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【アンケート結果】2022/9/3(土)勉強会

2022年9月3日(土)に開催された第3回勉強会についてご報告します! 

■勉強会について 

<概要> 
イベント名:第3回 医療者と患者さんのコミュニケーションに関する勉強会 
実施日時:2022年9月3日(土)14:00-16:00 
講師:片木美穂さん(卵巣がん体験者の会スマイリー代表) 
参加者:学生(15名)、患者さん(5名) 
運営:学生スタッフ(4名)、いしかわ多職種連携教育プロジェクト「あいまいぴー」(3名)

<プログラム> 
14:00〜 導入・片木さんによるレクチャー
14:45〜 グループワーク、ロールプレイ 
15:30~ ロールプレイを踏まえて、片木さんによるレクチャー
16:00  終了 
16:10~ 懇親会(自由参加) 

<勉強会の内容> 
冒頭、運営よりご挨拶、勉強会のルールに関する説明、勉強会の趣旨についてお伝えしました。(発起人である遠藤(金沢大学)が勉強会の開催に至るまでの根本になった思いについては、こちらをご参照ください。) 
続いて、講師の片木美穂さんより、「がん患者にとっての納得の診療」について、レクチャーをしていただきました。片木さん自身の実際の卵巣がん体験談を伺うことができ、患者さん目線で「がん」という病がどのように捉えられているものなのか、どのような不安があるのか具体的なイメージを掴むことができました。

レクチャー後には、参加学生同士で班に分かれ、ロールプレイを行いました。その前には、同じ役割になった学生同士で集まり、事前準備を行いました。ロールプレイでは、患者、医師、看護師、患者家族という4役のいずれかを担当し、がんに関する仮想の事例について、実際の場面を想定してロールプレイ、議論を行いました。また、その内容について患者さんからフィードバックを頂きました。前回までのグループディスカッションとは異なる形式に苦戦しつつも、それぞれの視点に立って考えることによって、新たな気づきを得ることができました。

ロールプレイ後には再び片木さんにロールプレイのフィードバックおよび追加のレクチャーをしていただきました。患者さんへの対応時に、適切な声かけの方法などを教えてくださり、非常に参考になりました。レクチャーでは、相談に来られた数多くの患者さんに対応されたご経験をもとに、一定の患者さんに共通する考え方、先入観、思考の偏りについて説明してくださいました。最後には、シェアード・ディシジョン・メイキングという概念の重要性についてお聞きすることができました。

今回の勉強会でも、全国の大学からお集まりいただいた学生と、様々な背景を持つ患者さんとの間で、リアルで濃密な意見交換が行われました。特に、今回は医療系の学生全体に募集をかけ、医学科生だけでなく、看護学科や薬学部などの医療系学生間の交流・学びの場を設けられたことは、運営として大きな前進となりました。第2回までの勉強会に引き続きご参加くださった学生が多く見られたのも嬉しい限りです。 

また、今回は新たな試みとして、いしかわ多職種連携教育プロジェクト「あいまいぴー」との共同開催となりました。今後も、様々な方々の協力のもと、勉強会を開催し、幅広く活動できればと考えております。

片木美穂さん、「あいまいぴー」のみなさま、ご協力くださりありがとうございました。

■学生のアンケート結果

参加した15名の学生のうち、14名からご回答をいただきました。

<学年>

1年生から6年生まで、様々な学年の方にご参加いただきました。

<片木さんのレクチャーの感想(抜粋)>

  • 医学部に入学してから「患者さんの立場に立った医療を」とよく耳にしていたが、実際に患者さんのお話を聞かせていただける機会がほとんどなかったため、今回のような機会は非常にありがたかったです。

  • がん患者さんの不安やその原因はどこから来るのかを知り、医療者とは大きく異なる視点を持ち多様な考え方をしているのだと学びました。その上で、医療者はどのように受け止めて、関係を構築していくのがいいか深く考えて行動に移す必要があると考えました。

  • 患者さんの意思を尊重した治療方針を提案することはもちろん重要ですが、患者さんに全て意思決定を任せるという姿勢ではなく、患者さんと一緒に考えながら、最終的に患者さんに意思決定をしてもらいたいという姿勢を患者さんに見せ、それを実行することが医療者として大事だと思いました。

<ロールプレイの感想>

ほとんどの参加者が「良かった」「まあまあ良かった」と回答しました!

