第24話 剣の帰還
えいっ↓
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剣の帰還
玉石社御祭神、大己貴命(オオナムチノミコト)、別名大国主命(※)。
一説にスサノオの息子とも、六世の孫とも甥とも言われる。
玉石社境内とその周辺一帯はおそらくは、オオナムチからの高貴な気に溢れているのだろう。
だけどついさっき体験したばかりの、天の意識との個人的なやり取りに心が持っていかれてしまい、完全に感覚が麻痺してしまっていた。
そしてまた、柵で区切られた狭い敷地内には地元の方なのか神社の方なのか、普通の格好の普通のおじさんが何故だか椅子に座っている。
さらに小さな祠には、金色のラベルを纏った伏見の名酒、「タマノヒカリ」が大きさ似合わず一升瓶ごと鎮座して、ある意味祠以上に圧倒的な存在感を放ち、なんとも独特な雰囲気を醸し出していた。
列を待って、一人一人参拝する。
「お側に参りました。」
手を合わせてから唐突にじわっと思い出したのは、
先月、鹿島神宮に行った帰りにタケミカヅチから預かった、あの剣のこと。
ああ、ここにお返ししなさいということなのかな。
……自信、あんまりないけど。
だけどおそらくそのお役目だからこそ、ミカエルの援助があったということなのだろう。
ビジュアライゼーションと妄想の区別がつかないほどの自信のなさではあるが、それでも体内にしまっていた剣を意識する。
本当は誰もいなければ、抜き出す動作をしたかった。ほんのちょっと、柄を掴む仕草をしてみようとしたのだが、他の参拝客らが順番待ちをしている中では人目が気になってしまい、結局“上手に”お返しすることができなかった。
それでもとても、満足だった。
お詣りを済ませて坂を降りて来ると、玉石社への参道の入り口まで戻る手前でまた、蜜蜂が羽音を響かせながら私の周りへやってきた。
さすがに今度はくっついてくることはなかったが、彼もまたお見送りの挨拶をしに来てくれたことが伝わって、一人嬉しく笑顔になって、心の中でありがと、バイバイまたねと呟いた。
夢見心地の数時間だった。
駐車場までの折り返し道も、あちらからもこちらからも温かく見守られているのを感じた。
普通の日常に比べて、与えられたものと与えられたことの割合が明らかにおかしかった。
たった一週間前には、自分がこんなに凝縮した時を過ごすことになるなんて到底思い至れなかったし、もしも申し込んでなかったら、鹿島の剣も、剣の元の持ち主もその大きな体躯に似合わず肩を落としていたのかもしれない。
山との境界線を出る手前で最後に、菊理姫(※)に手を合わせる。女性性と男性性を結ぶ旅の締めくくり、ククリの女神が微笑んだ。
鳥居をくぐって駐車場に戻ると、来た時よりも一段と、トンボ(※)の数が増した気がする。
歩行をやめると一気に汗が吹き出してきて、売店で買ったばかりの柑橘ソーダの冷たさが喉に染み渡る。
最後に名残惜しく、もう一度駐車場の端から、遠く連なる山々を見納める。
まおちゃんが扇子を開こうとした瞬間、金具がパチンとふっ飛んで、蛇腹のすだれのようになってしまった。
「あーあー、なんかすごい壊れ方した。
あ、でもわかった!
季節と流れが完全に変わるってことだね。」
壊れた扇子をしまいながらまおちゃんはそう言った。
流れが変わる。
私もさっきからぼんやりと、おんなじことを感じていた。
飲み終わった瓶を捨てると、四人で車に乗り込んだ。
※大己貴命…オオナムチノミコト、オオクニヌシ。
スサノオからの多くの試練や兄たちからの度重なる嫌がらせで、何度も命を落としてはさらに高次の神からの寵愛で復活してきた心優しい出雲の神。因幡の白兎を助ける。
※菊理姫…ククリヒメ。
日本書紀にたった一回だけ登場する裏舞台の女神。イザナギとイザナミが黄泉の国で会った際、菊理姫の助言によってイザナギはイザナミの想いを尊重する決意をする。
ちなみに、死者が頭につける三角の白い布は、彼女の座す(おわす)白山(はくさん)を模しているもの。
これから死に向かう人々が、どんな苦しい死に際だったとしてもせめて自分の側の山頂から希望を持って旅立てるようにと願う、慈悲と慈愛の女神。
※トンボ…英語でdragonflyから、私とけーこの中でしばしば龍、龍神のアイコン。また戦国武将たちにとっては後退しない「勝ち虫」の意味から、状況によってはgoサインと取ることもあります。
written by ひみ
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実話を元にした小説になっています。
ツインレイに出会う前、出会いからサイレント期間、そして統合のその先へ。
ハイパーサイキックと化したひみの私小説(笑)、ぜひお楽しみください。
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今回は、実はこの旅から帰宅した直後から思っていた
言葉、「剣の帰還」をそのままタイトルにしました。
まったくね、何年前からこのために与えられていたタイトルなんだかね。
高次元の自分の用意周到さといったら笑
自分、すごーい!ってなるよねー(^-^)
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とうっ↓
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