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“痛み”を感じるから成長できる。「自ら仕掛けること」が重要な理由

MCデータプラスでは2021年6月に会社の「VALUES」を策定し、社内外向けに発表しました。

VALUESは代表の飯田さんが以前から社内向けに発信し続けてきたことを“棚卸し”し、それを基にプロジェクトメンバーが中心となって社員で構造化・言語化を進めながら作り上げたものです。

そのため、各VALUEには飯田さん自身の経験や考えも大きく反映されています。そこで今回はVALUEの1つ「自ら仕掛け、チームをリードする」に焦点を当てて、飯田さんに原体験を交えて解説してもらいました。

飯田正生(いいだ・まさお):株式会社MCデータプラス 取締役会長。一橋大学商学部卒業後、1996年三菱商事入社。経理、営業経験を積んだ後、三菱商事の子会社2社でそれぞれ執行役員、取締役を務め、経営企画、新規事業開発まで幅広く携わる。2018年9月よりMCデータプラス代表取締役社長に就任、2022年7月より同取締役会長。

年齢や役職関係なく「社会」に向いて仕事をする

MCデータプラスのように社会の課題解決を目指してゼロからプロダクトを立ち上げようとしている会社の場合、「年齢や役職関係なく『社会』に向いて仕事をするべきだ」という考えが原点にあるんです。

私は社内で“社員が仕事をする際に何を優先すべきか”についての話をすることがあります。いわゆる「やるべきこと」「やりたいこと」「できること」というやつですね。

たとえば、公務員や自衛隊の方であれば、自分がやりたいことよりも公の人間としてミッションを果たすこと、つまり「やるべきこと」が何よりも優先されるでしょう。

当社の親会社の三菱商事に関してもエネルギーや食料の安定供給などの一翼を担っているので、自分たちがビジネスを止めてしまうと日本に天然ガスなどのエネルギーが届かない、もしくは食料が届かないことにもなりかねない。だからこそ「自分たちがやるべきことをきちんとやろう」という思いが強いんです。

これは凄く大事なことで、私はこのような「やるべきこと」からミッションドリブンで動く組織に対して大きなリスペクトがあります。その一方でMCデータプラスのような会社の場合には、どちらかというと「やりたいこと」が優先されるべきだと考えています。

社会には無数の課題が存在しますが、自分のモノサシや価値観で社会を見ていると、その中のいくつかにしか気がつけない。私も偉そうに社長をやっていますが、網羅的にすべてを出すことは到底できません。

「やるべきこと」とは言い換えれば、所属する組織が社会の中で担うミッションを遂行するということになります。社会課題をゼロから解決しようとすると、社会に向き合う一人ひとりが、会社の役職に関係なく、社会を向いて「やりたいこと」をするべきなんです。

自分が何を「課題」として感じるのか、それは自由ですし、そもそも自分なりの視座・視点・切り口で課題認識しているわけで、役職が高いからといって一個人が幅広く網羅的に正しく課題認識ができるとは限りません。そもそも世の中に正解なんてないんですから。

特に当社が手がけるバーティカルSaaSは顧客企業の経営者が利用するサービスではなく、現場の方々が日々利用するサービスになります。ですから、当社側でも顧客企業の現場の方々に接している「担当者」一人ひとりの社会・市場に向き合う姿勢、アンテナの高さ、感受性などが非常に重要です。

社長が過去の経験からの思い込みで「こうするのが正解だ!」というような指示を出すと、間違いなくミスショットになると思います。過去の成功を継続すると、いつか社会が変わったときに、確実に失敗になるわけですから、あとはその失敗に変わるタイミングが、今日来るのか、1年後か、5年後か、いずれにせよ、いつ来るかだけの話です。

そのため、会社としては価値観の多様な人材がたくさん集まった方が良いと思っているんです。そして社会と向き合うという意味では、社長でも新入社員でも平等。それぞれが自分の価値観や経験を基に「こういうサービスがあったら世の中便利になるぞ」とか、「社会の役に立つぞ」みたいなことを、社会と向き合って考えていくべきだと。

