詩『選ばれる人間』

静寂せいじゃく

波をつくる

タクト。

聴衆ちょうしゅう

丸のみする

旋律せんりつ

無から

音を

つくり出す

マグマ。

指揮者が

命をさずける

色調。

土によって

よそおいを変える

紫陽花あじさいのよう。

指揮台を

ねら

暗闇に

浮遊する

眼光ひかり

望むのは

ひとつきりの

席か

まだ聞こえぬ

高みか。

誰のための

音楽かは

きりの中。

完成のない未来を

完成へ

近づける

こころみ。

信頼に

愛されなければ

静寂に

窒息ちっそく


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