今日の私は、ロンドンを振り返る
11,570日目
ロンドンに再訪した8月。
1年以上住んだ街だけれど、改めて感じる部分もあった。生活していた頃を振り返りながら、新鮮な気持ちとともに書いておく。
★第一印象、観光視点
●街並み
やはり強い印象を残すのは、繁華街Picadilly Circus/ Regent Streetの石造りの街並みと2階建ての赤いバス”double-decker bus”
そして、住宅街にいくとレンガ造りの家。
レンガの色も赤褐色から黄土色までバリエーションがあるのも見どころ。
そして、高級住宅街Notting Hillではカラフルにペンキで彩られている。
古い家が価値が高くなる傾向があるようで、真新しいアパートがないわけではないけれど、中心地から外れた再開発地区に多い(GreenwichやEast London と呼ばれるエリア)
●気候
住む前はどんよりとした印象が強かったロンドン。ビタミンDを飲まなくちゃ、と思っていた。
けれど、ふたを開けてみると案外晴れの日もある!
天気が変わりやすいのが驚きだった。一日に2回も3回も晴れと雨を繰り返す日がある。
雨が降ったと思えばピカーンと光が差してくる、水たまりに反射した光がまぶしい、なんてことも多い。
傘を持っていても使ったり畳んだりが面倒だから…多くの人が傘を持たずにフードで凌ぐ理由なのでは、と思った。
温度は夏の晴れた日は乾いた25-30℃前後、冬は雨が多めの10℃前後なので、比較的1年中過ごしやすい温度感だと思っている。
●自然
大きな公園Hyde Park, Green Park, Regent Park…など名の知れた大きな公園には歴史を感じる。
おおきいカエデの葉を持った太い幹の木々(モミジバスズカケノキPlatanus acerifoliaというらしい)にはリスも住んでいてついつい写真を撮ってしまう。
ただ、街はきれいとは言い難い。ホームレスもよく見るし、スーパーの前にはおつりのコインを求める人が座っているのは割と普通。
空気も排気ガスが原因なのか汚れていて、晴れている夜でも ”うっすらスモッグ×街の明るさ” で星の見えない街…東京より星は見えない。
●馴染みやすさ
ロンドンは観光客にも優しい国。
1か月滞在したら1年以上も同じ、印象が変わらない国だった。
イギリスの料理はまずいと噂だが、レストランはどんな国の料理も選択肢が豊富でおいしいところが多い。期待していなかった分ハッピーサプライズだった。
ただ、日本の洋食文化もそうだけれど、創作レシピになっているレストランも多いので、”本物”を求める人は見極める必要はある。
★生活視点
●家、物価
家賃は東京の2倍近い…
インフレーションが体感覚でもどんどん進んでいて、電車賃も1年ごとに約10%前後値上がりしている。
光熱費もどんどん上がるため、ニュース番組でもどうやってこのインフレを生き延びるか…といったコンテンツを何度も目にした。
だからからか、シェアハウスや自分の家の空いている部屋貸しをする市場がかなり大きい。法律もそんなに厳しくないようで簡単に個人が自分の家の部屋を貸すことができる。
仲介を挟まない場合、正直トラブルも絶えない印象。
そして、シャワーやトイレの水圧も一般的に弱いので、日本スタンダードを知っているとちょっと不便。
●治安
先ほどのホームレスの状況も含めて、日本に比べては基本的に安心できないと思っていた方がよさそう。
特に中心地での観光客を狙ったスリは頻繁に起こっている。
夜に一人で出歩くことはできるし、そんなに怖いことが起きているのを聞いたこと、見たことはないけれど、隙を見せないようにする方がいい。
イギリス人の男性友人も「電話を貸して」と見知らぬ人に言われた時、その人に手渡しはせずにスピーカーで呼び出すような…それくらいの注意は常に必要みたいだ。
●交通機関
地下鉄tubeはロンドン市内の至るところに深夜も含めて走っているので、便利。
先ほどの2階建てバスもそこかしこに見つけられる。
構内はタップ専用の自動改札があり、IC(Oyster Card)もしくはタッチ決済で公共交通機関に乗る。
自動改札がある国が多くないので、ロンドンは(イギリス全般的にも)その点はきっちりしていると言える。
