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ヘルステック・デジタル技術関連ニュースまとめ 2024#27

この1週間に弊社Facebookページ等で紹介したヘルステック・研究・産業、ロボット・AI等デジタル技術関連ニュースをまとめて紹介します。
※ 記事のリンクが切れている場合は記事名で検索していただくとヒットする場合があります。
※ 過去のまとめはこちらのマガジンに。

今週はVRとスタートアップ関連が多かった印象です。個人的注目トピックは

  • スタートアップのインキュベーションシステム関連ニュース多数。資金投入が増えている中で国内ヘルステック・メドテックエコシステムの足りないピースは?

  • Apple Vision Proの刺激もあり医療VRの開発も盛ん。教育以外では治療(メンタルヘルスや弱視治療)に期待。

  • da Vinci SPによる国内初の乳頭乳輪温存乳房全摘出術の報告。整容性に強みを持つSPが婦人外科領域での適応を増やすことに期待。

です。


・医療AI

米オープンAI、ロックセットを買収、企業向けアプリケーション市場での競争力強化へ(米国) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース - ジェトロ (2024.07.01)

「企業内部データの分析やリアルタイム検索に特化したスタートアップのロックセットの買収を発表」

「金融取引やサイバーセキュリティー、マーケティングなどへの活用のほか、医療分野でもリアルタイムデータ処理により、患者のモニタリングシステムを強化し、タイムリーな介入や個別化された治療方針を提供することが可能になるという」

ジェトロ (2024.07.01)

【ロングバージョン】AIでデータ解析、がん最適治療 ソフトバンクG、米社と医療事業 | 時事通信 (2024.07.01)

Tempus AIとの合弁会社設立に関しての孫正義氏の発表映像。約50分。

スマホのツールによる顔のスキャンで脳卒中を検出 | Medical Tribune (2024.07.01)

「人工知能(AI)で駆動するこのツールは、顔の対称性と特定の筋肉の動きを分析し、脳卒中のわずかな兆候を検出することができるという」

「研究グループが、脳卒中を発症した14人の患者と11人の健康な人の動画を用いてこのAIツールの脳卒中検出能を検証したところ、82%の精度で脳卒中を検出できることが示された」

Medical Tribune (2024.07.01)

論文は
Facial expressions to identify post-stroke: A pilot study

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0169260724001913?via%3Dihub

AI対応心電図で再灌流までの時間短縮 STEMI患者対象の台湾・ARISE試験|Medical Tribune (2024.07.04)

NEJM AIの論文。

「救急科患者におけるdoor-to-balloon timeの中央値は、対照群の96.0分(四分位範囲78.0~137.0分)に対し介入群(AI-ECG群)では82.0分(同62.5~89.5%)と有意に短縮した(P=0.002)。」

Medical Tribune (2024.07.04)

論文は
Artificial Intelligence–Powered Rapid Identification of ST-Elevation Myocardial Infarction via Electrocardiogram (ARISE) — A Pragmatic Randomized Controlled Trial

https://ai.nejm.org/doi/full/10.1056/AIoa2400190


・手術支援ロボット

リバーフィールド、売上高90億円超へ 4年後めど | 化学工業日報 (2024.07.01)

「力覚(触れた感触や抵抗などを感じる能力)を施術者と共有できる独自の手術支援ロボットをドライバーに、4年後をめどに売上高90億円超を達成する」

化学工業日報 (2024.07.01)

ソニー 4ミリの指先 “手術ロボ”開発 | NHK | ビジネス特集 (2024.07.02)

マイクロサージャリー支援ロボットの取材。

「取材のなかで、ソニーの開発担当の技術者は、人とロボットを隔てない「人に寄り添い共存する」というコンセプトを大事にしたと語った。」

NHK | ビジネス特集 (2024.07.02)

参考:Microsurgery Assistance Robot 微細な外科手術を支援するロボットの技術開発|SONY

https://www.sony.com/ja/SonyInfo/research/projects/microsurgery_assistance_robot/

手術支援ロボットの最新機種ダビンチSPによる 国内初の「乳頭乳輪温存乳房全摘出術」を施行 ~整容性と根治性を両立した体への負担が少ない乳房再建手術~|藤田医科大学(2024.07.05)

