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コーチが講師をやったら悩みの沼だった②

この記事はパーソナルコーチをやっている私が、大学での講師を依頼され、はじめてのことでとまどいつつも思ったことを書き残す記事シリーズです。
きっかけや初回の壁はその1をぜひ読んでほしい。

いよいよ前期15回分のシラバス作り。

学校からの依頼(課題)と期待
私ができること
学生の質感(ペルソナ)

の素材があつまり、大枠の授業の骨子ができた。それを15回分の授業のコンテンツして…あとは授業内容を作るだけ…。文字にすると3行だが、なんせ私は講師なんて超初心者。「先生」という仕事に対して1ミリも関心も興味も寄せてこなかった私に、いったい何をどうしたら・・・と考えるたびめっちゃ頭が痛い。いっこうに黒くならないノートを見つめているとき、ふと会社員のころ、指摘がめちゃくちゃ細かすぎて死にそうになった上司の顔が浮かんできた。採用の設計をしているときに、どの社員が面接に入っても面談の基準が明確になるように項目をつくったことがあったっけ…そのときは何となく雰囲気で作って、後から何か質問や突っ込まれたら答えられなくて爆死したんだよな…。(当たり前だけど)あの時の苦い思い出よ、今こそ君の経験が役に立つ時が来た!と言わんばかりに、後から検証すること、そしてどこからツッコミが来てもいいように、できる限り細かな設計をしてみることにした。いただいたシラバスのテンプレにさらに自分なりに改良を加え(見栄えはさておき)そのシートを見れば全て書いてある!というものを使った。それがこれ(ちっさ!)

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この授業によって何が身につくのか?だけではなく、その言葉の定義も作った。例えば、「主体的行動力」だとしたら、主体的・行動力のそれぞれの言葉を辞書で調べて、その上で今回の授業のねらいにふさわしいかどうか?を考えた。さらに、それを身につけるコンテンツは一体何なのか?と、一個一個パズルのようにはめていった。この作業は大変だったけれど、作れば作るほど自然と授業に必要な要素や、今の私にないリソースを明確にすることができて後が楽になったと思う。営業をやっていた時に先輩から「商談は、事前準備が9割!」と口酸っぱくして言われていたっけな・・・。ありがとう先輩・・・どの先輩かは覚えてないけど・・・。

コマシラバスで山田、死す。

全体の15回のシラバスを作り終えたら、今度は1コマごとの「コマシラバス」なるものを作ることにした。コマシラバスは上記に添付したシラバスをさらに1回ごとの授業の進め方&分単位でタイムラインを作るというもの。「これを作るといいよ~!」と寺裏さんからテンプレをいただいたとき、あああああああああコレハめんどくさいネ!!!を心の中で100万回くらい言った。しかし、私はシロウト中のシロウト。クイーンofシロウト!!!寝言は寝て言え。答えは「ハイかYESかラジャー」しかないのである。むしろこれをやらなかったとき、もしうまくいかなかったとして、何の信頼関係もない学生から「何このアタフタっぷりwこの人ダメじゃんww」と思われる方がダメージが大きい。私が大学生だったときのことを思い出すと、初回で授業コケた先生は、絶対に巻き返しがつかない。だって、面白くない・興味がわかないと思う授業の時は授業を聞いた記憶がない。何なら単位のための大教室での科目の時は先輩に単位の取り方(出席なのかテストなのか)を事前に聞いておき、テストなら先生が板書をしている瞬間忍者のように教室から逃げたりもした。さらに今回の私の授業は、学生の専攻とは全く関係ない。つまり初回のガイダンスで「この授業、おもしろい」「この先生、なんかいい」と興味を持ってもらえないとその後間違いなく死ぬ。それは授業を進めていく私のメンタルも死ぬ。自分のためにも今やるしかないあああああああ!となりながら、先の5回分を作ったところで残りは授業を進めながら改善することにした。すでに初回ガイダンスの5日前になっていた。

初回ガイダンス授業

やっててよかったコマシラバス・・・。いやほんと、それに尽きる。期日に追われた漫画家の気持ちってこんな感じなのかな、と思いつつ手元にあるアウトラインをみながら資料に起こすだけで心が救われました。
初回のねらいは
・授業に関心を持ってもらうこと(自分に役立ちそうだ・必要そうだと思う問題提起をする)
・協働関係を作る

の2つに絞りました。協働関係とはコーチングで使っている言葉で、今回でいえば、授業という「場」を先生・学生のお互いが協力し合って作るぞ!という意識のセットアップのことです。どちらかによる一方通行なものだと場が成立しないので、「授業」という場に対しての意識付けを考えました。
まず関心を持ってもらうために、
・この授業はこれまでの学校・親・塾では教えてもらうことがほとんどないこと。どうして教えてもらってこなかったのか。
・これからの時代に、どうして「自分を知っておくこと」が必要なのか。知らないと起こりえるキャリア上のリスク

について説明をした。

「学生とこの授業との関係」については学生の気持ちになって考えました。このオンライン化はとてもさびしいんじゃないか。自分の興味がある分野での出会いってすごく大事で、同じことに関心があるからこそ仲良くもなりやすい。そこで友達を作って・・・と楽しみにしていたかもしれない。なので、できる限り私の授業では「この授業に来ると、同じクラスの仲間がどんな人なのか良くわかる(もちろん自分のことも)」という状況を作れたらいいなと思いました。それがひいては授業への興味・関心につながり「場」を作る上でもいい効果をもたらしてくれるのではないか。そんな仮説を立てて実施しました。初回は専攻長の先生がご覧になっていて、もうわき汗がすごかったし、なんなら初産の時の出産前くらい緊張し、録画を見返すと顔が引きつってるw。とりあえず、90分間はトラブルなく終わることができました。

初回授業をコーチとして意識したこと

コーチの視点から意識したことを箇条書きでまとめてみました。
関係性の構築
・私に対する興味を持ってもらう仕掛け(オフィシャルな自己紹介+カジュアルな自己紹介)
・学生同士の関係性構築(グループワークを多めに)をすることでその後の授業もしやすく
・グループワークは初回はあえて見に行かずその場を信じてアウトプットを確かめる
・授業の評価方法は初回にすべて開示する

学生への声がけ
・褒めない。評価しない。認める(Acknowledgment)だけ。
・発言してくれたことに感謝する。
・言葉だけに反応しない、その奥のエネルギーを見て反映する(話していると笑顔になっているね)など

場づくり
・自発的な発言を促すための仕掛けのチェックイン(指名しない。自分から手を挙げてもらう)
・チャット欄を使うゲームを行うことで、発言の敷居を下げる
・授業ごとにグランドルールを導入
・学生同士が繋がれるグループワークを多めに行う(ゲーム化する)

課題のレス
・主観的な評価を入れない。文面から感じる学生の個性や信念、価値観をよみとってレスを書く。
・あくまでIメッセージ(私が感じたことですので、違ったら教えてください、というスタンス)
・アンケートの内容から、その学生が授業をどう活用していけそうかネクストアクションの提示(授業へのオーダーメイド感を出す)

という感じで、とりあえず1回目を終えることができ、宿題も全員が出してくれて本当にほっとしました。これを書いている時点で次回は5回目の授業で、あの1回目が遠い昔のようです・・・それくらい人って慣れると変わるんだなぁと実感中。

2回目~はまたぼちぼち書きます。

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