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母への手紙1/3"返事が来た"

私が母に手紙を書いたのは、とれたての野菜を送るついでだった。

その時の気持ちは以前つぶやきで書いた。

母はせっかちだ。
私が同封した手紙など、ろくに見もせず袋ごと捨てたことが何度もあった。

「え?手紙?そんなんあったん?」

今回それだけは避けたかったから、茄子に輪ゴムで留めてやった。

実は良い子で育った私は、反抗期をまともにしていない。
疫病を理由に、これ幸いと連絡もほとんどせず距離を置いた。

その上自分の家族のことで精一杯だったことも理由だった。

昨年から息子2人は昼間家にいる。
いや一日中家にいるようになった。
私も50を過ぎた。
夫も後数年で現役引退。
ただネガティブな空気はなく、大笑いして日々暮らしてはいるのが幸いだ。 

でもやはり息子の将来のこと。
実家の両親とは心の距離が離れていること。
これはさすがにまずいよね。
の自覚だけはあった。

去年からの自粛生活中、自分なりに本やYouTubeでアダルトチルドレンのことを学ぶうち、新しいことに挑戦する勇気が少し出てきた私だった。

春になって友人から勧められたnoteの世界に、私は意を決して飛び込んだ。

私は昔から手紙を書いたり、新聞に投稿するのが好きだった。
TwitterもInstagramも知ってはいたが、ネットの世界は怖いというブロックが自分の中にあり、今一歩踏み込む勇気が無かった。

だけどnoteだけはなぜかやってみようと前向きに思えたのは、今思えば不思議なことだ。

勇気を出して飛び込んで良かった。
この世界で出会った人はどの方もとても優しい。
私は思い浮かんだ言葉を綴ること、それがきっかけで優しい方々と交流が始まり、おかげで少しずつ力が湧いて来た。

愛をもらっていません。
だからこんなに苦しいのです。

の考え方が私の中で徐々に変わって行った。


もう既に愛はあるのです。
もしかしてあなたの見ている世界は違うのではないですか?


私が覗くnoteでは、そうした考えを発信している人がいた。
それも1人だけではなく何人も…

そんなこと考えてもみなかった私は最初は信じることが出来なかった。
しかし、あまりにも何度も、しかも何人もの方の記事を目にするうち

もしかして本当に愛ってあるのかも?
私が気づいてなかっただけなのかも?


と、ようやく今までと違う方向から、ものごとを見れるようになって来た。


もしそうであれば、私が冷たいと思っていたあの母にも愛があったのか?

そうした心境の変化が、私にあの手紙を書かせたのだった。

数週間後…


あなたに頼まれてた手紙を書いたよ 
楽しみにしててね〜



と母からLINEが来た。
妙に上機嫌なLINE。

昔から母は自分の字にコンプレックスを持っていた。

普段私に送ってくる荷物にも、メモ書きなど入っていなかった。
(逆に私はひとこと添えずにはいられないタイプに育った)

その母が手紙を書いたと言う。

母から私への初めての手紙が届いた。
私は少し緊張しながら封を開ける。

見慣れた細い文字は母らしく間違っても消せるように鉛筆で書かれていた。

手紙は出産日の前日から綴られていた。
母は私を産む前に自宅で破水したらしい。
産気づく母。
急いで国道に走る父。

父はようやくタクシーを捕まえると、母は自分で座席にバスタオルを敷き急いで病院へ向かった。

普段から大きな声の父が
「えらいこっちゃ!えらいこっちゃ!」
と国道でタクシーを必死に止める様子は目に浮かぶようだった。

父は母を病院に届けるとその足で仕事に向かった。
その後父は仕事中に病院からの電話で無事に出産が終わったことを知る。
ただ、その時看護婦さんから産まれたのは男の子だったと聞いたのだった。

父は男の子と思い込んで仕事の帰りに病院に来た。
母は女の子だよと言い、両親は病室でいきなり意見の食い違いに。 

え?本当はどっち?
となり

2人でそぉ〜っと私のおむつを外したと手紙には書いてあった。

手紙のここまでを読んで、もう既にたくさんの愛があった。

国道に走る父。
通りかがったタクシー。
緊急入院に対応してくれた病院スタッフの皆さん。

今の私にはその愛がわかった。
いや、ようやくわかるようになったのだ。 


続く…

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