見出し画像

【オーニソプター】昆虫サイズの羽ばたきドローンに新種

昆虫に想を得たバイオニクス(bionics)による昆虫サイズのオーニソプター(ornithopter)式ドローン(drone)に「新種」が誕生した。今回の新種はブリストル大学(University of Bristol)ソフトロボティクス研究所(SoftLab Bristol)のTim Helpsらが開発し、『Science Robotics』で発表した人工筋肉「LAZA」を電界で動かして翼の羽ばたきを制御するソフトアクチュエーター系の小型ロボットである。(尚、本稿では敬称などを省略することとします。)

Liquid-amplified zipping actuators for micro-air vehicles with transmission-free flapping
『Science Robotics』(2 Feb 2022)「Liquid-amplified zipping actuators for micro-air vehicles with transmission-free flapping
DOI: 10.1126/scirobotics.abi8189

昆虫サイズの小型ドローン

このところハーバード大学(Harvard University)の「RoboBee」やデルフト工科大学(TU Delft)の「DelFly Nimble」などバイオニクスあるいはバイオロボティクス(biorobotics)による新しい羽ばたき(オーニソプター)ドローンが相次ぎ開発されている(「新種」の誕生)。

「LAZA」と同じ人工筋肉によるソフトアクチュエーター系のオーニソプターではマサチューセッツ工科大学(MIT)・ハーバード大学・香港城市大学(City University of Hong Kong)のKevin Yufeng Chenらが開発した昆虫サイズの小型ドローンが記憶に新しい。このドローンは狭いスペースでの動作や衝撃に強くリカバリーに優れるのが特徴だった。

SoftLabの「LAZA」

画像1

SoftLabの「LAZA」(liquid-amplified zipping actuator)は電界とその強度を高める油滴を使用して人工筋肉を動かすシンプルな機構であり、モーターやギアなどを必要とせず直接翼に静電力を加えて羽ばたくので効率よく推進(飛行)することができる。

テストでは時速2.5kmで部屋の中を飛び回ることができた。また、100万回以上羽ばたいても性能が落ちないことから長距離の飛行が可能であり、若干ではあるが昆虫の飛翔筋より優れている。

自律型ロボットの新しい駆動システム

SoftLabの研究者らは「LAZA」を自律型ロボット(ドローン)のエネルギー効率に優れた新しい駆動システムとして環境モニタリング、捜索救助、危険環境などで実用化・展開し、小型・軽量で効果的なマイクロ飛行ロボット(micro flying robots)の可能性を広げようとしている。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?