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第23話 羽音の導き

↓闇を愛するお手伝いを。↓

羽音の導き

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 それから再び、登り道を行くことになった。
目指すのは、本殿と山頂の中間部にある玉石社。
おそらくは霊峰玉木山の中において、ここは要となるお社。気を引き締めて会いにいく。

 短い距離とはいえ、日頃の車移動中心の肉体には軽登山は堪える。山道特有の、丸太や石が埋まった歩幅の覚束ない段差も、徐々に、地味に体力を奪う。
 次第に息が上がってきたが、幸いみんなも体力的に似たり寄ったりだったようで、他の参拝者に道を譲りながら、休み休み少しずつ向かう。


 山に限らず自然界には、あらゆる命が溢れている。海には海の、川には川の、たくさんの小さな命たちが人間の世界に折り重なるように自分の世界を暮らしている。

 気がつくと、ズボンの上に合わせた長めのチュニックの裾のあたりに、一匹の蜜蜂が留まっている。
 蜂に怖さは感じないので、気にせずにそのまま登っていく。少しの間揺らされるがままくっついて、飛んだと思うと裾の周りを旋回する。お腹のあたりを浮遊してから襟まわりに着地すると、彼は首元までやってくる。


 苦手な人からしてみたら信じられないことだと思うが、虫たちの営みの中にすら宇宙の息吹きを感じる私としては、今、この瞬間に現れた蜂が私の肌に触れているのが何ともとても愛おしく、それと同時に畏怖なのだ。同じ時間と空間とを共有している邂逅に、私はちょっぴり嬉しくなる。

 そして、私が怖がっていないかを、辛抱強く確認するように。

 少し、また、少し。

 あなたに危害を加えるつもりはないよと、大丈夫だよと想いを乗せて。

 少し、また、少し。

 首からゆっくり移動して、彼は私の唇に留まった。


 意識が、重なった気がした。
涙が出そうになってきた。
 払うでもなく口元に蜂をくっつけて、絵づらとしては絶対おかしい自覚はあるけど、それ以上の幸福感。
 私という人間と、蜂を介した宇宙との、全き愛の交流だった。


「ありがとう、ミカエル。」

 パッとそう思ったのと、蜂が飛び去ったのはほとんど同時だった。
 疲労した足が軽くなり、いきなり身体の内側から体力が戻ったのを感じた。
そうか、蜂とは8、だからミカエルだったのか。


 残りの坂を軽快にあがる。
さすがに平地を歩くほどには楽な感覚ではないけれど、だからといって、登り坂独特の辛さやきつさの感覚もない。疲れもほとんど感じなかった。


 思いもかけずミカエルの助力を得てからほどなくして、杉の木立が少しばかり拓けた場所に、木の柵に周囲を囲まれ紙垂(しで)のかかったた古いお社、玉石社が現れた。



written by ひみ


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実話を元にした小説になっています。
ツインレイに出会う前、出会いからサイレント期間、そして統合のその先へ。
ハイパーサイキックと化したひみの私小説(笑)、ぜひお楽しみください。


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みなさん夏至おつかれさまでした。
本当にすごかったねー。
この陽極から転換して、冬至の陰極へ向けて切り替わるので、しばらくの間はよく休むことを意識してください。
あんまりしんどかったらセッション来てね。

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