一方で、ストライキが休日や祝日を狙って行われたり、工事のため長期間運行停止だったりは頻繁に起こるので、予定通りに進まないことはよくある。
地下の駅は電波が繋がらない、正直とても不便。ちょっと遅れる、というテキストを送信できないのでそわそわした。
●インフラ、設備
冷房設備は基本的に新しい建物にのみ、おしゃれなレストランでもないところは多い。
影に入れば暑さは大丈夫、という程度の気候でもあるので、優先順位が低いのは理解できる。
ただ、猛暑の日には家では耐えがたく、大型ショッピングモールに駆け込んで涼んでいたことはあった。(ショッピングモールの地べたに座って明らかに同じような避暑をしているのだという人たちも)
地下鉄tubeは新しい路線(Circle Line, District Lineなど)は冷房が整備しているが、古い路線はなし。
冷房がない路線は人の臭いも相まり、居心地がかなり悪いのを覚えている。
駅にエレベーターがないところも多く、大きな荷物やスーツケースを持った移動はかなり大変なことも多い。
スーパーにおいては、セルフレジは基本、キャッシュレのところが半分以上。キャッシュの場合は支払いに時間がかかることが多い。日本より進んでいる。
●イギリス人
どの人がイギリス人か、2世・3世も多いので、一括りにはできないが、映画で見るようなイギリス人は確かにいる。イギリス英語は耳心地が違う。
英語しか話せない人が多いのはヨーロッパの国々の中では希少だ。
通常、航空会社は出発地、到着地の2言語のアナウンスがあると思うが、British Airways は英語のアナウンスのみということに気がついたとき、なんとなく国の姿勢を感じた記憶がある。
古い建物とその歴史に誇りを感じていて、通貨も変えないプライドの高さ。
よい意味でも悪い意味でも我が道をいくんだ、という印象。
一方で、経済は移民なしでは成り立たない部分も多いので、ロンドンは来るものは拒まない雰囲気を持つ。
実際、イギリス人の大家さんやルームメイト、クラスメイト、お店の人とコミュニケーションを取る中で、アジア人だから日本人だからと態度が変わったことはなかったような気がする(鈍いのかもしれないが…)
話した人たちはEU脱退も含めて国の方針には疑問がある人も多いようだったし、地方は保守的な人も多いと聞くので、ロンドンと国の政策や姿勢に乖離はあるのだと思う。
少し話は逸れるけれど、美術館・博物館が無料なのはさすがと思う。古き良きを重んじ平等に機会を与える姿勢。(個人的には、彫刻やタペストリーのV&A、絵画のNational Gallery が空間演出含め好きだった)
⚫︎チャリティー文化
ロンドン、かつイギリスの文化としてチャリティーやドネーションは切っても切り離せない。
街の至る所にチャリティーショップ(古着、セカンドハンド)が立ち並び、途上国、病院や患者さんのサポート、研究に売上金が寄付される仕組みになっている。
最初は入りづらい気がしたのだけれど、入ってみるといいものも案外あることも多く、宝探しのようで楽しくなる。
British Heart Foundation (循環器系研究支援) 、mind (メンタルヘルス支援)、oxfam (飢餓や貧困支援) など多岐にわたる。
Oxfamはお店はきれいに整理整頓されており、フェアトレードの品もあり、こだわりを感じる。
そこかしこにお店があり、日常的に寄付できる環境。買い物ができて良いこともしている気持ちが自分としてはうれしかった。
★まとめ、所感
いいところも悪いところも多い街、大都市ロンドン。
利便性が高く、娯楽も多く、大学生時代に滞在していたら全然違った学生生活だっただろうな、と思う活力と魅力のある街。
気になるのは、経済を回す若い人から労働人口を中心に設計されている都市であること。
駅一つとってもバリアフリーでは全然ないし、家の作りも狭く階段が中心。
みんなに優しい街づくりではなく、お年寄りは基本的に郊外に家を構えると聞いた時に(真偽は確かではないが)、なんとなく理解して寂しい気持ちになった。
街並みや歴史は好きだけど、住みやすさ、居心地の伸び代は大きい、そんな都市!
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