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生きるのがちょっと苦しくなったときに見て欲しい「神様のカルテ」

特別映画フリークなわけではない私ですが、「これまで見てきた映画でベスト3は?」と聞かれたら迷わず神様のカルテを上げます。

神様のカルテは2009年、現役医師である夏川草介さんのデビュー作として第一作が出版されました。翌2010年には本屋大賞を受賞し、2011年には映画化されています。

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<神様のカルテ あらすじ>
舞台は長野県松本市。夏目漱石が大好きな一風変わった古風な医師、栗原一止(櫻井翔)は妻であり、山岳写真家である榛名(宮崎あおい)と御嶽荘に暮らしている。御嶽荘では同じく一風変わった自称・画家の男爵(原田泰造)と大学に通う学士殿(岡田義徳)と一緒の4人暮らし。
一止は、念願叶って医者になったものの、自分が救える命の少なさに愕然とし、日々どうしたらいいのか苦悩の中にいながら医師として働いていた。
そんな中、末期の胆嚢がんと診断された患者が一止のもとを訪れる。

実は私、神様のカルテはリアルタイムでは見れていなかったのです。

その理由は単純に血とか痛々しいシーンが苦手だったから。結局原作も読んだことがないまま、大学の卒業旅行でフィンランドに行った帰りの飛行機で、たまたまラインナップに並んでいるのを見つけました。

乗ったことある人なら分かるかと思いますが、国際線の映画のラインナップって、それなりに最新の映画があるけど、数は結構かぎられるんですよね。。

他にも見たのかもしれませんが、国際線で片道10時間近くかかる便だったのもあって、たぶんほとんど見尽くしていたんだと思います。

そんな感じで出逢いは偶然だったものの、なんとなく気になって機内で見て、正直に言いますが……結果ボロ泣きしました(笑)

それまであんまり映画とか見て泣くタイプじゃなかったし、ましてや人が多い機内で泣くなんて、それまでの自分じゃありえませんでした。右隣は一緒に行った友達だったと思いますが、正直「大丈夫?この人……」と思われても仕方ないレベルで泣きました……笑

私が医療系苦手だったのは、ストーリーの中で「さあ泣かせるぞ!」とやたら誇張してくるものがあるのも理由の1つでした。確かに現実ではいろいろなことが起こるのだろうけど、あまりにも強調されすぎて逆に感情移入できない……と思うことも正直あったり。

しかし神様のカルテはもうすべてがリアルなのです。

栗原一止演じる櫻井翔はもう完全に栗原一止だし、栗原榛名演じる宮崎あおいは完全に栗原榛名だし、映画のキャスト全員が、本当に信州の病院に勤めている医師や看護師に見えてくるのです。そして患者としてやってきた安曇さん(加賀まりこ)も。

末期の胆嚢がん患者としてやってきた安曇さんに、一止ができることはほとんどなく、一止は大学病院での高度な治療を安曇さんに勧めますが、彼女はこの病院にいさせてくれと懇願します。

御嶽荘では、自称画家を名乗る男爵と哲学を愛する大学生の学士殿がいますが、彼らは社会に上手く馴染めず、自分たちがいる場所を”社会の底辺”と蔑みます。

そんな彼らの一縷の希望は、唯一夢を叶えて医者になった一止、ドクトルでした。

『あの泣き虫ドクトルが私たちの中でただ1人、夢を叶えた。昔は玄関の前でよく泣いてました。』と御嶽荘で昔からの顔なじみの学士殿は言うのに対して、榛名は一言。『今でも泣いてますよ。ただ、涙を流さなくなっただけで。』

この物語の素敵なところのもう1つは妻・榛名の存在。とても優しくて可愛くて、周りを朗らかにする空気を持っているのに、その芯はとても強いのがこの台詞からも見て取れます。(この理由は原作で後々明かされます)

榛名の存在は男爵や学士殿にとっても癒しであり、彼女は2人から姫と呼ばれています。

一止が毎日、悩み、苦しみ、もがき、また悩むその横にはいつも榛名がいて、言葉ではあまり言わないけれど常に一止を支えているのです。

あまりにも可愛く、優しく、強く、しなやかな榛名は完璧そのものですが、彼女みたいになりたいなあと映画を見るたび思ったりします。

神様のカルテは映画では第2作まで出ていますが、私はその2作ともDVDを持っています。そしてちょっと心が疲れたとき、涙を流したいときに必ず見るデトックスDVDになっています。相変わらずどちらもいつも同じ場面で泣きます……。

この映画を見ると、単純に医療ものというだけではなくて、御嶽荘で暮らす男爵や学士殿が感じる社会の生きにくさ、長野松本の自然の豊かさ、人と人との支え合いを感じて、2作とも見終わったときに悲しさだけでない何か温かいものが心に残ります。

それは単純に言えば、生きることの素晴らしさなのかもしれないし、自然の雄大さなのかもしれないし、普段は見えない心のつながりなのかもしれません。

まだ見たことない方は是非見てみてください。

そして見たら必ず、長野松本に行ってみたくなりますよ。


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