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一万円分

いま、夏休み中だ。
遠くまで出かける予定はなく、家でゆっくり映画を観たり、ゲームをしたり、近場で美味しいものを食べたりと、穏やかな過ごし方をしている。
今年も特に夏らしいことはしないだろう。地域の祭りを覗いたり、花火を見たり、そんな夏を過ごした日々がどんどん遠ざかっていく。一抹の寂しさはあるが、ああした夏の日々を強く焦がれるようなことはない。夏らしくない夏の過ごし方、それもまた一興…だろう。

そんなわたしは今年の夏、やりたいことがひとつある。それは「1万円分の本を買うこと」だ。普段、古本ばかりを買うわたし。それが、久しぶりに本屋を覗いてみたら、気になる本がアチコチに並んでいた。だから、1万円札1枚で気になる本を買いまくってみたくなったのだ。

味わい深い古本も魅力的だが、ピカピカの新本はテンションが上がり、読み切るぞ!となんだか気合が入る。そんな新本を1万円分買ったら、いったい何冊になるのだろう?いや、意外とすぐ指定の金額まで達してしまうだろうか?…これはこの夏、わたしが1番楽しみにしている試みなのだ。

毎日穏やかではないニュースが流れ、遠出するのも少し不安。人に会うのも憚られる。だから、クーラーの効いた部屋でひたすら本にまみれる。それがわたしの2022年の夏である。

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