったものがたんぱく質です。お肉やお魚、プロテインというのはアミノ酸の塊なんですね。(アミノ酸以外の糖や脂肪も含まれます)

アミノ酸は血液の中に入り全身に回ります。血液の中にどれぐらいアミノ酸が入っているかというのが、血中アミノ酸濃度と言われます。この血中アミノ酸濃度が重要です。

アミノ酸は筋肉だけでなく、肌や骨のコラーゲンや酵素のアミラーゼ、血液のヘモグロビン、神経伝達物質のドーパミンやセロトニンなど色んなものに変化します。色んなものの材料だから、たんぱく質不足になると様々な影響がでるわけです。

爪や髪の毛のように肌も、骨も内臓も日々成長しています。成長しているというのは新しく作られているわけです。新しく作るためにアミノ酸が消費されていきます。消費されているのでとらないと足りなくなります。※1

筋肉は食事をしないとつきません

意外と理解されていないのですが筋肉は、運動だけでなく食事をとることで作られるということです。逆に言うと食事をとらないと筋肉は減っていきます。筋量は異化作用(空腹時、疾患、ストレスなど)という分解作用と、同化作用(栄養摂取、運動など)という合成作用のバランスによって一定に保たれています。※2

合成速度が分解速度を上回ったときに筋肉を増やすことができます。合成速度を上げる方法が、運動と食事なんですね。

筋力を保つには運動だけでもだめだし、たんぱく質が足りていなくてもだめ。

重要なのは朝のたんぱく質


■3食の食事におけるたんぱく質不足者の割合 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所調べ

次に昨今流行りのプチ断食やファスティングですが、個人的にはおすすめしません。食事を抜くというのは、筋肉を落とすことになりますし、根本的にたんぱく質が足りなくなります。日本人の8割以上の人が朝食に十分なたんぱく質をとれていないそうです。

夕食やトレーニング時にしっかりとたんぱく質が取れていれば大丈夫と思われがちですが、長崎大学と早稲田大学の共同で行われた、シニア女性を対象に3食のタンパク質の摂取量と骨格筋機能との関係性を調査した研究では、朝食で多くのタンパク質を摂取している人は、夕食で多くのたんぱく質を摂取している人に比べて、骨格筋指数や握力が高くなるという結果がでました。この研究により、1日のタンパク質摂取量に対する朝食でのタンパク質摂取量の比率と骨格筋指数が相関関係にあることがわかりました。※3

また、トレーニング時のプロテイン摂取がもっとも重要のように思われがちですが、タンパク質の摂取は3食バランスよく取ることがもっとも効率が良いということがわかっています。※4

運動の後のゴールデンタイム

■単回のレジスタンス運動後におけるたんぱく質合成速度の変化

次に運動の後のゴールデンタイムとして、30分以内にプロテインを飲みましょうということがよく言われます。その理由は、運動後1〜2時間でたんぱく質の合成が起きるからです。1〜2時間後なのになぜ30分かというと、ホエイプロテインは吸収されるのに1時間程度かかると言われています。この1〜2時間に間に合わせるのにホエイプロテインが良いと言われています。※4

ソイプロテインは吸収されるのに5時間程度かかると言われているので、1〜2時間後では間に合わないんですね。ただ、運動後の合成速度は1〜2時間だけでなく24〜48時間続くと言われています。グラフを見ればわかるように1〜2時間後に比べて多少下がりますが、あまり違いはありません。また、吸収されるのが早いということは、消化されるのも早いということです。

1日単位で考えると消化速度の違いはあまりなく、ホエイの方が筋肉量が高いという研究もありますが、変わらないという研究もあるので、運動後を意識しすぎるよりも、空腹の状態で運動しないことを意識する方が大事なんですね。

まとめ

・一番重要なのは3食しっかり摂ること
・空腹で運動しないこと

まとめると、いつどのタイミングでホエイかソイを悩むよりも、3食しっかり食事をして、血中アミノ酸濃度が落ちないようにしておくのが大事!ということですね。

2章 ホエイプロテインとソイプロテインの違い

先の章で、プロテインの吸収速度はあまり関係ないですよ。という話をしましたが、この章では、ホエイとソイの違いをもう少し書いてみようと思います。

最近は女性向けのプロテインとしてソイプロテインも増えてきましたが、販売されているものの8〜9割はホエイプロテインだと言うことはあまり知られていません。

プロテインは、ホエイ(牛乳由来)とソイ(大豆由来)の2種類が一般に知られています。

ホエイプロテインとソイプロテインの代表的な違いは下記となります。

ホエイとソイの違い

日本人ならおすすめはソイプロテイン

違いは表に記載したとおりですが、個人的には日本人であればソイプロテインをおすすめします。理由は色々とあるのですが、一番の理由は、『日本人の8割が乳糖不耐症』だからです。

