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薬理作用をラブコメ漫画にしてみた!

こんにちは、メディカルイラストレーター(MI)のロボです。

4月1日はエイプリルフール。その日、メディックメディア『病気がみえる』の公式SNS(以後「みえる系SNS」)ではこのような投稿がありました。

みえる系SNSでの実際の掲載やコメントなどはこちらから見れます。
➡各SNS(XInstagramTikTok

この漫画は、エイプリルフールの企画で作成したものなので、実際には出版されません。
一見するとただのラブコメ漫画ですが、内容をきちんと読んでいただくとちゃんと薬の作用を学べるようになっているんです!

この漫画がどうやって生まれたのか、企画から投稿に至るまでの記録をまとめましたのでぜひご覧ください!


今年のエイプリルフールは何する?

私ロボが運営に携わっているみえる系SNSチームでは、4年前からエイプリルフールに何か楽しいことができないかということで毎年企画を考えてきました。
2021年は絵本、2022年にアイドル化、2023年はとうとう3D映画に!

毎年クオリティーが上がっていく…

そして今回は…、昨年候補にあがっていたのですが実現できなかった「『病気がみえる』の漫画化」をやってみよう!となったのです。

企画は昨年末に確定し、1月より徐々に準備をすすめました。

なんの漫画にしよう?

「エイプリルフールに、病気がみえる編集部から初めての漫画がでる!」というゴールはきまったものの、3人いるみえる系SNSチームのメンバーそれぞれの頭の中にあった漫画のイメージが違いました。

内容面では、書籍『病気がみえる』自体が出てくるもの、臓器などの擬人化、みえる系SNSの公式キャラクターである“みーさん”の漫画、など。
ジャンルはバトル、恋愛、ホラー、ミステリー、ギャグ、SF、裏社会??などが候補に挙がっていました。あまりにも多岐にわたるため、チーム内での意思統一をしました。

案の検討記録

“SNSウケがよさそうで男女関係なく万人受けしそう”ということで最終的に「薬と受容体の学園ラブコメ」という方向で進めてみることになりました。

薬学編集者の妄想が爆発!

薬の話ということで、『薬がみえる』の制作に携わる編集者に漫画にできそうなネタはないか、と相談しました。すると、もともと物作りが好きな編集者からネタのアイデアがたくさん送られてきて、SNS運営チームは大喜び。

薬(男子学生)といろんな受容体(女子学生)の話で3つ、さらにそれ以外の流れで思いついたものとして6つもアイデアを提供してもらいました!

そのなかの1つで最終的に漫画になる原案がこちらです。

プロドラッグ・カペシタビン(参照:『薬がみえるvol.4』p.284、『薬がみえるvol.3』p.354)」
フルオロウラシルは、標的部位(がん細胞)以外でも細胞傷害作用を示すために副作用を引き起こす。
➡化学的修飾によりカペシタビンになることで、がん細胞以外では作用を示さなくなる。
➡がん細胞がもつ酵素に代謝されてフルオロウラシルになることで、初めて作用を示すようになる。
➡ちなみにフルオロウラシルはDPDにより代謝されてFBALになることで別の副作用を引き起こす。FBALは尿中排泄される。

フルオロウラシルくんは女子であれば誰でもナンパしてしまうチャラ男。本命はがん細胞ちゃんだけど、毎日街中の女子を口説きまくっているせいでがん細胞ちゃんに告白できない。
➡必死の努力によりがん細胞ちゃん以外は目に入らない誠実な男子に。
➡がん細胞ちゃんを見ると溢れ出る思いで告白!見事カップル成立!
➡でも時間が経つとまた違うタイプのチャラ男になっちゃった。チャラ男は制裁(排泄)されるのであった…。

漫画の原案

これを、普段から趣味で漫画を描いているMIのおにくさんが学園ものとしてネームに起こしてくれました。

おにくパワーで更にイメージが膨らむ!