2024年4月・6月に2症例実施し経過良好。Xiでの症例は報告あるがSPは国内初。

整容性の高いSPは婦人科での活躍が期待される。


・医療VR/XR

CT検査画像を複合現実で観察できるトレーニングシステム「MR Anatomy」を提供開始 〜 医療従事者による肺の立体的な構造の理解促進に貢献 | 日本メドトロニック (2024.07.03)

ザイオソフトの3D医用画像処理システムとキヤノンのMR用HMDによるMR教育システム。
月額使用料25万+税。

⽇本医療研究開発機構(AMED)令和6年度「医工連携イノベーション推進事業(開発・事業化事業(ベンチャー育成))」の採択決定について | InnoJin (2024.07.03)

『バーチャルリアリティを用いた小児弱視訓練用プログラム医療機器に関する研究開発』が採択。

AIの活用進む中国の医療現場 「Apple Vision Pro」もオペ室で活躍中?|人民網日本語版 (2024.07.05)

「北京大学人民病院のオペ室で、同病院の王俊院士が率いるチームが、中国国内で初めて「Apple Vision Pro」を活用して、胸腔鏡を使った肺がんの根治を目指す手術を行った」

人民網日本語版 (2024.07.05)

他にも

「復旦大学附属産婦人科病院の専門家は、「5G+AI」技術を活用して、手術支援ロボットを正確に遠隔操作して、2000キロ以上離れた場所にいる、多発性子宮筋腫が原因で貧血が起きている患者を対象に、腹腔鏡手術を行った。かかった時間は約2時間で、手術は無事成功した。」

人民網日本語版 (2024.07.05)

卒後の臨床看護技術教育における革新的スマートグラスを取り入れたデジタル教育ツールに関する共同研究開発契約を締結|東京工科大学(2024.07.05)

順天堂大学×東京工科大学。
点滴静脈注射、点滴の管理のARを活用したOJTから開始。


・フェムテック

東大発ベンチャー issin、AMED「研究開発基盤整備事業」(健康・医療情報活用技術開発課題)に採択 (2024.07.01)

「issinは本事業で、出産にリスクを感じている女性に対して、「スマートバスマット」「スマートデイリー」「目標体重を導き出すアルゴリズム」を用いて、妊娠合併症予防のための健康アプリ等の実用化に向けた研究開発を行い、妊娠間の健康管理(インターコンセプションケア)の支援を行います」

issin プレスリリース(2024.07.01)


・大学・研究

NICTとKDDI、大規模言語モデルに関する共同研究を開始 ~ハルシネーション抑制やマルチモーダルデータを扱う高性能LLMを開発~ (2024.07.01)

こういう部分でも通信事業者がLLM使う強みが出てくるのか。

「地図画像および付随する建物情報などのマルチモーダルデータをLLMで取り扱う技術」により、「LLMによる位置関係の把握などが可能になるため、例えば通信事業者のお客さま応対に適用することで、問題が発生している設備やエリアの迅速な把握が可能となり、通信品質の改善につながることが期待されます」

KDDI プレスリリース(2024.07.01)

「安い」日本、トップ研究者どう集める 収入差3倍超も 科技立国 壁を越えろ(1) - 日本経済新聞 (2024.07.02)

平均を上げることもトップを上げることも重要

博士課程卒業者は不遇か?―「就業構造基本調査(2022年)」からの観察― | 森川正之 | 経済産業研究所 (2023.09.05)


博士卒の60歳以上有業率・賃金プレミアムは高い、という調査報告。

これだけ見るとかなり高そうだけど、R5厚労省賃金構造基本調査によると大卒男性の賃金が400万程度、院卒でも490万程度。これからすると博士卒のプレミアムが75%でも700万。

自宅の改造が脳卒中患者の自立を助け生存率を高める|Medical Tribune (2024.07.04)

