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念じれば何とかなってみた

母の弟は、密かに思っていました。

「姉(母)の生む子は、殺人鬼の様な目をして、ワシを睨み付けるに違いない!」

そして、こうも思っていました。

「姉(母)の様な女を嫁にする様な男(父)は、かなりの変人に違いない!」

(その妄想、酷過ぎやしないかい?)

ところが…。

母の実母は、言いました。

「花甘露ちゃんは、エエ子やな~」

「お父さんも人間が出来とるし、お母さんも、幸せやな~」

母の弟は、拍子抜け。

むしろ、妻や子供に手を焼いているのは、弟の方。

母が、言いました。

「人の事をバカにするから、あんな事になるんやわ!」

結婚するまで、母の人生は過酷でした。

母の実父は、家に生活できるだけのお金を入れなかったため、母は生まれてすぐに捨てられてしまいました。

そして、ある時は、妻(祖母)が死にかけているのに、自分は妻の兄弟にお金をせびって映画を見に行っていたのだとか…。

見かねた祖母の兄弟の内の1人が、祖母の入院費用を出してくれ、なんとか命を取り留めることができました。

その後、この兄弟の子供(母の従兄弟)は、母に偉そうな態度を取る様になります。

「クッソー」

不遇な生活に生命力を奪われる様な性格ではなかった母。

怒りと殺意を力に、日々の生活に堪え忍んでいたところ、奇妙な雰囲気を身に纏った男性が現れます。

それ、後に私の父となる人物。

父は、母を見て、直感的に思いました。

「この人は、人に馴染まない人だな~」

驚くべき事(?)に、父はそんな母に接近。

「他人は、バイ菌!」

極度の人間嫌いである母。

はにかみ笑いをする、如何にも貧乏そうな青年は、謎の武器を使って、母の警戒心を喪失させてしまったのでした(笑)。

能天気にも…。

「大丈夫、私は借金はなかと!」

「所持金は、3万円あると!」

変なアピール(?)をしてみたりしたそうな…。

一体、何が、「大丈夫!」なのか、全く理解に苦しむのでしたが、自信満々にそう言われると、なんとなく「大丈夫」な様な気がしてくるのかも知れません(笑)。

実際、母の様な超難関人物の心に安心感を与え、平和な家庭を築いた父。

ヘンテコな自信、これ、意外と大事なのかも知れません(笑)。


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