バレなければ浮気をしても良い？　1

浮気はバレなきゃいい。そう思ってる人は少なくはないと思う。

しかしながら、バレずに浮気できる人は、果たしてどれくらいいるのだろうか。
バレない、とは、浮気している自分が生きている間、そして亡くなったあとまでも含めて、恋人や配偶者等のパートナーに、浮気の事実を知らせない、そして匂わせるようなことも一切しないということだ。

大抵の場合は、生きている間、それも浮気をしてからまもない時期や、浮気に一歩踏み出すか出さないか、という時期に既にバレているものだと思う。自分は完全に隠し通しているつもりであっても、相手からすると、日常の言動や雰囲気から察することは、容易なことのようだ。

特に、パートナーとの付き合いが長くなればなるほど、相手のちょっとした変化や、違和感にすぐ気づくものである。
例えば、長年付き合っていると、パートナーと考え方が似てきたり、相手が何を考えているか分かるときが多くあると思う。このような状態になっていれば、ちょっとした変化を瞬時に察知するのは、ごくごく自然なことである。

私も、過去に、浮気をしたことがある。相手は、職場の同僚であった。

パートナーとの付き合いが長期に渡った頃、まだ結婚もしていない状態であったが、パートナーとの関係はまさに熟年夫婦のような落ち着きさえ纏っていた。そんな時に、私に好意と思わしきものをちらりと見せてきたのが、その同僚であった。

異性からもてることがあまりなかった私は、単純にも、そのことにただ舞い上がっていた。パートナーと恋人気分を味わった日々は、遠い昔のこと。久々の異性からの好意に対して、もしかしたら自分は今、もてているのではないかと、変な高揚感すら覚えていた。

パートナーのことはもちろん好きであったが、安定したこの関係よりも、刹那的な危うい関係のスリルを楽しんでさえした。

そして、浮気はバレなきゃ浮気していないのと同じ、自分の浮気は絶対にバレるわけがない、と変な自信さえ持っていた。

今思うと、当時の自分が滑稽で仕方ない。

私は、同僚とオフィスでやりとりを重ねるうちに、連絡先の交換をすることとなった。

しかし、既にこの時、パートナーは、私の浮気に気付いており、傷ついていたことを後に知ることになる。

この時の私は、後にどんな代償を負うことになるか、まだわかっていなかった。