見出し画像

【講評】 2023年度 東海大学 医学部特別選抜, 展学のすすめ (英語) 講評&解答

東海大学 医学部 編入試験 (展学のすすめ) に合格した者です。

2022年10月29日に実施された「2023年度入学 展学のすすめ」の解答速報と講評が、まだ出回っていないようですので公開します。

すでに過去問を入手されていて「解いてみたが、答え合わせができない」とお困りの方は、こちらをご覧ください。

まだ過去問を入手されていない方は、予備校でコピーするか、メルカリ等で入手なさってください。こちらでは過去問の販売はしておりません。


2023年度入試 展学のすすめ 講評

▼難易度(★~★★★で評価)
 大問1:★
 大問2:★
 大問3:★
 大問4:★★
 大問5:★★★
※制限時間内で解き終えるという意味での難易度。

▼目標点&時間配分
 大問1:6/8以上 (15分)
 大問2:5/7以上 (9分)
 大問3:4/5以上 (10分)
 大問4:4/6以上 (16分)
 大問5:8/14以上 (40分)
 全体  :27/40[67.5%] (90分)
 *見直しの時間なし

※参考
本入試問題を提供してくださった方は、下記スコアで合格していました。
 大問1:7/8
 大問2:6/7
 大問3:4/5
 大問4:4/6
 大問5:8/14
 全体  :29/40[72.5%] →合格

・大問1
 明確に易化傾向。本文は読みやすく、選択肢もはっきりしている。東海大のエッセイ風の文章は「事実抽出」ではなく「文脈解釈」を試される問題が毎年出る。本年度も出題されたものの、該当箇所が明確で誤読する可能性は低い。注意すべき点は、(5)と(6)で、この2問は時系列を抑えるために精読が必要だった。しかし、こちらも非常に易しい内容だった。落ち着いて読めば、十分正答を導き出せる。
 例年、大問3と大問4が平易のため、大問1を後半に残す受験生もいただろう。しかし、今年は大問4がやや難化し、大問1が易化した。大問1を後半に残してしまうと、時間的焦りから精読できなかったのではないだろうか。大問1を大問4よりも先に解いた受験生は、有利だったに違いない。

・大問2
 昨年より問題数が2問増加し、単語レベルもやや難化したが、2020年以前に比べれば易しい問題ばかりだった。他大学の入試のためにも、このレベルの医療単語は知っておくべきで、特筆すべき点はない。日々、生命科学で学んだ内容を英語に置き換える訓練をしていれば、問題なく全問正解できるだろう。
 多くの受験生は、試験開始と同時に大問2から解くと推察する。満点を狙いたいパートだが、完璧主義になり時間を浪費しないように注意したい。

・大問3
 簡単な生理学と心電図の知識が有るか無いかによって、"とっつきやすさ"に大きく差が出る。心電図を初見の受験生がこの内容を10分で読むことは不可能だと推察する。やはりKALSの基礎レベルの生命科学の知識はマスターしておきたい。生命科学履修者にとっては平易な内容だが、それでも10分以内に解くことは容易ではない。本文を最初から読んだ受験生は10分以内に収まらず、結果的に大問1,4,5の時間を圧迫したと推察する。対策をしっかり練って試験に挑み、全文を読まずにキーワードで"あたり"を付けて読んだ学生は10分で収められただろう。大問3を最速で駆け抜けられたか否かが合否の分かれ道だったかもしれない。

・大問4
 筋肉に関する内容。内容は決して難しくないが、isometric, isotonic, concentric, eccentric という単語は、受験生を苦しめただろうと推察する。特に、isometricとisotonicを同一のものとして誤読すると、確実に20分以上かかってしまう。しかし、6問中4問は、生命科学の知識で解答できる設問だった。2問捨てる勇気を持てた受験生は、大問5に十分な時間を残せたであろう。大問3で全文を読み、大問4で知らない単語にパニックになりながら何度も同じ箇所を読んだ受験生に勝機はなかっただろう。そのような受験生は、英語力不足ではなく、対策不足である。

・大問5
 クリスパー・キャス9に関する論文。A4 4ページに渡る長文読解。文量は昨年より増加したが、内容は分子生物学既習者にはとっつきやすい内容である。一方で、クリスパー・キャス9を知らない受験生が、時間内にこの文章を読み切ることは100%不可能である。
 文章は5つの意味段落で区切られていた。仮に2~3問わからない問題があっても、心折れずに、意味のわかる段落を読み解いていけば十分に合格ラインを突破できる。諦めずに、焦りすぎずに、最後の1秒まで勝負した学生は、最後の3問が驚くほど簡単だったことに気づいたはずだ。

※出典は下記ファイルより

2023年度入試 展学のすすめ 解答

※解答をご覧になりたい方は、下記リンクをご覧ください。


おわりに

 全体として易化傾向にあった。合格ラインは例年より上がったものと推察され、65-70%程度であろう(前述の通り、試験問題の提供者は72.5%で合格されている)大問1が易化し、大問4が難化した。大問1は生命科学の予備知識がなくとも読解可能な "大学入試レベル" の問題だが、大問3, 4, 5は生命科学の予備知識なしで読解することはほぼ不可能な "医学部1年生レベル" の内容である。展学のすすめは科目数の負担が少ない入試制度だが、小論文・英語だけでなく、生命科学も履修しておくべしという大学側の明確なメッセージが読み取れる。 

 また、例年通り時間との戦いだった。貴方がネイティブでない限り、全文読みきって解答することは不可能だろう。どこを読み、どこを読まないか。傾向を分析し、本番までにしっかりとイメージを作っておくべきである。過去問演習を積めば、エッセイは国語力(文脈を読み取る力)を問うているが、教科書や論文は生命科学の知識と精読力(英文を正しく訳せる力)を問うていることに気づくであろう。本年度の入試で言えば、大問1は国語力(読解力)が試されるが、大問5は英語力(精読力)が試されている。ちなみにこの傾向は、逆の年もある。少なくとも、2023年度入試の大問5は、全体の文脈を捉えていなくとも、該当箇所前後だけで解答可能な問題ばかりだった。

 過去問分析は「合っていた、間違っていた」という答え合わせで終わるのでなく、緻密な出題傾向の分析が重要だ。同時に、長文を読み切るスタミナと、諦めない心も養っておく必要がある。以上。


今回はかなり絞って講評と傾向を記載しましたが、この情報量でもすでに大手予備校の対策講座が提供している情報量を上回っていると自負しています。

1次試験(英語)の対策はこちらにまとめていますので、ぜひご一読ください。

興味があれば、ぜひフォローして頂けますと幸いです。

こちらから相談会も受け付けています。相談会は有料ですが、内容にご満足頂けなければ返金致しますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?