介入群(自宅改造群)は特養施設入所率と死亡率が対照群よりも有意に低下。

米国ならではの部分は自宅改造費を保険会社にどう負担させるかという論点。

「このプログラムを実施するための最大の障壁は、住宅改造費用を保険会社に払い戻させることだ。500ドル(1ドル160円換算で8万円)の住宅改造で病院や高度看護施設を利用せずに済むのなら、私には何の問題もないように思われる」

Medical Tribune (2024.07.04)

論文は
Community Participation Transition After Stroke (COMPASS) Randomized Controlled Trial: Effect on Adverse Health Events

https://www.archives-pmr.org/article/S0003-9993(24)01004-9/fulltext

「考えるだけで動かせる」MIT開発のバイオニック義肢|MIT Technology Review (2024.07.04)

装着前にnatural muscle dynamicsを再現するために作動性筋と拮抗性筋を接続する手術も行う方法。なるほど。

論文は
Continuous neural control of a bionic limb restores biomimetic gait after amputation


・スタートアップ・起業

千葉大・横浜市大、健康など起業続々 実務経験者が指導 データで読む地域再生 関東・山梨 - 日本経済新聞 (2024.06.21)

千葉大スタートアップ・ラボ片桐大輔教授の取材。
アントレプレナーシップ(起業家精神)にふれることの重要さについて。

参加募集相次ぐ「スタートアップ支援プログラム」スタンフォード大学も協力 | M&A Online (2024.06.29)

アクセラレーションプログラムや海外展示会出展補助など。

豪アクセラレーターのメドテック・アクチュエーター来日、広島のスタートアップと面談(日本、オーストラリア) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース - ジェトロ (2024.07.03)

ヘルスケア・医療機器関連のスタートアップ4社との個別面談を実施。

「海外企業にとって、日本の地方にどのようなスタートアップが存在し、どのようなエコシステムが形成されているのかという情報は得にくいという現状がうかがえる。こうした中、各地のエコシステムと連携することの利点も含め、情報発信を強化していくことが重要と考えられる。」

ジェトロ (2024.07.03)

Funds Startups、1号案件としてディープテック・スタートアップのアイリスにベンチャーデットを実行 (2024.07.03)

6月28日付けで4億円のベンチャーデットを実行。

医療データ利活用のYuimedi、米国法人を設立。4億円を追加調達 (2024.07.02)

「Yuimedi はこの課題に対するプロダクトとして、生成AIを用いた医療データ抽出ソフトウェアである YuiQuery の開発を米国主導で進めております。すでに医療機関に在籍しているデータサイエンティスト約10名がテストユースを行っている状況です。」

Yuimedi プレスリリース(2024.07.02)

Yuimediは今年のスタートアップワールドカップ東京予選登壇企業の1社。(唯一の医療機器系)

日本のスタートアップブームの「終わりの始まり」を食い止めるために|馬田隆明 (2024.06.23)

いわゆる「100均問題」や「海外起業の是非」など重要な指摘が沢山。

スタートアップの本当の意味での「大きな挑戦」を応援するためには。

「ラボ付きコワーキングスペース」で急成長中のスイス新興企業 | Forbes JAPAN 公式サイト (2024.07.01)

医療機器の場合「工房付きインキュベーションスペース」があると便利だが、課題は「設計〜図面までを担当してくれる外部の人」がいないこと。機器に必要な機械・電子・情報全てに精通して設計できるチームを創業時に作るのは難しい。

米TripleRingほど大きく無くても、特定分野の設計相談まで含めた小規模外注プロトタイピングに対応してくれる企業が日本にも必要。


・マーケット・企業

新生 富士フイルムメディカル スタート 富士フイルムヘルスケアの国内営業部門を統合 (2024.07.01)

富士フイルムヘルスケアの残りは本体へ統合し消滅。

がん検診を中心とした健診センター「NURA(ニューラ)」をベトナムに展開 健康診断サービス事業を東南アジア地域に拡大 | 富士フイルム (2024.07.01)

インド・モンゴルに続きベトナムにNURAを展開。

「「NURA」では、当社が持つCT・マンモグラフィなどの医療機器や医師の診断を支援するAI技術を活用して、がん検診をはじめ生活習慣病検査サービスを提供。すべての検査と医師による検診結果のフィードバックが、約120分という短時間で完了する点や、フィードバックの際に、医師から健診結果に関する説明を診断画像を見ながら分かりやすく受けられる点などが、利用者から好評を得ており、すでに45,000人以上の方にご利用いただいています。」

