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私的コーチング論

先日、コーチングをされている方へライフコーチングやビジネスコーチングについてのコンサルをしたのですが、そのことについて、主観的な覚書として書こうと思います。

私とコーチング

最初にコーチングに触れたのは心理学者・今井集士先生のコーチングです。今井先生の研究所で数年間働いていたので、そこで実践的に学ぶことができました。よかったら過去ログをご覧ください。

コーチングとは?

コーチングとは、様々な定義があると思いますが、語源的定義としては、コーチングとはコチ地方の馬車のことであり、そこから、クライエントを目的地まで送り届けることがコーチングであると言えます。つまり、「ゴールの達成」ですが、これはコーチングのGRPWモデルにあるように、コーチングの中核とも言えます。

コーチングとメンタル

「テニスのコーチ」「コーチする」と私たちも日常的に「コーチ」という言葉を使います。例えばテニスの場合、「テニスのコーチ」「テニスのインストラクター」どちらも使うと思います。これを比較すると、インストラクターはどちらかというと技術を教えるニュアンスです。それに対し、コーチというとメンタルについての指導のニュアンスがあると思います。
ですから、コーチングの言語レベルでの解釈としては、クライエントのゴールを達成するために、メンタル的な指導をすることがコーチングと言えるのではないでしょうか。
メンタル的な指導とは、心に不安があった時に、どのように考えればいいか、とか、その目標を達成するために、どのようにモチベーションを高めるかなどです。

コーチング文化論

コーチングという概念は西洋から入ってきたものですが、日本でもそのようなものが、もともとあったと思われるので、日本文化を考察することで、日本人的なコーチングが見つかるかもしれません。つまり、日本人が何を用いて、どのようにメンタルコントロールしてきたか、です。その一つが仏教であり、もう一つが儒教ではないかと考えられます。

サムライコーチング

例えば、前項で述べて心の不安については、仏教、特に禅がコーチング的な役割をしてきたと思われます。まず禅定をすれば、心を静寂な状態となり、自我がコントロールできるため、不安や恐怖が抑制されます。そうした実践者たちが残した言葉は、現代でもメンタルコントロールに使えるものが多くあります。
この禅や儒教が統合してできたものが武士道です。武士道(葉隠)の有名な一説に、
「武士道とは死ぬことと見つけたり」
という言葉があります。これは、必死になった方が、より自由自在に物事を行うことができるという意味です。例えば、切り合いの時にどうしても死の恐怖が出てしまいます。しかし、心に恐怖が起こると身体はかたくなり、身動きが取れなくなってしまいます。ですから死を覚悟した方が自由を得ることができ、結果、生き残る確率があがると言えます。
武道の道歌に、
「切り結ぶ太刀の下こそ地獄なれ 身を捨ててこそ 浮かぶ瀬もあれ 」
とありますが、これは同じことを言っています。切り合いをすると、相手の太刀が怖いので深く切り込めません。ですから、踏み込みを深くしなければいけないのですが、そこにはメンタルコントロールが必要となります。現代では、真剣での切り合いというのはないと思いますが、ビジネスの現場では命懸けの修羅場が多くあります。そこで、時には思い切った判断をしていかなくてはいけません。その時に、身を捨ててこそ力が発揮されるのです。

陽明学とコーチング

儒教の中で王陽明の陽明学がありますが、この思想は「心に火を点ずる」という革命の思想です。つまり、前述したモチベーションを上げるというメンタルコントロールとなります。上げすぎてしまい、とんでもない行動になりますが、それが歴史を動かしてきました。吉田松陰、西郷隆盛など、この思想をベースとして動いています。心即理、致良知、知行合一、抜本塞源、珠玉の言葉が並びます。自分にやりたいことがあり、しかし、それがなかなか踏み出せない人もいると思います。そこに「考えたことは即行動!」という感じで、心に火を点じてくれるのが陽明学です。吉田松陰という方は、狂気なまでの行動力で、言行一致の人でしたが、歴史的に見ても優れたコーチであったと思われます。

プロフェッショナルとコーチング

「ビジネスにコーチングって必要なんですか?」
と聞かれた場合、あなたがコーチであるならば、どのように答えるでしょうか?
そのビジネスにプロフェッショナリティを持って仕事をしているなら、コーチ・コーチングは必須です。
例えば、プロ野球やプロテニスでは全てコーチがついています(アマチュアでもコーチはついてますが)。スポーツの世界にコーチは当たり前のようにいます。それならビジネスの世界でもコーチは必須でしょう。本当のビジネスのプロフェッショナルになるには、コーチは必要と言えます。

コーチングと酒の飲み方

どん底の時こそ、自分を深く見つめ、そこから失敗を学び、それを忘れない、そして二度と同じ失敗は繰り返さないとすることが重要です。しかし、どん底の時にやってしまうのが、酒を飲んで嫌なことを忘れようとすることです。失敗したり、スランプだったり、どん底の時こそ、そこから学び、成長できるチャンスです。しかし、間違ったメンタルの使い方をしてしまうと、酒を飲んで忘れようと逃げてしまう、これがよくない、つまり、プロフェッショナルではないということです。それではいつ酒を飲めばいいのかというと、勝利した時です。酒は勝利の美酒として飲むべきです(お酒飲めない方は何かご褒美と考えてください)。このどん底の時に行うのがセルフコーチングです。しかし、人間はどん底の時に情動的になりやすいので、客観的に気持ちの整理やメンタルの持ち方のヒントをくれるコーチが必要となります。
徳川家康は若い頃、百戦錬磨の武田信玄と三方ヶ原で戦い、完膚なきまでに叩きのめされました。その時に描かれた絵がしかみ像です。ただ、これは後から付与された創作の話です。しかし、この創作には、家康をモチーフとしたコーチング的な考え方が付与されていると思います。つまり、どん底の時こそ、自分の弱さと向き合うチャンスなのです。その弱さ、無熟さが認識できれば、次にそれに対策できるはずです。敵を知り、己をしれば、百戦して危からず、です。

文化機能コーチング

ということで、私のコーチングは文化も交えた「文化機能コーチング」というものを講座でやっています。また、そうしたお話もしていきたいと思います。

最後まで、お読みいただき、ありがとうございました。

それでは、また。



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