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【ミツモア5周年記念】CEO石川によるGDP解析 CEOが描くミッション達成と“豊かな日本”への道標

見積もりプラットフォーム「ミツモア」は、2017年3月22日のサービス開始から5周年を迎えました。ミツモアが掲げたミッションは「事業者の活躍をあと押しし 依頼者にぴったりの価値を届けることで 日本のGDPを増やす」。5周年を記念して、GDP解析に基づくミッション実現に向けた見解を、全社員ミーティングでCEO石川が語る様子をリポートします。

石川彩子
東京大学 法学部卒。新卒で外資系コンサルティングファーム、ベイン・アンド・カンパニーに勤務。その後、ペンシルバニア大学ウォートン校にてMBAを取得し、シリコンバレーのECスタートアップZazzleに勤務。
帰国後、元ヤフーのエンジニアとともに「ミツモア」を創業し、同社CEOに就任。

数字で見る「日本の閉塞感」

石川:ミツモアのバリューは知っているけれど、GDP(国内総生産)が上がると実際どういう良いことがあるのか、あるいはミツモアががんばると本当にGDPが上がるのか、と言った疑問を持っている方がいるかもしれないと思いまして、その説明をしたいと思います。

ーよろしくお願いします。

石川:まずはじめに、日本はものすごく閉塞感があると感じる方が多いんじゃないかと思います。昔の方が豊かだったと聞いたり、あるいは長めに生きている方は昔の方が豊かだったと感じていらっしゃるかもしれません。まだ若い方は日本にそんな時期があったのかどうか、わからないと思います。ここで、日本の閉塞感の現状を、数値から見ていきましょう。

石川:この表は賃金指数の推移です。他の先進国は右肩上がりの中、顕著に地を這っている赤いグラフが日本です。

ー1997年を100とした場合の指数ですね、上昇率トップはスウェーデンの138.4。一方日本はというと89.7…100を割ってるんですね。

石川:体感値として貧しくなってきているというのは賃金指数に現れていて、日本はどんどん実質賃金が減ってしまっているという状況です。この表は先進国と言われている国だけですが、他の国はすべて、どんどん増えています。閉塞感があるというのは、本当だったんだなと理解できると思います。先進国が進みすぎたからではなく、日本だけ伸びていない。では、日本の賃金指数はどうしてこんなに下がっているのでしょうか。

豊かさに直結するものとは


ー賃金指数が、1997年と2016年を比較して、10.3もマイナスなのはショックですね。閉塞感の実体がはっきりわかりました。

石川:実質賃金がどのように計算されるかというと、労働生産性×労働分配率。労働生産性とは何かと言うと、GDP÷(就業者数×就業時間)ですね。GDPが何かというと、モノやサービスから生まれた付加価値の合計金額です。それでは、この中で、国際比較してみて、日本における一番の問題は何だと思いますか?

ーGDPは世界3位(2020年世界実質GDP国別ランキング)ですから、労働分配率でしょうか?

石川:労働分配率は、大体どの国も50〜59%です。生まれた付加価値を働いている人に分配していく、それはどんな国でも50%ぐらいで、あまり日本も変わらないんですよ。国際比較して、この中で何がどんどん悪くなっているかというと、それは労働生産性とGDPです。1人当たりGDPがもうどんどん成長しなくなっている。よって、労働生産性が低くなっている。このような状況が、この実質賃金の低迷には関係しています。

ー国のGDPではなく、1人当たりのGDPが大切なのですね。そして労働生産性。

石川:ここでちょっと覚えていただきたいのが、人々の暮らしが豊かになるためには、GDPが上がらなきゃいけない、労働生産性が上がらなきゃいけない、ということです。GDPと労働生産性が上がることが、豊かさに直結しているんです。

労働生産性を上げるためにミツモアができること

石川:それでは、一人当たりGDPの成長率推移を見てみましょう。これまた地を這っている青のグラフが日本です。地を這っている日本とは対照的に、アメリカ、ドイツなどすべての国が爆伸びしています。要するに労働生産性が伸びなければいけない。一人一人が働いたことによって作られる付加価値、これをどれだけ伸ばしていくかが豊かさに密接に関わってくるのです。

ー自社の生産性向上の施策は、各企業でしているとは思うのですが、何が問題なのでしょう? 12年間も改善できていないというのは驚きです。

石川:ちなみに、労働生産性が低いとはいっても、日本の製造業は昔から労働生産性が高かったし、実際、今もその通りです。圧倒的な差が生まれているのが、サービス業。ミツモアが取り組んでいるサービス業まわりです。さらに、大企業の労働生産性は一定して高いです。各社が労働生産性向上に取り組んでいるのだと思います。しかし、中小企業のサービス業の労働生産性は非常に低い。

ーなるほど、かなり的が絞られてきましたね。中小サービス企業の労働生産性が鍵ですね。

石川:そこで、ミツモアがどう関わっていくのかですね。GDPつまり付加価値の増大、作られる付加価値の容量を増やす。総生産性を増やすために、ミツモアはどう関わっていくのか?

石川:サービス産業だけでみると、労働生産性はアメリカの半分です。要するに日本人はアメリカ人と同じだけ働いても、半分しか付加価値を生んでいない。よって半分しかお給料をもらえないということです。実際、日本とアメリカの賃金格差は半分です。ドイツと比べてもドイツの3分の2しか付加価値が生まれていない。よって、お給料もドイツの3分の2。

ー日本企業の残業習慣や年功序列といったものも原因と言われてますが?

石川:この低迷の要因として、いろんな経済学の研究がありますが、一番大きい52%の要因が、「資本装備率」だと言われています。資本装備率とはなにかというと、ソフトウェアや設備などへの投資をきちんと行えているかどうかです。

ー要因の52%ですか、これが解決したらかなりの改善が見込めそうですね。

石川:ではどうして、資本設備投資が遅れているのか。投資が進んでいないから労働生産性が低いわけですが、昔からよく言われているのが、リスクや変化を恐れる国民性というのが、一つ挙げられています。そして、私がより問題視していて、ミツモアで解けるだろうと思っているのが、「日本人が使える(世界基準で見ても)よいプロダクトを作る」ということです。ミツモアでは、日本人が使える、かつ世界基準でみても本当に良いものを作りたい。そして普及を進めて、労働生産性を、豊かな日本を取り戻していく。こういったことを、皆さんと一緒に実現していきたいですね。 

ーサービス領域の自動見積もりプロダクトは、アメリカのUberでもエンジニアとして活躍したEugeneも太鼓判を捺すプロダクトですし、普及が進むことで中小サービス業の労働生産性アップに貢献していきそうです。今回は、GDPについて深く掘り下げることで、ミツモアのミッションがより具体的になりました。6年目に突入したミツモアのさらなる成長を楽しみにしています。
(インタビュー・編集・ライティング:字と図 吉田千枝子)

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