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これからを担う世代へ!【教養としての社会保障 Part1】

みなさんこんばんは。
今日紹介する本は

「教養としての社会保障」

です。

私自身子育てや働き方改革に興味があり、医療者としてそれに関する社会保障制度は知っておかなければいけないと感じていて、友人の家で出会ったのをきっかけに購入しました!

いつも読書の際は気になったフレーズなどはiPhoneなどのメモアプリに書き出してから文章にするのですが、この本はいつもの倍ぐらいのメモ量になってしまったので2部構成にすることにしました…(^^;

第一部の今回は


「社会保障のこれまでと問題」


をテーマに記事を書いていこうと思います!


早速ですが本の紹介へ移ります。


社会保障関係費は毎年日本では100兆円を超えるお金が動き、その額はGDPの約20%に相当する額となっていて、日本で動くお金のかなりを占めています。

この社会保障制度がどのように作られてきたか見ていきましょう。

まず、社会保障の中心的な仕組みである社会保険制度は19世紀ドイツの政治家ビスマルクが作ったのが始まりと言われています。その社会保険の原型はギルドの互助制度と言われており、

弟子たちがマイスター(徒弟制度での親方)の老後の面倒を見る

ということを順々に繰り返してきた制度で、社会保険の仕組みはそれの近代版として作られたと言われています。


日本は戦争で敗れ、GHQの支配のもと、この考えを基にして社会保障制度は作られたのですが、これは戦後の日本であったからできたことだと言えます。

なぜなら、この社会保障制度が


国民を等しく対象とする


という理想を掲げて作られたものだからです。
(経済学的に言えば、「所得の再配分」ということになります。)

国民皆保険・皆年金制度が作られたのは1961年で戦後まだ16年。復興の途上にあり、所得格差もまだ広がっていなかった時代であったのです。

今、アジア諸国は急速に経済成長しており、所得格差も急速に進行し、生活水準にも差がついています。この状態で国民全員が同じ保険制度に入って同じ保険料を支払って同じ給付を受けるのはもはや現実的ではないでしょう。

このように日本がまだ貧しいなかでこのような制度が作られたと思うと本当にすごいと思います。

しかし、時代は変わり、経済や社会の姿も変化を遂げてきた今、この社会保障制度は危機を迎えています。
この“危機”を説明するのにそれぞれの時代の日本社会の状況を把握していた方がわかりやすいと思うのでここで紹介していきます。


1960年代
もともと、地域社会や家族の基盤がしっかりしていて(三世代同居など)、企業も福利厚生を手厚く手当てしていた。そのため、日本の社会保障の給付は現役世代には薄く、高齢者中心となった。
(当時会社員はほとんど正社員で妻は専業主婦というのが主流であったため。)

70、80年代〜
社会や経済の構造変化に伴い、問題が噴出してきた。
・経済の停滞、雇用・家族・地域の変容
非正規社員・従業員は1984年時点で全雇用者の15%で、2010年は全雇用者の34%に上昇し(一家の大黒柱が非正規でも珍しくない。)、会社員(被用者)であっても被用者の制度から除外されており、世帯主が被用者保険に加入できない状況であると家族もみんな被用者保険から除外される。そういった人たちを国民健康保険が抱えることになる。
すると、国民健康保険は保険料の低い層を多く抱えることになり、財政状況は厳しくなっている。
家族形態も変わり、三世代同居が一般的だった時代から核家族へ、そして今では単身世帯や一人親家庭の比率が高くなった。それと軌を一にして地域社会の人々同士の関係も希薄になってきている。


このような時代を辿り、財政は厳しくなり、家族形態の変化で一人あたりの負担は増加し、ますます働かなくてはいけない状況になっています。
女性の社会進出も進むなか、この状況では結婚、出産、子育てそして仕事と、とてもじゃないが両立できない。
そして、この状況が少子高齢化に拍車をかけています。

さらには、2040年までは高齢人口が増え、総人口と生産年齢人口、年少人口が徐々に減っていくという推測がなされており、このまま行けば、どの世代も減少してくる

2060年までの今後20年から30年は最も厳しい時代である

と断言できます。


事実、少子高齢化の進行によって税収は減少し、現制度は社会保障の給付は高齢者が中心となっていることで、巨額な財政赤字を作り、既に債務残高は1100兆円を超えており、我々の世代に確実にしわ寄せが来ます。
又、現在政府の歳入の約4割は借金で、一般歳出の半分が社会保障費ということは毎年の財政赤字の半分は社会保障が原因ということになります。しかも、社会保障関連費だけが毎年増加しています。

このままでは限界がやってくるのは明白でしょう。


しかし、今後20年から30年を我々の世代が担っていくのにも関わらずこの現状を知らない人がかなり多いのは事実です。


“知らない”


この言葉はすごく危険なことだと思います。
知らなければそもそも現制度が変わることはありません。

又、知っていても、一歩踏み出して選挙に行くとか行動しないと今の状況はなかなか変わりません。

未来の自分たちのことを今こそ考えるべきです。


言葉でそう言うのは簡単ですが、なかなか正しく知らないと間違った方向に行きかねません。社会保障がよって立っているこの国の社会の仕組みや価値観理念哲学といったものをきちんと教えられていて、社会保障を理解するための共通認識が形成されることが必要だと思います。その点、やはり

「教育」

が果たす役割はすごく大きいと思います。

社会保障制度が充実している北欧では、

法律と権利、あなたと他者、あなたと家族、コミュニティーと人々の役割、教育、子供、結婚、離婚、障害者、老人など身近などころから順々に社会の様々な姿を教えた後に、

つまり、社会の全容を理解した上で

政治の仕組み、そして最後に社会保障について学ぶシステムになっています。
それが社会保障の重要性についての国民の合意形成の下地になっているため、北欧諸国の投票率は国政選挙で85%、低いと言われる30歳未満の若者でも75%となっており、高い税負担についての合意もここから形作られています。


今の状況を把握することはまず第一段階として必要不可欠なので、それを把握する手段としての教育はとても重要だと思います。

次のPart2では日本再生のために社会保障ができることは実際どんなことなのか見ていきましょう。
それでは。


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