編集グループだけの職位をつくってみた サブリーダー制について
執筆:編集2Gマネージャー原田
今回は、medibaのなかで編集グループが導入した新たな取り組みについてお伝えします。僕らは21年4月より、「会社の人事制度にない職位をつくる」ということをやってみました。結果として育成面、組織運用において大きな効果を得られましたので、マネジメント層育成に悩む人のヒントになれば幸いです。
medibaの人事制度でのキャリアについて
まず、現在medibaのクリエイティブ職(UX/UIデザイナー、エディター)のキャリアアップは、大きく分けてマネジメント領域に進むマネージャーか、より専門領域に進むフェロー(クリエイティブ職独自の「リード人材」含む)の2択です。
スタッフ職のうちは自身のスキルを高めながら、そのどちらに進むかを考えていくことになります。
今回はここを前提としたお話になります。
まず、タイトルにもある「編集グループだけの職位」とは、「サブリーダー(以下、SL)」のことです。そして、ぼくらがなぜそれを導入したかというと……、
導入理由:マネージャー育成を進めたかった
シンプルに自分たちのつぎのマネージャーを育成していくということをやりたかったのです。20年度の編集グループは1名のシニアマネージャーと2名のマネージャーの3人体制でやっていましたが、21年度からはメンバー数はさほど変わらないまま2名体制になることもあり、今後のグループ運営を考えて次代のマネージャーを育てていく必要がありました。
もちろん候補と考えるメンバーはいましたが、やらせてみようにも人事制度上はメンバーをすぐにマネージャーにすることもできません。
そこで、medibaの人事制度上にはない職位「サブリーダー」をグループ限定でつくり、独自のマネジメント体制を築くことにした、というわけです。
検討開始は2021年1月ごろからだったと思います。
これは当時のマネージャーレイヤーでの検討メモです。マネージャーの持つ役割から、おもにメンバーのマネジメント部分を切り出したのがサブリーダーの役割となります。
ここに関しては当時かなり議論を重ねまして、勤怠管理や評価など仕組み上切り出せない部分があるということと、実際に「マネージャー」という役割でないとできない業務も多くあったこと、また、メンバーの公開していない情報までSLに持たせるか(結論は「持たせない」です)といったことを考慮したうえでこの形になっています。
最終的なグループ構成は、1G(13名)、2G(4名)となり、1Gには3名、2Gに1名のSLを配置して各SLの配下に数名のメンバーを置くという形になりました。
※グループ間の人数比が大きいのは、2GマネージャーがKDDI社に兼務出向するためです。
狙った効果としては以下のとおり。
マネージャーのマネジメント工数を軽減
マネジメントレイヤーを2層化することで相互に学びを
マネージャー候補者の育成
キャリアの可視化(スタッフ職→SL→Mgr)
マネジメント経験者を増やし、活躍の場を広げる
スタッフ職でありながら組織やヒトを意識できるように
21年4月からこの体制でスタートしてどうだったかというと……、SL、メンバーの協力もあり、概ね狙った効果は得られたかなと思っています。
とくに4〜9月の上期、SLに抜擢したメンバーたちの意識向上はめざましいものがありました。「立場が人をつくる」という言葉がありますが、独自の職位とはいえメンバーをあずかることになったサブリーダーたちは、それぞれのやりかたでメンバーに寄り添いながらマネジメントに向き合ってくれました。
彼らとコミュニケーションするための会議体も新設し、マネージャー、フェローにサブリーダーたちも加えた7名の定例「共有会」でメンバーの状態を細かく会話することができたのです。
クォーターごとの振り返り(KPTで実施)でも、サブリーダーたちも含めて組織のことを考える意見が多く出るなど、いちスタッフからひとつ高い視点を持つことができたように感じられました。
今後のサブリーダー制について
一方で、やや見切り発車なところもあったため、マネージャーレイヤーが今後考えていかなければいけないことも多くあります。たとえば、マネジメントを任せたものの、いちスタッフでもある彼らをどう評価していくのか。medibaのマネージャーがどのように評価されているのかということも、サブリーダーたちにはまだしっかりと伝えられていないので、その部分は大きな課題だと言えます。
それから、これはもともと懸念していたところでもあるのですが、「やりがい搾取にならないか」ということです。正式な職位ではないので、手当などは無いまま多くを求めることになります。ここは前述した評価等とセットで考えて、任命したメンバーのキャリアが見える形で提示してあげる必要があるかもしれませんね。
21年度も残りあとわずかとなりました。マネージャーは前述の課題を解決しつつ、頼もしく成長しつつあるサブリーダーたちとともに編集グループを盛り上げていきたいと思います。
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