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政治を気軽に語るオンラインカフェ「コーヒー・ハウス」2021年5月19日の話題まとめ

政治への関心、知識がある人もない人も、気軽に話し合えるイベント「コーヒー・ハウス」。参加者の皆さんの関心ある話題、質問、意見、その他コメントなどをまとめます(前回5/13の記事はこちら)。

会話の流れを詳細にまとめた記録、正確な発言の記録ではありません。備忘録としてご覧ください。

今回のテーマ:フリー

特に大きなテーマを設けず、最近のニュースや身の回りのことなどから参加者の皆さんが気になっていることなど自由に話題提供をしてもらいました。

【話題】就職活動、しっくりこない

・新卒で今まで関わってきたことがない企業に志望理由を聞かれても、うまく説明できない
→学生時代に頑張ってきたことをちょっと話して内定が決まるとか。
→グループ面接でも、みんな就活のために何らかの活動をして、リーダーをやったとか、似たような話ばっかり。みんな「やりきる力があります」って言う。
→就活サイトに書いてある「テクニック」をみんな気にしている。
→本当に組織が必要としている能力を募集できているのか? 採用される立場から見てても微妙。

・最近の大学生はみんな真面目。講義も真面目に出て、アルバイトして、就活も早い時期から始める。
→「サークル活動は2年生まで、3年生からは就活」という空気
→実際に大学で学んできたことはあまり評価されない。論文の話よりも、サークルとかチームで何かをやった話が(採用担当者に)好まれる。

・そもそもなんで研究結果等を見もしないくせに大卒を採用するのか
→明治時代、官庁で大学を出た人材がほしいという話になり、そこから新卒一括採用という仕組みができたという説。戦前から進歩がない。
→「大学は出たけれど」(1929年の映画)
→もともと公務員の話だったが、一般企業の就職でも同じような流れが生まれた
→日本に限らず、海外でも学歴社会は激しい。専門職などは職種間の移動が盛ん。
→日本は「学歴」じゃなくて「新卒」がもてはやされるだけ。修士・博士などの高学歴はむしろ敬遠される。
→会社に「染まれる」人材がほしいのなら、大卒にこだわる必要はまったくないのでは。

・求められる「スキル」について
→建築・設計の世界について。海外だと大卒である程度のスキルが身について仕事で活躍するが、日本ではそれがほとんどない。就職してからも、海外ではスキルはプライベートで学ぶものなのでその分労働時間は短いが、日本では就業時間で学んだり、会社が決めた研修を受けたりするので、結果的に会社に拘束される時間も長くなる。
→「協調性」が求められすぎる。無理をしても入社してからのギャップですれ違いが起こるのは明らかなのに、苦手だというと採用されない。

・就職活動のあり方、大学のあり方
→テクニックで合格できるような採用市場にしたいならそれでもいい(受験勉強の延長線上)のだが、実際はそう割り切っているようにも見えない。企業はポテンシャルをはかりたいという割に、表面ばかり見ている。
→大学は本来興味ある分野を研究知るための場所。勉強の意欲もないけど(就職のために?)とりあえず大学に行く風潮で、結果大学側も就職率を宣伝するなど本末転倒なことをしている。モラトリアムとは?

・就活の制度
→求人票の見方がわからないまま就活をして大変だった(みんなどうやって見方を学んだのか?)。
→高校生は1社ずつしか選考を受けられない。先生に管理される。
→高専も推薦で一社しか受けられない。それ以外の就活をしようとすると先生に嫌な顔をされる。

経団連による「倫理憲章」の廃止、移動自粛など就活生を取り巻く環境の変化は目まぐるしいですが、今回はどちらかというと普遍的な違和感、不満などを話してくれる参加者が多かったです。

【話題】首長(都道府県知事、市町村長)ってどんな人がふさわしい?

・総理大臣、都道府県知事、市町村長、それぞれ求められる素質が違うと思うが、宮城県知事や仙台市長にふさわしいのはどんな人だろうか
→知事や市長は、市民が直接選ぶのだから、関係各所の調整が上手い人よりも、「具体的に自身のやりたいことがある」人がなったほうがよいのではないか
→(ここからは主に仙台市を想定した話)党派の調整をする人が市長になってしまうと、「市民」が不在になってしまう?
→「市民」も多様な利害関係をもっているので、市長が強い方針を示せばもちろん分断を生むことある。

・現仙台市長の郡さんは、もともと国会議員から市長に転身したから、「具体的にやりたいこと」が弱い、調整型になってしまっているのでは?
→郡市長は選挙のときに「福祉」や「教育」に力を入れる方針を示していたが、それは誰もが賛成するテーマであって意見がわかれるようなものではなかった。
→郡市長は野党出身で、仙台市議会の中でも多数派ではないから、やりたいことを強く打ち出しても否定されてしまい、調整型にならざるを得ないのではないか。

・アメリカの大統領は、演説するときに「私」に話しかけてくれているような気持ちになる。日本の政治家からはそれを感じられない。
→総理大臣は直接選挙ではないから仕方がないかもしれないが、首長にはそういった力強さを期待したい気持ちもある。
→「党派の間を調整して合意形成をする」のか「市民に働き掛けて民意の多数派を形成する」のか、手法の違い?
→良いか悪いかは別として、今の仙台市民の意識がこういう状況を生んでいるのでは(そこまで大きな問題意識も、不満もない)。
→元仙台市長の島野武さんがまさに市民に働きかける市長だった?

