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ライフステージでキャリアや考え方は変化するもの 【新しい働き方インタビュー 柳澤聖子さん|後編】

新卒から勤めた出版社を辞めて、複業スタイルに転身
フリーランス編集・ライター柳澤聖子さん|後編

ライフとワークの自分らしいバランスを求め、新しい働き方を実現した方にお話を聞く<新しい働き方インタビュー>! 子どもたちとの時間を確保するため、半年前に会社員(正社員)からフリーランスへ転身した柳澤聖子さんのインタビュー後編です。
後編では柳澤さんの今後、そして今の働き方を決断するまでの葛藤、最後まで悩んだ点、今迷っている方へのアドバイスなどをお聞きします。

今のお仕事・生活状況や心境、フリーランスになって初めて迎えたお子さんの夏休みについて聞いた前編はこちらからご覧ください。

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柳澤聖子さんプロフィール
小2と4歳の男児のママ。子どもたちとの時間を確保したいと、今年4月末、新卒で入社し15年以上勤めたベネッセコーポレーションを退職。現在は複数の会社と業務委託契約を結ぶ「複業スタイル」で、フリーランスの編集&ライターとして仕事中。
複業開始の経緯についてはmeetcareer(ミートキャリア)のイベントレポート「子育て中の複業という新しい働き方」でご紹介しています(記事ではseicoさんとして登場)。twitter:ワーママseico@編集とライターの人

インタビューを行ったのは台風シーズンの9月。冒頭はこんなお話から―。

ーーー 新しい働き方を始めたことで、大好きな編集・ライティングの仕事に集中でき、お子さんとの生活にも気持ちの余裕が生まれたことが伺えます。この働き方にして良かったなと感じた、最近のエピソードをお聞かせください。

ちょうど先日、突然、台風で長男の小学校が休校になりました。朝6時に、警報が出ていれば、学校は休みになるというルールなのです。もちろん、学童にも行けません。こういう時、世の働くお母さん、お父さんは本当に困りますよね。
その日は私が家で仕事をしつつ、家にいる長男の様子を見ることができたので、助かりました。会社員だったら、もっと動揺していたかなと思います。

また、夫はたまに海外出張があり、最近も1週間ほど不在のことがありました。最初はワンオペ育児になることに戦々恐々としていましたが、やってみたら意外と平気?!出社義務がないので、心に余裕をもって過ごすことができた気がします。

 子どもたちと今しかできない体験を
 しばらくはこの働き方を続けたい


ーーー 以前と今の生活の満足度の変化を数字で表すとすれば、どんな感じですか?

今は、会社員時代より、仕事と子育てのバランスはとれているなと感じています。以前60 %→今 99%という感じ。

ーーー 満足度がぐんと上がっていますね。柳澤さんが人生や生活において「大切にしたいこと」が実現できていることの表れかと思います。今、家庭で幸せを感じる瞬間は―?

子どもたちと、今しかできない体験を重ねられることでしょうか。子どもたちは本当にあっという間に大きくなってしまうので、今しか見られない姿や、今しかできない会話や体験をたくさん味わいたいという想いです。子どもたちが健康で、笑顔でいてくれて、毎日当たり前のように平和な朝が迎えられることに幸せを感じています。

ーーー 今の働き方をいつまで続けたいと考えていらっしゃいますか?今後お子さんの成長に合わせて変えたいことや叶えたいことはありますか?

今の働き方を結構気に入っていますので、今のところ、しばらくはこの働き方を続けたいと思っています。なので、そのための努力は惜しまないつもりです。
でも、また気が変わるかもしれませんし、何かコレだ!という情熱をもてる出会いがあれば、この企業のために働きたいと一社に絞ることもあるかもしれません。また、今後は大学院などで学び直したり、新しく学びたいこともたくさんあるので、焦らず、自分のペースでやりたいことを叶えていきたいと思います。

 数年かかった働き方を変える決断
 社外との交流で自信をつけた

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ーーー 今とても満足していらっしゃることが伺えますが、働き方を変える決断をするまでに数年かかったそうですね?

はい、実は元々入社したときから、ぼんやりとですが、子どもができたら今のような働き方ができるようになったら理想だなという想いを持っていたのにもかかわらず…、数年間かかりました。

前職は、時短勤務が小3まで取れたり、週1のリモート勤務が認められていました。また、女性やワーママという立場に関係なく、責任とやりがいのある仕事を任せてもらえる点で恵まれていました。なので、周囲の人に「辞めたい」というと、必ず「もったいない」と言われ続けていました。
そして、独立という道を決心するのに数年かかったのは、辞めて仕事があるのか?という不安、自信のなさからでした。その当時は、ずっと家と会社の往復を繰り返していただけでした。

その後、視野を広げようと、気になる人に思い切って会いに行ったり、コミュニティーに入ってみたり、社外の人たちと人脈を広げ、交流を持ってみることにしました。さらに会社に在籍したまま社外のプロジェクトの仕事に関わるチャンスを頂くなどして、段々と社外でも自分の力が通用するのだという自信をつけていきました。

ーーー 社外での活動や交流を広げ、自信をつけていかれたのですね。最後まで悩んだ点は何でしたか? 

