「スマホ脳」とApple Watch
「スマホ脳」はスウェーデンの精神科医アンデシュ・ハンセン先生が書いた本で,「2021年に最も売れた」ベストセラーとなった。
スマホなどの電子端末が脳に与える悪影響などについて,脳科学の観点から実験的な結果を基に分かりやすく書かれている。
中でも印象的だったのが,スマホと集中力に関する話だ。
サイレントモードでは意味がない
人は複数の作業を同時にする時(マルチタスク),集中力や記憶力が低下すると言われている。
スマホで見られるコンテンツは,長い時間そのコンテンツを消費してもらうために,脳内でドーパミンが出るよう緻密に設計されている(著者「スマホは最新のドラッグ」)。
そのため,スマホが近くにあるだけでドーパミンが放出され,スマホを確認したい欲求が一つのタスクとなってしまい,無意識のうちに常にマルチタスク状態となって集中力の低下をもたらしてしまう。
ある実験で,スマホをサイレントモードにしてポケットにしまったグループと,スマホを別室に置いたグループに対して集中力と記憶力に関するテストを行ったところ,スマホを別室に置いた被験者の方が成績が良かったらしい。
また別の実験でも,自分のものではないスマホを机の上に置いたグループと,ノートを机の上に置いたグループでは,ノートを置いた被験者の方が成績が良かった。
すなわち,鳴るはずのない(邪魔するはずのない)スマホが手に届く距離にあるだけで,スマホは人の集中力を奪ったことがわかる。
つまり,スマホが魅力的であることが我々の頭の中に刷り込まれすぎているため,もはやサイレントモードにしたり電源を切ったりするだけでは意味がないらしい。
自分の対処法
この本を読んで完全にスマホ脳になっていることを自覚した自分は,iPhoneの通知を全てオフに設定した。
iPhoneには集中モードという通知を管理する機能があるが,スマホは通知を出さないものとして脳が自覚できるようになるまで,中途半端なサイレントモードは使用しないことにした。
また,スマホが視界にすら入らないように,仕事中は机の上に置かないようにした。
幸い自分はデスクワークが中心で,メールは常にPCで見られる状態だし,スマホに仕事の電話が来ることもないので,通知なしの状態でも全く問題なく生活できている。
Apple Watch
ここで,考えないといけなかったのがApple Watchの使い方だ。
Apple Watchの特徴は何といってもiPhoneとの連携で,iPhoneで受けた通知をiPhoneをポケットから取り出すことなく手首で確認できることに大きな魅力がある。
本書ではスマートウォッチについては取り上げられていなかったが,手首が震えて通知を受けることを無意識のうちに待っているという点では,スマホと同じくマルチタスク状態になっていると言える。
スマートウォッチ自体がドーパミンを出す対象物になってはいないだろうが,結果的にスマホを開きたい欲求に繋がってしまう危険性が十分にあるため,自分はApple Watchの通知も全てオフにした。
iPhoneとの連携を目的に購入したApple Watchだが,便利なストップウォッチやワークアウト機能を除けば,今ではただの電池持ちの悪い充電式の時計になってしまっている。。
まとめ
スマホが脳に悪影響を与えるという,何となく気付いていながらも目を背けたかった事実について記した本書は評判通りの内容だった。
文庫版が出ていて価格も安いので,是非手にとってスマホとの関わり方について見直してみて欲しい。
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