仙台市は1958年から1984年の長きに渡り「革新系」(※与党である自民党ではなく、社会党らが推薦した)の島野武市長が市政を担った。

・「語りかける」というのは実は特殊技能なのではないか
→フラットに話をしたり、相手が理解できるように話しかけるというのは、当たり前のようで難しい。かなり特殊な技能ではないか?
→それでは、海外のリーダーはできるのになぜ日本のリーダーはできないのかという話になってしまう。
→できないというより、していない。やりづらいし、求められていない?
→語りかけられる側の態度、姿勢の問題でもある。
→一部の有識者だけではなく、誰でも意見を持っていい、意見を表明していいという空気が必要。
→バカは黙ってろ、空気を読めみたいな風潮が社会全体をなあなあにし、語りかけにくい空気を生んでいる。
→冒頭の話題、学歴フィルタリングの話にも通ずるところがありそう。型にはまりはみ出すことを許さない社会……。

【ブレイクアウトセッション1】肩書やラベリングを重視する風潮の是非

・ある程度社会で生きていく上で、肩書とか個人情報が必要になるケースがあるのもわかる。しかし一方で、肩書を聞いてくる意味はあるの? というケースも多々ある用に感じる。
→最初はなんでいちいち年齢とか職業とか聞いてくるんだ、と思っていた。
→プライバシーや多様性の尊重にも逆行する。
→先入観を持たないで判断してくれる人がいるのは素敵なこと。
→聞かれると、マウントを取るための材料にされているのではないかと不信感がある。
→一方で、話を進めるために確認が必要なケースもある。
→どんな情報が開示されていたとしても、馬鹿にされない、話しやすいという風潮があればいい。世の中全体がそうなればいいのに(しかしそうではない)。
→聞かれたら答えるし、必要な場合があることもわかるが、たとえば趣味の仲間の間では聞きたくない。年齢とか知りたくない。知って年上なら、敬語になってしまい距離が生まれる。

【ブレイクアウトセッション2】日本人の説得力の弱さ、政治的主張の下手さについて

・ブレイクアウト前の話題の延長で、調整型の人がトップに立つと、語りかけてくれないよね、という話
→そもそも日本人って、利害関係の中で自身の立場をなかなか主張しない
→市民側がもっと発信すべきで、そこにリーダー(トップ)が応えられるかという話でもあると思う
(市民の声がトップを動かした例として、昨年の宮城県美術館移転に関する騒動など)

・100人いたら100人が満足できる政治はないよね。
→どっちかに触れきれたほうが良い。ある人にとっての正義はある人にとっての悪かもしれないが、悪役になりきることもできていない。
→日本は敵を作らないような戦略、無難にこなす。
→近い人達(支持者)に向けて言葉を発すれば十分という風潮があるし、現に選挙にいかない人が多いから、話しかける必要性を政治家も感じていないのでは。

・元仙台市長、島野武さんの話
→今日のコーヒー・ハウス参加者の中で、(年齢的に)島野さんの肉声を聞いたことがある人はほとんどいないと思われるが。
→学生運動などを経験し、その後弁護士になり、話すのは上手な方だったらしい。
→議会では少数与党だったので、地域コミュニティの支持を得ようと動いていた。下からの運動だったようにも見えるが、実は役所にも働き掛けていた部分はある。
→当時はごみ問題、下水処理問題など、都市としてのわかりやすい課題がたくさんあって、現郡市長の時代とは単純には比べられない。

【話題】ブラジルと日本の政治・世論を比較すると……

・ブラジルの政治家は、自分のバックグラウンドなどを交えながら主張を訴えるのが得意。共感を集める力に長けている。
→ただしブラジルの政治がよい政治だとは言っていない。汚職撲滅を掲げた大臣が汚職逃れをしようとしたり……。

・日本では市民が自分たちの利益を主張しないという話題があったが、サンパウロでは地下鉄でストライキが起きてみんな困っていた。
→それが悪いことなのかいいことなのか、どちらの社会がより成熟していると言えるのか、わからない。
→日本では公務員が勤務中に水分補給をしているだけでも怒られる。

・サービスは提供するけど賃金は受け取らない、という形のストもある
岡山県のバス会社の労働組合の実例
→これって結局労働者が一方的に大変なのでは
→「社会に迷惑をかけられない」という前提があっての苦肉のスト
→普通のサラリーマンも、交通事情などで出勤できないと理由があるのになぜか怒られたりする。だからストへの風当たりもさらに強くなる。

・「社会に迷惑をかけてはいけない」という風潮で現場の労働者ばかり負担を強いられる構図は、ストライキの話だとわかりにくいかもしれないが、いま医療従事者の皆さんが置かれている状況を想像すると、いかに大変か、わかりやすいかもしれない。

終わりに

次週のテーマは「交通」です

今後の「コーヒー・ハウス」についても、今回のようにまとめてログを残していきたいと考えています。
ぜひ皆様も気軽にイベントにご参加ください。内容に関する質問や感想も歓迎です。

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