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薬屋のホンネ ~子育て世代へ、インフル薬が効かなくなる?

前回、入荷しないタミフルドライシロップの代わりに、他の子ども用インフルエンザ薬を紹介しました。
比べてみたところ、結論は、
タミフルがダントツ使いやすい、
でした。

そして最後に、
タミフルでも吸入薬でも点滴でもない、子ども用インフル薬、
「ゾフルーザ」
が出てきました。

ゾフルーザは錠剤と粉薬があり、
しかも、どちらも、「子どもが飲んでいい」と、国が認めてます。

じゃあ子どもはゾフルーザの粉薬でいいじゃん、
と思いがちですが、実は隠れた落とし穴があるので、「子ども」にはあんまり出ないと思います。

なぜなら、「子ども」がゾフルーザを飲んだ場合、
「薬剤耐性ウイルス」、
つまり薬が効かない変異インフルウイルスが、他のインフル薬に比べて発生しやすいのです。

ウイルスがヒトの体の中で増えるときって、分身(正しくは「遺伝子の複製」)をするんですが、たまに元のウイルスとちょっと違うものができたりします(正しくは「複製エラー」)。

その、エラーの分身が、たまたま薬に強かったりすると、薬が効かない分身が、そのままどんどん増えていきます。

インフルの薬は、基本、ウイルスが分身しないよう設計してあるので、薬剤耐性ウイルスが分身するのを止められません。

今回のインフル薬ゾフルーザは、他のインフル薬と比べて、「子ども」が飲んだ時に、この薬剤耐性ウイルスの発生率が高いのです。

これじゃあ子どもに使いづらいですよね。

ちなみに、最新のガイドラインだと、ゾフルーザは年齢によって、飲んでいいお勧め具合が違います。
年齢が小さいほど、「やめとこう」になってます。

詳しくは後日、続きを書きます。

 12 歳以上の小児のインフルエンザに対して抗インフルエンザを投与する場合は、同薬を 他剤と同様に推奨する。
 6 歳から 11 歳の小児については、情報の蓄積を行いながら慎重に適応を検討することを 提案する。
 5 歳以下の小児では耐性変異を有するウイルスの排泄が遷延する可能性があり、また、 2023 年 11 月 9 日時点では 20 kg 未満の小児に対する顆粒製剤の使用は承認されておら ず、錠剤の服薬は困難と考えるため、同薬の積極的な使用を推奨しない。

2023 年 11 月 19 日
2023/24 シーズンのインフルエンザ治療・予防指針 ―2023/24 シーズンの流行期を迎えるにあたり― 日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会

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