乳糖不耐症というのは、簡単に言うと『牛乳が身体に合わない』ということです。よく「牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする」とか、「下痢になる」、「お腹が張る」という人がいますが、その原因として考えられるのが乳糖不耐症です。

乳糖不耐症なんていうと重い病気のようなインパクトがあるかもしれませんが、アレルギーではなく体質のようなものです。乳糖不耐症の人でも子供の頃からよく牛乳を飲んでいたりすると耐性が付きやすく、牛乳を日常的に飲むような人はほとんど感じなくなっていると言われます。

ボディビルダーやアスリートはホエイでも良い

表の内容のようにプロテインというとホエイの方が良いように言われていますが、使い方次第だと思います。

まず、吸収速度がホエイのほうが早いので運動後に飲むのはホエイが良いと言われますが、こちらは前の章で記載しましたのでそちらをご覧下さい。

次にアミノ酸バランスですね。よくホエイプロテインは、BCAAが入っているから良いと言われます。BCAAとはバリン、ロイシン、イソロイシンの総称です。ソイプロテインに入っていないのかというと、ソイプロテインにも含まれています。ロイシンの含有率がホエイに比べると低いのですが、代わりというわけではないですが、疲労回復に良いと言われるアルギニンの含有量はソイの方が多く含まれています。※5

■ホエイプロテインとソイプロテインのアミノ酸プロフィール※5

また、ソイプロテインは大豆由来でイソフラボンが含まれているところも魅力の一つです。

喉越しはホエイ

個人的には日本人であればソイプロテインをおすすめしているのですが、喉越しの面ではホエイに軍配が上がります。大豆の特性上ソイプロテインは、ホエイに比べると口溶けが悪く、ドロッとしているのが特徴です。

私たちの作っているプロテインスープであれば、ドロッとしているのがスープとしての魅力になり、食事としての満足感も高まるのですが、オーソドックスな甘いプロテインドリンクで考えるとソイプロテインは少し口溶けが気になるところです。

まとめ

ホエイプロテインとソイプロテインの違いについてまとめてみました。多くのプロテインメーカーがホエイプロテインを使っているので、ホエイの方がソイよりも優れているような記事が多いですが、しつこいですが、個人的には日本人はソイプロテインの方がおすすめだと思います。

プロテイン自体の研究もまだまだ少なく、中でも乳糖不耐症の人とプロテインの関係に関する研究はまだ行われていないので、どういった因果関係があるかはまだわかりませんが、日本人としてこの点は気になるところなので、今後研究したいと思っています。

3章 運動してなくてもプロテインは必要?

これまでの章でも少し述べてきましたが、プロテインの必要性についてのお話です。ほとんどの人がわかっていると思いますが、プロテインとは、“たんぱく質”のことです。たんぱく質の英語がPROTEIN(プロテイン)なんですね。

プロテインというと「鍛えている人が摂るんでしょ?」と思っている人はまだまだ多いですが、たんぱく質なので、当然すべての人に必要です。

たんぱく質は100億種類以上

たんぱく質と一言でまとめてしまっているから、誤解されると思うのですが、たんぱく質は数え切れないぐらい色んな種類があり、人間の体にあるたんぱく質だけでも10万種類以上あると言われています。

たんぱく質はアミノ酸の塊です。アミノ酸が数個くっついているものもたんぱく質ですが、数百個くっついているものもたんぱく質なんです。

アミノ酸は20種類ありますが、くっつき方は無限にあります。アミノ酸20種類の20乗でも天文学的な数になるので、全てのパターンを知ることはできないと言ってもいいでしょう。

筋肉を作るたんぱく質は、アクチンやミオシンというたんぱく質で収縮たんぱく質と呼ばれています。筋肉になるたんぱく質は10万種類のうちのいくつかでしかないんですね。

10万種類の中には、美肌や軟骨の元であるコラーゲンや、集中力やメンタルを整えるドーパミンやセロトニン、免疫を作る抗体などなど、数え上げればキリがありません。10万種類というのもそれぐらいあるんじゃないかと言われているだけで、すべての役割どころか、数もまだ解明されていません。

代表的なものが、前述したコラーゲンやドーパミンなどですが、たんぱく質の話をしてもわからないことだらけなので、これ以上は続けませんが、これだけ沢山の種類のあるたんぱく質です、不足すると影響があるだろうことは、容易に想像できますよね。

まとめ

トレーニングをしていなくても、3食しっかりとたんぱく質がとれていない人は、プロテインを飲んだほうが良いというのがおわかりいただけたかと思います。

もちろん、しっかり食事でとれている人はあえてとる必要はなく、とりすぎもよくありません。

4章 プロテインどれだけ摂ればいい?

