最新研究が証明。メンタル当事者のストーリーを読むと、心身の調子はどうなるのか？　hoccoriニュース#001

うつ病や不安障害をはじめ、こころの病に関する体験談はネットに溢れています。そんな記事を読むと、どんな気分になるでしょうか？
 
今年、世界でも有力な研究誌の1つである、World Psychiatry（世界精神医学）に発表されたばかりの最新研究によると、メンタルに悩む人が、精神疾患からの回復に関するストーリー（リカバリーストーリー）に接すると、心身の回復につながるということがわかりました。
 
ノッティンガム大学（英国）を中心とする研究チームは、メンタル当事者のリカバリーストーリーを含むデジタルライブラリーをつくりました。そして、メンタル疾患を抱えた参加者に１年間好きなだけこのデジタルライブラリーを利用してもらいました。すると、1年後には参加者の生活の質が向上したそうなのです。
 
研究コーディネーターのStefan Rennick Egglestone博士は、メンタルに悩む人について、次のようにニュースメディアのPositive Newsに語っています。

「他の人も似たような経験をしているという大きな見方を取り、この先は少しよくなるのではという希望を持つことができました。希望は新しい行動につながるのです」
 
苦しいときは、「私＜だけ＞がこんなに苦しい思いをしている」と思いがち。そんなとき、他の人も同じような病気で苦労していて、それでもなんとかやっているんだということを知ると、なんだか「ひとりじゃないんだ」って思えます。
 
最近、当事者会や自助会など、メンタル当事者の活動が注目を集めています。ただ、当事者会に入るのは、ちょっと勇気がいるなと思っている人も少なくないのではないでしょうか。

こんなリカバリーストーリーを集めたデジタルライブラリーがあれば、ちょっと気分がマシになれそう。このデジタルライブラリーは、動画や画像、音声も含んでいるそうです。ぜひ日本語版もつくってほしいものですね。
 
当事者の力を感じさせる、最新研究のニュースをお届けしました！
 
【参考文献】Mike Slade, Stefan Rennick‐Egglestone, Rachel A. Elliott, Chris Newby, Clare Robinson, Sean P. Gavan, Luke Paterson, Yasmin Ali, Caroline Yeo, Tony Glover, Kristian Pollock, Felicity Callard, Stefan Priebe, Graham Thornicroft, Julie Repper, Jeroen Keppens, Melanie Smuk, Donna Franklin, Rianna Walcott, Julian Harrison, Roger Smith, Dan Robotham, Simon Bradstreet, Steve Gillard, Pim Cuijpers, Marianne Farkas, Dror Ben Zeev, Larry Davidson, Yasuhiro Kotera, James Roe, Fiona Ng, Joy Llewellyn‐Beardsley, the NEON study group（2024）Effectiveness and cost‐effectiveness of online recorded recovery narratives in improving quality of life for people with non‐psychotic mental health problems: a pragmatic randomized controlled trial, World Psychiatry. 2024 Feb; 23(1): 101–112.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/issues/453289/
 
【参考サイト】‘This too shall pass.’ World-first study proves the power of mental health recovery stories

https://www.positive.news/society/study-proves-power-mental-health-recovery-stories/

photo by David Lezcano @unsplash