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料理人が販促をする時代

インターネットが普及する以前、

僕にとっては渡独した2007年が

この大きな節目になっていると思う。

前年には初代iPhoneが販売を開始した。

それを皮切りに

次々にスマートフォンは巷に普及していったし、

インターネットでショッピングする機会は

生活の中で必須となっていった。

それ以前もインターネットはあったけれど、

今のような手軽さとは程遠かった。

時代はまだアナログでいても

体裁は整えていた時代だ。


それまで料理人は料理を作る仕事であり

自分のキャリアを如何にして広い世界に届けられるか

それはとても地道な道のりだった。

地域で評判になり、

地方紙や地方局のマスコミに取り上げられて

それが好評を得て、全国区に報道されるようになり、

それでようやく、少しだけ顔も広くなる。

ドイツに来てからは

日本人の寿司職人というだけで

マイノリティとして評価は得られやすい。

マスメディアにも何度か取り上げてもらえた。

でもその都度取り上げられるのは

彼らマスコミの求める

あるいは彼らが思い描く

アジアであり、SUSHIであり、寿司マイスターであった。

だから僕はいつも違和感しか残らなかった。

頑張ってドイツ語を勉強して

頑張ってプレゼンテーションしても

それは伝わりきらなかった。

だから僕はいつしかSNSを使うようになった。

自分の料理の写真を撮り、

InstagramやFacebookに投稿した。

自分の働く店の近くや

その街をタグにつけている人のアカウントには

積極的にアプローチをして「いいね」して、

コメントを書いたりして

こちらに振り向いてもらえるように努めた。


僕は一料理人だけれど、

店の広告をオーナーや広報部にだけに頼るつもりはない。

自分のキャリアを広げて、

結果売り上げに貢献できれば、

僕は自分の仕事にさらにやりがいを感じるし、

やれる行動範囲も広がっていけると自負している。

評価されるのを待つ時代ではないのだ。

自分で売り込みに行く時代だ。


ドイツは今再ロックダウンで

飲食店のイートイン営業は年内はほぼできない。

この政策はおそらく1月まで続くだろう。

本来ならこの時期は

日常からは離れて

いつもは食べられないリッチな食事をして、

友人や家族と集うときだ。

でもそれが叶わないご時世。

僕たちのレストランは、

ホームディナーを提唱して、

ご家庭にお届けできる

最高のネタで作る、高級路線の

寿司の桶盛り合わせのテイクアウトをはじめた。

日本では当たり前のサービスだけれど、

ドイツではマイナーなサービスだし、

(安い寿司のデリバリーばかりが溢れている)

僕のいるこの町では誰一人やっていない。

しかも新鮮で最高の食材(ネタ)を使ってだ。

(表題の写真がその商品である)

このアプローチも

先に書いたようにSNSを使って

日々アプローチを続けている。

この地道なアプローチの甲斐もあって、

今ではリピートでご利用いただけるようになった。

わずか2週間でだ。


SNSの効果は

まずは最初の一歩を如何に早く踏み出すかで決まる。


SNSは使われる側では無く

SNSを使う側でいなければいけない。

「道具」とおなじだ。

使われる側では、疲弊しか生まれないだろう。 



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