プロテイン(たんぱく質)というと1日に60gや1kgに対して、1gとりましょう。という記事などをよく見かけます。厚生労働省によると60gというのは最低限摂ってくださいという必須量で、運動していない人でも通勤や通学などの生活をしている人は、1kgに対して1.2g~1.5g、運動している人で1.6g〜2.0g程度摂るよう推奨しています。標準体重の場合は70g〜100g程度ですね。

下記を参考にご確認下さい。

1食でどれぐらい摂れる?

1食でいうと23g~30g程度ですが、鶏肉だと120g(鶏肉0.5枚)ぐらいの量です。120gぐらいかと考えると摂れそうな気もしますが、1食だけでなく、3食この量を摂らなければなりません。夕食だけだと取れる人も多いと思いますが、朝から鶏肉0.5枚食べられますか?

鶏肉の代わりに、朝食の定番でいうと、卵が1個あたり6g、納豆1パック7g、お米(茶碗一杯)4g、豆腐の味噌汁(豆腐半丁10g)程度です。しっかりとした朝食がとれていれば、27g程度とれるので十分ですが、皆さん朝食はしっかりとれていますか?

逆に摂りすぎてませんか?

「朝は摂れないけど、夜はサラダチキンとプロテインでガッツリ摂ってます!」という方がおられますが、前の章でも書いたように、朝とらないで、夜の1食だけ摂ってもあまり意味がありません。むしろ、1食で摂りすぎるのは内臓に負担がかかりすぎてリスクがあります。

社会人でトレーニングされている方の場合、仕事終わりにジムに行ってトレーニング後にプロテインを飲む。その後、帰宅してサラダチキンや赤身肉を食べるなんていう人はとても多いです。これ多分摂りすぎです。

前の章で述べた通り、3食バランスよく摂るというのは、血中アミノ酸濃度が安定した状態を保っている状態です。血中アミノ酸濃度が安定していると、運動後の1〜2時間だけでなく、24時間筋肉の合成体制になっているわけです。

朝のたんぱく質不足に要注意

せっかく運動して、夜にたんぱく質を摂って血中アミノ酸濃度が高めて筋肉を作りはじめても、朝食を抜いてしまっては、筋肉が消費されてしまいます。

日本人の多くは、夜に十分たんぱく質が摂れていると言われています。肝心なのは、8割以上の人が摂れていない、朝にたんぱく質を摂るのが重要です。

高齢者は若者よりも摂らないといけない

歳を取るとどうしても食事量が減ります。筋肉量や代謝が変わらなければ良いですが、歳を取ると筋肉量も代謝も落ちます。代謝が落ちるので、40〜50代と比べても体重はあまり変わらず、むしろメタボで増えているという人も多くいます。

先の表でも記載しているように、歳をとってもたんぱく質の必要量は代わりません。むしろ、消化速度も遅くなり、少食になってしまいがちですが、歳を取るとたんぱく質の吸収率が悪くなるので、若い頃よりも多くのたんぱく質が必要になります。

膝や関節痛もたんぱく質不足かも

コラーゲンもたんぱく質です。コラーゲンというと美容などと思いがちですが、軟骨も多くのコラーゲンでできています。コラーゲンが不足すると骨のクッション性が弱くなり、骨が折れやすくなったり、間接の動きが悪くなります。筋力も大切ですが、こういった理由でもたんぱく質が大切だということはあまり知られていません。

アンチエイジングにたんぱく質

こういう言い方をすると、嘘くさい感じがしてしまいますが、何度も記載しているように、たんぱく質は筋肉だけではありません。肌も、骨も、爪も、髪も、酵素も、抗体も、ヘモグロビンも、ドーパミンもたんぱく質です。

高齢になってくるとこれらに影響が出てくると思いませんか?もしかしたらその原因は、たんぱく質不足なのかもしれません。

総括

たんぱく質は摂る量も大事ですが、3食しっかり摂るということも大事です。一回に沢山の量が摂れないという人は、血中アミノ酸濃度が落ちないように、3食だけではなく、間食や夜食などで分けて摂るようにしましょう。


出典

※1食品栄養学(たんぱく質) http://univ.obihiro.ac.jp/~meatscience/nutri.htm
※2 骨格筋量の維持・増加に向けたたんぱく質摂取の重要性 https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_001867.html
※3タンパク質摂取時間と筋量増加の関係 https://www.waseda.jp/top/news/73617
※4 筋肉量の増加に向けた効果的な レジスタンス運動とたんぱく質摂取 https://www.nsca-japan.or.jp/journal/27_10_11-15.pdf
※5 https://www.researchgate.net/figure/Typical-amino-acid-composition-of-whey-casein-and-soy-isolates_tbl2_227249571

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