一旦カペシタビンの原案でラフを描いてみました。ラブコメがわからない…。
ラフネーム初校
フルオロウラシルの細胞傷害っぽさを出そうとしたら善悪が逆転している
(薬が悪者でがんが良い人に表現されている)のがちょっと気になるところです。

いやいや、すご〜!!

またしてもSNSチームは歓喜します。この企画はうまくいきそうだと確信しました。
が、ここで盛り上がりは終わらず、薬学編集者から更なるアイデアが追加されます。

下記のようにしたら実際の作用に近づきそうです!

フルオロウラシル=不良
カペシタビン=ぱっと見、不良っぽくない見た目で、がん細胞ちゃんは思わずときめいちゃう、親衛隊も油断しちゃう。
➡がん細胞ちゃんの前で本性現す。
➡がん細胞ちゃん「イヤー!」親衛隊「やばいやつだった!ギャー!(フルオロウラシルに殴られる=正常細胞の傷害)」

なるほど。それを聞いたおにくさん。

善悪をストレートに戻して実際の作用に近づけるなら下記のパターンはどうでしょう?
(ラブコメかは怪しい)

学校で暴れ回るスケバンがん細胞を討伐するために転校してきた最強イケメンフルオロウラシル(目を見ただけで誰もが恋に落ちる)
➡ぐるぐるメガネで冴えない男に変装して潜入(偽名カペシタビン)
➡スケバンの前でメガネを外して超絶イケメンパワーでスケバンメロメロ
➡一般生徒もメロメロになる
➡風紀が乱れるのでずた袋に詰められて追放される(代謝→排泄)「やれやれ……罪作りだなオレは……!」(ドヤ顔)

ネーム修正版

もう最高です。

内容の深みもありつつ、表現としても面白い漫画のネームが完成しました。嬉しすぎてSNSチームのみんなはテンションがおかしくなっていました。

そして完成へ

ネームは作るけど清書は“少女漫画っぽい絵柄”が得意な人が描いてくれ!と言い残し、ギャグ漫画専門のおにくさんは颯爽と去っていきました。

そこで最後の大役を引き受けてくれたのがMIのミジンコさん!
おにくさんの漫画表現のニュアンスを上手く汲み取りながら、みえる系SNSチームが表現したかったラブコメ感を絵で表現してくれました!
キャラクターもより特徴を付けてまとめてくれました〜。

下書き
原案とネームが神

うおー!すごい!ちゃんとラブコメになっている!!さすがだ!!

フルオロウラシルくんビジュ良っ!
カペシタビンくんのズッコケ感、がん細胞ちゃんの昭和スケバン感、たまりません。

そして細かな文字修正やイラストのバランス調整、薬などの説明に飾り枠を付けるなど最後の最後まで調整してくれました !(本当に感謝)

下書き赤入れ

完成したのがこちら!

※大きな画像で見たい方は記事冒頭をご確認ください。
(2ページ目、最後のコマ)構造式がこんなにファンシーな効果になるの初めて見ましたwww
センスの塊すぎるwww

ちなみに実際に本ができあがっているように見せるため、カバーや帯も作りました。カラーイラストもミジンコさん作!やはりカラーイラストがあると映えますね〜。
全体のデザインは私ロボがまとめてみました。今風の漫画っぽくみえるかな?

タイトルや帯のコメントなども薬学編集者からのアイデアをもらってたくさんネタをちりばめた本ができました!実際に売っていそうな感じが出ていたら嬉しいです。

どこかのコマでフルオロウラシルかカペシタビンに「くすり」って笑わせてたら
帯のアオリも回収できて完璧でしたね〜!

みんなの力が合わさると、おもしろいものができるな〜と改めて感じた企画でした。楽しんで参加してくれた皆様、本当にありがとうございました〜。そしてお疲れ様でした!

〜漫画完成後の秘話〜

この他、編集部からは「分子標的薬で合コンさせちゃう?マッチングアプリ話でもいいね」
という声も挙がっていました…。なんだこの会社(褒め言葉)



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