<ロールプレイの感想(抜粋)>

  • 病気の当事者として、2つの治療法の間で揺れ動く気持ちがわかった気がします。(患者役)

  • 始まる前は患者さんのお話を聞くことをしっかり意識していたが、いざ始まると説得するような流れになってしまい患者さんや家族の気持ちや理解度を見ながら話を進める難しさを痛感した。(医師役)

  • 診察室中では、やはり医師と患者さんのやりとりが中心になっており、看護師が会話に介入できるタイミングの難しさを感じた。(看護師役)

  • 医学部の授業では、普段は医師からみた患者役をするのですが、今回は実際に患者役をしなければならないとなって、医師に自分の思いを伝える時に緊張することなどの患者の考え方をより考えることができて本当に良い体験だった。(患者役)

<ロールプレイ中、心のなかで思っていたが言えなかったこと(抜粋)>

  • 目の前の患者さんで頭がいっぱいになってしまい、看護師さんへ助言を求めたりするタイミングが掴めなかった。(医師役)

  • 家族は医療者よりも患者の近くで接するため、患者からストレスを受けることも多いと思う。そのため家庭内で衝突が起こることもあると考えた。(患者家族役)

  • 病気を直接治す力は自分にないかもしれないが、患者さんの不安を少しでも取り除けるようなお声がけができればと思った。(看護師役)

  • 患者の気持ちや考えを理解するために、患者と患者家族が話す時間があればと感じました。(患者家族役)

■片木さんへの質問と回答

Q.この度は貴重なご講演をいただき、ありがとうございました。将来自分の大切な人ががんになった時にどうしたらいいのか、すごく不安に感じました。医療従事者として、そして一人の人間として、どうやってそばにいる人<がんに向き合っていくことが重要だと思われますか。ご意見をいただきたいです。よろしくお願いいたします。

A.大切な人ががんになったらどう向き合うか・・・本当に難しいですよね。

私の経験ですが、私が卵巣がんになって一番辛かったことは、法事があり親戚が集まった際、父に「親より先に死ぬな」と言われたことでした。
親戚は私が卵巣がんであることを知っていたので父の娘を大切にする思いを知り涙する人までいたのですが・・・。
私からすると
・どうして他人の前でそういうこというの?いい父親だとおもわれたいの?
・死ぬなって私が卵巣がんで死ぬと思ってるの?
・死にたくなくったって死ぬかもしれないのになんでそんなことをいうの?
などいろんな感情が生まれてきて・・・でもその後に感じるのは「父には悪気がないのに悪く受け止める自分の醜い心に対する自己嫌悪」でした。

患者さんからの相談のなかでも「自分が卵巣がんになったら娘が仕事をやめて家で看病と家事をしてくれるようになったのが辛い」という相談を受けることもあります。
娘さんの優しさに感謝をする一方で、娘さんが会社を辞めることをになってしまった、看病や家事で娘さんの負担になっている、娘さんの時間を奪っている、自分が迷惑になってるのが辛いのだと思うのです。

・まずはあなたの生活を大切にしてください(可能であれば仕事をしたり趣味なども楽しんでください)
・大切な人が、もしあなたに病気のこととか悩みや不安を話し出した時には、テレビやスマホを切りお話を聞いてあげてください。
・大切な人が、病気に関する不安や悩みを話しても”答えを出す必要はありません”。それは不安だね、難しい問題だよねと共感して聞いてくれるだけで十分ありがたいです。
・できればお話がおわったあとには「話してくれてありがとう」「今日は話せてよかった」というメッセージを伝えてください。「話を聞くからね」はあなたが大切な人のためにわざわざ話を聞いてあげたと言う印象になるのでNGです。

負担にならないかたちで、あなたが自由に使える時間のなかで可能な部分を大切な人と過ごす、それだけで思いは伝わります。

また、医療者になってチャンスがあれば緩和ケア講習会などにも参加してみてください。
あとはコミュニケーションの勉強会なども参加してみてください。
今回、少しだけご紹介したSDMだけではなく、SPIKES SHAREといったコミュニケーションスキル、コーチングやマインドフルネスといったいろんな技術を学ぶことでどんどんコミュニケーションの技術はあがっていくと思います。

Q.闘病中どんなことを思って日々生活してたか知りたいです

A.闘病中に私がおもっていたことは「卵巣がんで死にたくないなぁ」っていう当たり前のことかもしれませんね。
ただし、それをずっと考えてるんじゃなくて、たとえば抗がん剤の副作用で関節が痛かったり吐き気がつらかったら「早く楽になってくれへんかなぁ」って思ったり、治療の副作用が落ち着いてきたら「早く退院できへんかなぁ」って思ったり。
早く何年も経過して自分が元気であれたらなぁって思ってました。
幸い私は18年再発せずに生きてきて、2歳だった息子が成人して社会人になるまで生きていたわけですが、今になって思うのはそれは「たまたま」であって。
でも、卵巣がんになったからこそ「思い通りに人生はすすまない」ことを理解できたし、病気になって死の怖さをちょっとは感じて、抗がん剤の辛い副作用も味わったし、子宮も卵巣もなくなってしまった女性の辛さも味わったので「ちょっとだけ他人に優しくはなったかな」と思います。今は、たまたま私は元気に生きてるけど、たまたまもらった人生だから、できる限り患者さんのために使おうと思ってます。

また、今回の勉強会にご参加いただいた患者さんから、学生へのメッセージを頂戴しましたので、是非ご覧ください。
今後も定期的に勉強会を続けて参りますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

↓↓いしかわ多職種連携教育プロジェクト「あいまいぴー」のポスターです。

興味のある方は是非あいまいぴーにご連絡を!