最後まで悩んだのは、社会保障の部分です。会社員時代は健康保険や厚生年金保険などを会社が半分負担してくれていたところ。それから、収入面の安定性です。

今は、お金で「時間」を買ったような感覚です。私にとっては、子どもたちと過ごすうえで、今の時間的な余裕は、お金よりもかけがえのないものだと思っています。また、そういうリスクがあっても新しい働き方を選んだのは、新しい世界を見たい、とにかく「やってみたい!」というワクワクした気持ちを何よりも大切にしたいと思えたからです。

収入面については、先月、目標にしていた売り上げをひとまず上げることができ、手応えを感じました。まだまだ少額ですが、自分自身で稼いで頂いたお金ということで、喜びも達成感も大きいです。

今後は、夫に頼らなくても、子どもたちを育て上げられるぐらい稼げることを目標にしています。今後は会社員時代の給与を一つの目標に努力したいと思っています。

 迷っている人は視野を広げてみて
 そして自分に徹底的に向き合う

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ーーー 新しい働き方へのチャレンジを迷っている人にはどんなアドバイスを送りたいですか?今の会社(仕事)を辞める前にこれはしておいた方がいいということはありますか?

迷っている方がいたら、ぜひ、会社にいながらも副業をしてみる、転職活動をしてみる、新しいコミュニティーに入ってみる、新しい人との出会いを広げてみるなどして、視野を広げてみて欲しいと思います。必ず良い視点が得られると思います。

また、悩むのは、自分がどうしたいのか。どういう働き方を望んでいるのか、はっきりと意識できていないからかもしれません。私の場合は、その気持ちを確かめるために、自分の人生や生活において何を大切にしたいのか、徹底的に向き合いました。

自分一人では悶々としてしまい、堂々めぐりするだけなので、コミュニティーやコーチングの助けを借りました。そこで、大切にしたいことはコレだ!と言い切ることができるようになり、迷いなく新しい道へ進めました。

柳澤さんが大切にしたいと思ったこと
・子どものために心のスペースを残したい
・時間のゆとりを持ちたい
・仕事のやりがいは大事
・お金は今はそこまで大事ではない
・文章を書く事や編集をやりたい
・他人の判断軸ではなく、自分の考えを優先したい

ーーー 前編でお子さんたちにご自分の働き方を通して「多様な働き方」の一端を見せたいと語っていらっしゃいました。これから子育てを経験する方たちに見せたいこと、伝えたいことはありますか?

それぞれの家庭や本人にとって、どの働き方が心地よいかは、まったく違うものだと思っています。
ただ、必ず、子育てというライフステージで、キャリアや考え方は変化するものだということ。そのタイミングで、夫婦で話し合い、新たなキャリアのステージの変化を乗り超えるタイミングがくるということを、ぜひ知っておいてほしいなと思います。

まだ20代や30代で、これから、結婚、子育てという方は、夫婦で仕事をしている自分がどんな姿なら嬉しいかということを思い描きながら、キャリアを考えてみてはいかがでしょうか。また、もし、夫もしくは自分が海外赴任することになったら? 夫の仕事が忙しくワンオペ育児状態になったら? そういうケースも少し頭において、準備しておくといいかもしれません。

私の周りには、夫がフリーランスになって子育てを主に担い、自分が会社員でバリバリ働くという方も複数いらっしゃいます。子育て中だからこそ、夫婦それぞれが納得のいく働き方を決められる関係性が理想だなと思います。

ーーー 子育てというライフステージでキャリアや考え方は変化するもの。そこに向けて自分自身で、夫婦で心づもりをしておけるのが理想ですね。

私自身、準備ができていたかというと、全くできていませんでしたけど…!多くの方が多様な働き方を気軽に選べるようになる。そして、そのために前々から準備できるような世の中になるといいなと思います。男女ともに、子育てを転機と捉え、どうしたら前向きにキャリアチェンジができるか?という楽しみな計画として考えられると良いですよね。

子育ては、やりがいがあり、楽しいですし、仕事の糧になることもたくさんあります。私の場合は、子どものおかげで長年の夢だったフリーランスへの一歩を踏み出せて、子どもたちに感謝したい気持ちです。(インタビュー後編終了)

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自分自身と向き合い、迷いや不安を少しずつ解消し、新しい働き方を実現した柳澤さん。子育てを転機と捉え、「理想を実現したい」と自ら行動を起こしたことが、今につながっているようです。

世の中で言われる「小1の壁」「小4ショック」「マミートラック」…等の言葉に不安や焦りを感じて、それまでには転職を!と考える方もあるかもしれません。
でも、大事なのは、自分が何を大切にし、どういう働き方を望んでいるのかを明確にすること。
子育てをしながら自分のキャリアをどう育んでいくか、皆さんも、今一度考えてみてはいかがでしょうか。

柳澤さんのインタビュー前編はこちら。

▼ミートキャリアとは


※2022年12月7日 サービス情報はHPリンクに変更しました。写真を一部差し換えました。


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