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離別、瀲灎

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「別れ」のかたち
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#掌編小説

死人に口なし

死人に口なし

 扉を開けると、世界はモノクロに覆われていた。

 ――天気予報では晴れと言っていたが、どうやら外れたようだ。しかし雨が降っていないのは不幸中の幸いかもしれない。少し肌寒さを感じ、何か羽織るものを取りに部屋に戻る。何を着るか少し悩んだ末、くすんだラベンダー色のカーディガンに袖を通した。

 扉の鍵をかけながら頭の中で忘れ物がないか最終確認を行い、愛車に乗り込む。去年買った軽自動車で、そのくせオープ

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C₄H₄KNO₄S

C₄H₄KNO₄S

 私、あなたに会えて本当によかった。

 あなたの全てが好き。大好き。

 好き、好き、好き、好き、好き、好き、好き。

 うふふ、本当よ。あなたが気にしてるその泣き黒子だってとってもキュートで大好き。

 あなたと一緒なら例え火の中水の中、なんてね。自慢じゃないけど私、暑さに強いし泳ぎも得意なんだ。

 子供は何人欲しい?私は三……え?気が早い?そんなことないよ、だっていつかは考えることでしょ?

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インフルエンス

インフルエンス

 「なあ、祐樹、お前『追憶』もう読んだ?」

 俺の席の隣に腰掛けながら、大輔はこちらを見ずにそう訪ねた。

 「いや。見てない。お前は?」

 俺は顔だけ大輔の方を向いた。大輔はこちらを見る気はないようで、黒板を眺めている。

 「実は、昨日寝る前に読んだ」

 「ふうん、そうなんだ。実はって何だよ」

 「いやいや、何か祐樹さ、あんまり好きじゃなさそうだから」

 横目で俺の方を伺う。そうやっ

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チューハイ

チューハイ

 シャンプーが切れた。

 体を洗い終わってから気が付いた。シャンプーはいつも美咲が用意してくれていたので、完全に失念していた。

 もう一度予備がないか確認したが、案の定なかった。髪なんて一日洗わなかったところでそんな変わらないだろうとは思ったが、洗わないのは気分が悪かったし、明日は仕事が休みということも相まって、近くのコンビニまで買いに行くことにした。

 バスタオルを手に取り、体に押し当てる

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悔やめど悟れず

悔やめど悟れず

 猫を轢いてしまった。

 会社からの帰りだった。上司の持ってきた案件のせいで残業をしなければ到底終わらない量の仕事が溜まっていて、連日22時前後に会社を出ており、その日も例外ではなかった。「こんなことになったのはそのせい」というわけではないが、要因の一つではあると思う。蓄積された疲労と寝不足で前方への注意が疎かになっていた。
 「山道では、動物が急に飛び出す」というのは知識として知ってはいたし、

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