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誰のための、何のためのGI

昨年末に農林水産省が地域の農林水産物をブランドとして守る地理的表示(GI)保護制度に八丁味噌を登録しました。

しかし、八丁味噌の伝統的製法を守る八帖町に現存する老舗2社がこの登録から除外されてしまいました。

そもそも八丁味噌とは、江戸時代初期より、地理的には岡崎城から八丁(約870メートル)の地で作られてきた味噌に由来し、岡崎市の八帖(八丁)町に由来します。老舗2社はこの八帖町で江戸時代からの製法を続ける「まるや八丁味噌」と「カクキュー」です。

登録に際して農林水産省は昨年末、八帖町の八丁味噌製造者が所属する組合ではない組合が八丁味噌を登録し、登録生産者団体となってしまいました。これにより、ステンレスタンクで大量製造しているホンモノの八丁味噌とは似て非なる製法を認めない限り、八丁味噌と名乗ることができなくなってしまうことが、農林水産省により決められてしまいました。

実は海外、特に欧州で八丁味噌は人気となっています。それはまるやさんが、ドイツ留学時代の繋がりとヒッピー経験を活かし、ストーリーを売ってきたからです。

このままですと、ホンモノが八丁味噌を名乗れなくなり、輸出もできなくなってしまいます。

愛知の大学教授がコアメンバーとなり、署名活動が始まりました。

http://www.hatcho.jp/news02/detail.php?no=1528088863

まるやの浅井社長は、輸出できなくなってもいい。今後は見直されない限り裁判で戦うとおっしゃっています。どうして守るはずの制度で、こんなことが起きてしまったのか、理解に苦しみます。

6トンの味噌に3トンの石で重石をして2年半寝かせた八丁味噌と、ステンレスの容器で速醸させ数ヶ月で作った赤味噌とは別物です。

お役所仕事とはいえ、認定する側が、無知では何の意味もない。製造量が多い方という恐ろしい理由で、他の組合が登録認定されたと聞いて、政府は何やっちゃってるんだろうと泣きたくなりました。

努めて冷静にと思いますが、大切な発酵文化を実直に守ってきた人を、国が貶めるなんて、情けなくて辛いです。

他の味噌を八丁味噌と認めるなら名前を使ってもいいなんて、オリジナルのみなさんに酷なことです。

マイノリティこそ、貴重で、やりがいがあるとまるやさんは言い切っておりました。

LGBTは生産性がないとバッサリと切り捨てた議員さんの発言がシンクロしました。

唯一無二の発酵食品にどう、需要と供給のバランスを壊さず、継続性を持ってサポートできるか?を考えると、海外の方が理解してもらえるって、どういうことなんだろう?と思います。

私も食のプロデューサーとしては、私のような動きをしている方に出会ったことがないマイノリティなので、フードテックも研究しつつ、頑張る蔵人たちを応援していきたいと思います。

どれほどAIが入り、労働がロボットに変わり、効率的に大量生産されるものが増えても、人の手で作られるものは必ず残り、その付加価値が見直されるはずです。

http://www.8miso.co.jp/

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