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金沢大学医薬保健学域医学類の遠藤と申します。
興味を持ってくださり、ありがとうございます。
「患者さんとのコミュニケーションギャップを考える」というテーマで勉強会を開催しようと思った経緯についてご説明します。
突然ですが、「がん」という病気に対して、どのようなイメージをお持ちでしょうか?
これは、私が6年前まで思っていたことです。
「なんとなく治療が大変そう」というイメージしかありませんでした。
5年ほど前に身近な人ががんで亡くなり、患者さんやご家族が誤った情報に踊らされているということを知りました。
科学的根拠が乏しいにも関わらず、「がんが治る」という宣伝をし、患者さんに高額な治療を受けさせるような人がいます(私は実際に付き添った経験があります)。
また、患者さんは家族や知り合いから「〇〇でがんが治る!」という本を勧められたり、「〇〇ジュースがいいよ」等のアドバイスをもらったりすることもあります。
食事でがんが簡単に治るなら、こんなにも多くの研究者が治療法開発に向けて奮闘することはないでしょう。
効果がない等のリスクを理解した上で試してみるのであれば、問題はないと思っています。
しかし、
・効果がないものを効果があると信じ、たくさんのお金を使ってしまう
・有効性が証明されている標準治療を受ける機会を失ってしまう
というのは問題だと思います。
では、なぜ患者さんやご家族は誤った情報に騙されてしまうのでしょうか?
原因は複数あると思います。
そもそも騙す人が悪いというのは当然ですが、国が取り締まりを強化するまで何もせずに待っているわけにはいきません。
また、全てのがんを根治できる薬剤が開発されれば解決する可能性は高いと思いますが、それを待つ間にも多くの患者さんが後悔する選択をしてしまうでしょう。
医療を学ぶ学生としてできることは、患者さんと信頼関係を築く方法を学ぶことだと考えました。
友人や家族と話していても、伝えたいことが上手く伝わらないことや、誤解が生じることはあると思います。
価値観も医学的知識の量も異なる者同士が、常に100%誤解のないコミュニケーションを取ることはできるでしょうか?
生死に関わるような話の中で誤解が生じると、どのような問題が起きるでしょうか?
患者さんやご家族の中には、医師や標準治療に不信感を抱いてウソの情報に騙されてしまう方や、「『健康食品を使いたいなんて相談したら嫌な気分にさせてしまうのではないか』と心配で、主治医に相談できない」という方もいらっしゃいます。
また、近年、がん患者さんに対する調査において、医療従事者とのコミュニケーションに関する項目が追加される等、コミュニケーションの重要性が注目されてきています。
せっかく大学でたくさん勉強して大変なテストを乗り切って国試を乗り切って医療従事者になったのに、伝えたいことが患者さんに伝わらなかったらもったいないと思いませんか?
そこで、患者さんやご家族の言動の背景にある、「少しでも良くなりたい」「少しでも良くなってほしい」という思いを理解し、より良いコミュニケーションについて考える機会を作ることにしました。
医療従事者や患者さんから直接お話を伺い、コミュニケーションギャップについて考える勉強会を定期的に開催していきます。
専門知識がなくても参加できる内容にしますので、学年問わずお気軽にご参加ください。
コミュニケーションギャップはがんに限った話ではないため、がん以外の内容も取り上げる予定です。
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本プロジェクトの立ち上げに際してご指導いただきました、大野智先生(島根大学医学部付属病院)、片木美穂さん(卵巣がん体験者の会スマイリー代表)、ご講演やご参加を快諾してくださった先生方や患者さん、ご家族、ご遺族の方々に感謝申し上げます。
今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。