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第2💍💍話 玄束の指茪


「きっず僕のこずなんおすっかり忘れちゃったかな。あの時眮き去りにしたこず、怒っおるんだろうな  。」


 ダマタ先生から“呜そのもの”である性を取り返したこずにより、スサナル先生の“顕圚意識に近い郚分”がようやく私の存圚を思い出し始たった。それたで私の魂を芆い隠しおいた憑䟝が倖れおきたこずで、吹雪を圷埚う圌の芖界に私ずいう灯台の明かりが薄っすらず届き始めおいた。

 根気よく繰り返し、「倧䞈倫だよ。あなたを忘れおなんかいないわ。怒っおなんかいないわ。」ず䌝えおも、圌の䞭からはモダモダずした䞍安が䞊がり続けおきりがなかった。

「圌女はもう、僕なんか忘れお他の人ず暮らしおいるかもしれない。知らない土地で違う人から幞せにしおもらっおるかもしれない。」

 淋しさや萜胆、それからほんの少しの怒りず焊り。
こういう時の゚ゎずは極端に芖野が狭くなっおいお、どれほどこちらが本圓のこずを䌝えおも、幟重にも重なった疑心暗鬌が足を匕っ匵り溺れ続ける。
 しかも、肝心の圌の顕圚意識はずいうず私を闇の䞭に葬ったきり、そこから逃げるように珟実䞖界でもがいおいる真っ最䞭。

 今たで圌が築き䞊げ、創り䞊げおきた䞖界が掌返しで圌自身を粉砕しにかかるず、それらの砕けたパヌツたちを元に戻そうず接着剀でくっ぀けるこずに必死な様子が䌝わった。スサナル先生の䞖界の歯車は、ずっくに狂い出しおいた。


『誀魔化しの効かないあなたの目で、あなたの心県で、䞖界を芖おみお。』

 ハむダヌセルフからそう教わり、芖たくないものを盎芖する。
 あの圌が、孀独の䞭にいるずいうこずが苊しかった。あの圌が、人に蔑たれおいるずいうこずが信じられなかった。


 本圓のずころはわかっおた。
誰よりも血の滲む努力をし、誰よりも倧きな愛を持っお子䟛たちのこずを考え、誰よりも私を倧切に愛しおくれるコむンの衚偎の圌は『玛れもない真実』だけど、衚偎の圌だけを受け取るこずなど本来できない。だからこそ決しお目を瞑らずに、゚ゎを粟査し盎芖する。裏偎のスサナル先生も含めお、その党おでようやく䞀人の“圌”なのだ。


 職員宀。圌が䞊叞から怒られおいる倢を芖た。それから埐々に、他の先生たちも圌の呚りから離れおいく。
 じわじわず圌を取り囲む、『孀独』の二文字が炙り出される。





 「あの人の裏偎も党郚愛したす」ず自分で自分に決意をするず、やっず少しの光明が芋えおきた。
 西階段を、圌が勢いよく駆け降りおくるのを認めるず思わず反射的に呌び止めおいた。

「スサナル先生」

 するず笑顔で走り寄っおきお、「はい。」ず䜕かを手枡しおくれた。芋るず私の手のひらには、倧きな指茪が茉っおいる。


 サむレントに入っおただ間もない頃、ハむダヌセルフが“私”を経由しお圌にお守りを届けたこずがあった。私が圌のハむダヌセルフに助けおもらっおいたように、圌も高次の私から、愛され守られお乗り越えおきた。

 あの日、私には開けるこずができない箱に入っお枡されたその指茪を、圌はその埌ちゃんず身に぀けおいおくれたらしい。それが今、再び私の元ぞず戻っおきた。

「飛び蟌むから、持っおいお。
必ず垰っおくるから、そうしたらたた僕の指に぀けおほしい。」

 そのたた持っおおくれおもいいのに。

 䞀瞬はそんな颚に思い笑っおしたったけど、私にもわかる。私が圌ず同じ魂だからわかる。莈っおくれた時の気持ちが倧事すぎお、代え難い宝物だから絶察に傷぀けたくなんかないのだ。

「うん。わかった。
預かっおおくから、必ず無事に垰っおきおね。」

 そう䌝えるず頷いお、もう䞀床手を取っおくれるず、今床は私の薬指に婚玄指茪をはめおくれた。

「さおず。」

 その声に顔を䞊げるず、圌は耳栓の䜍眮を確かめおいた。子䟛時代、島根の海が遊び堎だったスサノオは、それからあっずいう間にゞャンプ台ぞず党力でダッシュしおいった。

 必ず無事に垰っおきおね。

 心の䞭でそう䌝えるず、巊手を開いお぀のリングをい぀たでも芋぀めた。




written by ã²ã¿

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実話を元にした小説になっおいたす。
ツむンレむに出䌚う前、出䌚いからサむレント期間、そしお統合のその先ぞ。
ハむパヌサむキックず化したひみの私小説笑、ぜひお楜しみください。

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䞀昚日から物凄い調敎期間に入りたした。おそらく新しいガむドさんをお迎えした暡様。
元々サむレント前は偏頭痛持ちだったんですが、そうではなくお、頭党䜓が割れるように痛い痛すぎお吐き気たでしおたす。
ここのずころ、掚敲する時間がなくお申し蚳ないです。そんな状態で曞き぀぀も、ろくに読み返すこずもせずに掲茉しおたす。

そんな䞭で、次の話は䞀䜓䜕を曞かされるんだろうず昚日の昌近くたでたったくのノヌプランだったんですが、぀の指茪で200話だそうです。

ツむンレむずしお詊緎を乗り越える魂には、必ず倚くのサポヌトが入りたす。ツむンレむの男性も女性も、たずえその道が孀独に思えおも必ず助けは近くにあるし、䜕よりお互いがお互いを支えおいたす。

そしおこの時“圌らしいな”ず思ったのが、私からの指茪を倖し、甘え先を断ち切った䞊でストむックに飛び蟌んだずころ。それでいお、私が指茪を預かっおいるずいうこずこそが、それ自䜓が心のお守りになっおいるずころ。

うヌん、たんた私っぜい。
このあずすぐに、預かった指茪にはチェヌンを通しお銖からぶら䞋げたした。私の指には倧きすぎるからね。

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→第201話 そらのいろ

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