バーティカルSaaSだからこそ「自ら仕掛けること」が重要

特にMCデータプラスのように、経営者ではなく“現場で働く方々”が使うバーティカルSaaS(ホリゾンタルでもそうかもしれません)を手がけている会社では、ユーザーと直接接している社員の考えがものすごく重要になります。

頻繁にコミュニケーションを取っていく中でお客様の課題を敏感に察知し、それを解決する機能をプロダクトに落とし込んでいかなければならない。そうでなければ“本当になくてはならないプロダクト”は作れません。そのためには現場のメンバーのアンテナとその感度が大事で、それを損なってはいけない。

社長の自分が「ここ行くぞ、この山を登るぞ」とリードすることはできますが、「自ら仕掛け、チームをリードする」というのはそういう意味ではないんですね。むしろ現場のメンバーたちが、お客様と接している中で感じたことを基に、自ら仕掛けていく。

もちろん会社としてはそこに人やお金といったリソースを配分しながらサポートをしていきますが、あくまで仕掛けていくのは各個人です。

痛みを感じるからこそ成長できる

自ら仕掛けることに関しては、もう1つ。上から言われてやったことは「失敗しても痛みを感じない」という考えがあります。

自ら仕掛けた結果うまくいかなかった時にこそ、痛みを感じる。私はそれを成長痛だと思っているので、どんどん失敗してほしい。だってうまくいくことのほうが少ないですから。

それは社長がやっても同じことです。社長がやったからすべてが成功するかというと、そんなことはありません。それほど甘い社会ではないし「正解がないことをやる」というのはそういうことだと思っているので、一度失敗したからマイナスの評価をつけるようなこともしたくない。

私自身も三菱商事に入社してから、新規事業や子会社の経営など新しいことに挑戦する機会が多かったので、たくさんの失敗をしました。

たくさん挑戦して1つでも当たれば幸運だったと考えるようにしていますし、その幸運を掴むために自分の実力を過大評価せずに、市場に向き合うこと、全力で取り組むことが何よりも大事だと思っています。

正解のない社会でそもそも100点を取ることはできないので、60点、70点でもいい。むしろそこで大切なのは「70点取ったから自分はすごい」と思うのか、「30点分は失敗してしまった」と思うのか。私の経験上、成長する人は必ず「30点足りなかった」と思える人です。

補足すると、決して「100点主義」になってほしいというわけではありません。ビジネスの規模が大きくなればなるほど、清濁併せ吞むことが必要で100点は取れなくなる。

「今回は70点だったけど運よく成功した。失った30点をなんとかしようとしても、これ以上は『三歩進んで二歩下がる』みたいなことを繰り返すだけで効果が逓減してしまうからやめておこう」と捉えられる人が優秀だと思います。

70点取ったから自分はすごいと考える人の多くは、残りの30点を見ない人。つまり70点を100点だと認識してしまって、自ら成長の芽を摘んでいることが問題なんです。

「自ら仕掛け、チームをリードする」

私の仕事人生を振り返れば9割くらいは失敗で、運よくその失敗が致命傷にならなかっただけでした。

最終的にうまくいくかどうかは「運」の要素が大きいです。お客様に恵まれたり、たまたまいい仲間と出会えたりした結果であることが多くて、自分1人ではできなかった。

「自ら仕掛け、チームをリードする」というフレーズをVALUEにしているのは、1人でできることはものすごく小さくて、自分から仲間を作っていかなければ大きな仕事は実現できないから。

鐘を鳴らすのと同じです。みんなの力を借りて大勢で鐘をしっかりと叩かないと、大きな音は鳴らせない。私自身、社会人1〜2年目の時はまだそのようには思えなかったのですが、いろいろな失敗をした結果、今のように考えるようになりました。

*MCデータプラスでは一緒に働く仲間を募集しています*

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