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いつでも帰れる場所がある 【前編】

異国の地で外国人として暮らしていくことは、日本では経験することのない逆境やストレスを経験することもあります。そんな時に私が意識しているのは「最悪、日本に帰ればいい」というマインド。開き直ったような考え方ですが、「海外で生活することは、数ある選択肢の一つ」と考えることで自分を追い詰めすぎず、海外生活のストレスを軽減することができるような気がします。そして、新たな挑戦に足踏みしてしまうような時にも、この言葉がそっと背中を押してくれるように思います。

カナダで暮らし始めて約6年が経ちますが、この考え方が気持ちを少し楽にしてくれたり、背中を押してくれたことが2回あります。今回は、1回目の経験についてお話したいと思います。

カレッジ卒業後は日本へ帰国して転職活動をする予定でしたが、「日本にはいつでも帰れるから”海外就職”という自分にとって未知の世界に挑戦したい!」という気持ちが強くなり、卒業後もカナダに残って就職活動をする決断をしました。外国人として正社員の仕事を得ることは、決して簡単なことではありません。それでも「海外就職という山を登って、そこから見える景色を見てみたい!」という思いが強かったのです。

人生で初めての海外就活は困難の連続でした。まず打ちのめされたのは、日本での職歴がほとんど通用しなかったということ(今振り返ると、カナダの就活に対する理解や自己分析、戦略の立て方が甘かったのだと思います。)「大手金融会社で正社員として6年半働いた経験があるから、なんとかなるだろう」と心のどこかで少しだけ期待していたのですが、レジュメ(履歴書)を何十通送ってもほとんど連絡がありませんでした。「いったい日本で何をしていたんだろう」と自分の社会人経験を否定されたような気持ちになりました。「私にはなんのスキルもない」「カナダのようなスペシャリストが求められる世界では、文系出身の私は通用しない」という気持ちにさえなりました。

レジュメを作ってメールで送り続ける単調な日々。

いつ内定がもらえるのか分からない、出口のないトンネルの中にいるような不安。

学生でも社会人でもない、何者でもない自分。

これまで自分が積み上げてきたものを否定され、自分のアイデンティティが崩されたような感覚。

ネガティブなことを挙げるとキリがありませんが、「なんとしてでも人生で一度はカナダで働いてみたい」という野心が消えることは不思議とありませんでした。日本人の私にとって、日本には安心で快適な環境があります。それでも、異国の地で現地の人たちに負けないように自分を奮い立たせ、ゴールの見えない道を切り開いていくプロセスは、【自分の人生の舵を取っている】という感覚を人生で初めて与えてくれました。気づけば130社以上の会社にレジュメを送り、10社以上の面接を受けていました。そして就職活動を開始して4か月後、念願の内定をいただくことができ、カナダでキャリアを築くためのスタートラインにようやく立つことができました。カナダで1社目に働いたこの会社では、語学学校のマーケター兼カウンセラーとして2年半ほど働きました。

初めての海外就活で得た学びはたくさんあります。もちろん、海外就職の特徴や市場を理解した上で戦略を立てたり、レジュメやカバーレターの書き方、面接でのアピール方法などのテクニックを得ることも大切です。でも、それ以上に大切なことは【”とりあえず”やってみること】。覚悟を持って、可能性があるところに向かって少しずつ進み続けることで、チャンスは必ず訪れます。

✅ 興味のある分野が見つからないのであれば、過去の経験を生かしたボランティアを”とりあえず”やってみる

✅ 興味がある分野があるけど何から始めたらいいか分からないのであれば、SNSやYoutubeでその分野の仕事をしている人を”とりあえず”探してみる

✅ 自分の経験やスキルが海外で通用するかどうか自信がないのであれば、”とりあえず”レジュメを作って数社に送ってみる

初めはうまくいかないことばかりかもしれませんが、行動し続けてみると、次の選択肢が見えてきます。海外の慣れない環境でがんばる自分を褒めてあげて、たまには休憩したり息抜きをしながら、楽しむことも忘れずに💡

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