「ベトナムでは、日本と同様、労働者に対する定期健診が義務化されていますが、健診の受診率は約3.5%と低く、病気の早期発見が難しい現状があります。」

「ベトナムでの健診文化の定着を目指して、周辺地域の病院や企業に対して健診の重要性を伝える活動にも取り組んでいきます。」

富士フイルム プレスリリース (2024.07.01)

関連:富士フイルムがベトナムに健康診断施設を展開 日本式予防医療を事業化、AI活用も | 産経新聞 (2024.07.01)

“データセンターの電力不足懸念” 企業で省エネ取り組み加速 | NHK (2024.07.03)

「夏場はAIの利用を自粛」とかならないように…


・行政・規制

武見敬三厚生労働大臣に対し、グローバルヘルス分野における日本のODA支出拡大を要請 (2024.07.03)

6点の具体的なアクションの実行を要請。

1.途上国のニーズも踏まえた研究開発支援強化
2.海外での調達支援の構築・強化
3.グローバルヘルス人材育成
4.日本のODA支出総額拡大
5.外交政策上の戦略分野として明確に位置付ける
6.国際機関への拠出金を戦略的に拡大&日本の発言力強化

この手のグループでは珍しく女性リーダーが3名もいらっしゃるのは好印象。

デジタルヘルスツールのアクセシビリティ強化に向けグーグルと協力 インド|SciencePorgtal India (2024.07.01)

「糖尿病網膜症スクリーニングのためのAIモデルである自動網膜疾患評価(ARDA)のようなデジタルヘルスツールのさらなる開発、そしてインドが進めるオープンで相互利用可能なデジタルヘルスケア基盤である アユシュマン・バラット・デジタル・ミッション(ABDM)への支援を求めた。」


・デザイン

高齢社会の次の打ち手としても注目される「デジタルヘルス」とは?インクルーシブデザインスタジオCULUMUが医療の未来を支えるヘルスケアアプリの事例を一挙公開 | STYZ (2024.07.02)

医療機器はUXデザインで性能が大きく変わる。

UXデザイン大事。

米政府系サイトの常識を変えた「デザインシステム」革命 | MIT Technology Review (2024.07.03)

日本でも例えば厚生労働省は広報改革としてUDに配慮したロゴ制作やpptフォーマットの統一を図っています。
最近ではデザイン専門官の募集も。

参考:
厚労省「広報改革」を解説します。|厚生労働省

「共感」と「信頼」のための広報改革|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000779360.pdf

厚生労働省ロゴタイプの制作|Makoto Tomita


・イベント

神戸国際展示場で「からだの科学体験びっくりアドベンチャー」開催 神戸市 (2024.07.02)

医療機器に関する親子体験型イベント。7月28日開催。

手術支援ロボットhinotori、等身大デジタル3D解剖モデル、DMATカー、iPS細胞などが見られます。

「ジャパン・ヘルスケアベンチャー・サミット2024」を開催します | 厚生労働省 (2024.07.02)

医療系ベンチャー展示会。
10/9~10/11にパシフィコ横浜で開催。
出展申込締切は7/19。

Forbes JAPAN WOMEN AWARD 2024|女性の活躍推進を発信するアワード エントリー受付開始! (2024.07.02)

企業と個人が対象。エントリー〆切は8/10。

埼玉県上尾市「上尾中央総合病院」が小学生向け体験型セミナー『ロボット手術を学ぼう!』を8月3日(土)に開催 (2024.07.04)

自動縫合機体験・糸結び体験・ダビンチの操作体験などを予定。
埼玉県内在住の小4~小6対象(要保護者付添)。定員12名。〆切7/23。

第8回沖縄県ブラック・ジャック セミナー|琉球大学病院 おきなわクリニカルシミュレーションセンター (2024.07.02)

内視鏡手術・心臓手術・縫合結紮・救急救命体験など。
沖縄県内中学生対象。定員35名。申し込み〆切7/21。

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