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トミカ

男の子はトミカやプラレールが好き。うちの子も例外ではない。トミカはお安いので、なんやかんやと買っているうちに、気がついたら数えたくもないくらいの数になってしまっている。

このトミカでどうやって遊ぶかというのが、たぶん普通の男の子とはちょっと変わっている。
何しろ、「ミニカーします!」と言い出すとその日から1週間近くはトミカ遊びにどっぷり浸からなくてはならない。

新聞紙を連ねて部屋一面に敷き詰める。
その上に彼が覚えている実在のコースを描いていく。もちろんピットとピットロードも作る。ないのは観客席くらいのものだ。

それをハサミでカットして、3m×3mくらいの空間に、ミニサーキットが登場する。段ボールで坂道を作ったり、交差を作ったり、ダンロップゲートなどの飾りもをつくっていく。
レゴの木を並べて森もどきも作る。
そうやって彼の記憶の中にあるサーキットを作っていく。だいたい初日はこれで終わってしまう。

2日目は、いよいよエントリーだ。
スマホを使って自分のブログに出場する車とドライバーをエントリーしていく。
ここで初めてトミカが登場する。エントリー台と呼んでいる台の上にミニカーを乗せ、1枚づつ写真を撮っていく。

それをブログにアップして、ドライバーとセカンドドライバーを記入していく。

エントリーNo.1

NISSAN GT-R
ふぶき姫↔️さとりちゃん(妖怪ウォッチレーシング)

こんな感じで、ずーっと「エントリー」していく。ミニカーは手持ちのもので、ドライバーはだいたいアニメやゲームのキャラかおかあさんと一緒のお兄さんお姉さん。
それぞれの出演する番組=レーシングチームとなる。

この「エントリー」に2日くらいかかるから、最初から数えて4日めに予選が始まることが多い。

予選は移動中の車の助手席と決めているようで、エントリーしたブログを見ながら「エンジントラブルがー」とか「この周回は不利ですねぇ」とかレース番組の実況や解説を真似しながら、自分の頭のなかでの予選順位が確定していく。
家に戻って、予選結果を書き込んで予選終了。

5日目。やっと本戦である。

本戦は、グリッド紹介から始まる。
「ポールポジションはふぶき姫、妖怪ウォッチレーシングです。フロントロウにはエルザが並びます。FAIRY TAILレーシング強いです!」などと流暢に予選結果を読み上げていく。

次はスタッフの紹介だ。「スタートピストルはおじゃる丸、チェッカーフラッグはでんぼです。今日のスタッフはおじゃる丸チームとなっております」

スタートピストルってなに?運動会?などとも思うが、イエローフラッグなどはもちろん、ファイナルラップに旗を振るという仕事までも作ったりしながら、スタッフを割り当てていく。

そして、本戦が始まる。
スターティンググリッドに、並んだミニカーは、少しずつ前進し、その都度写真に撮られる。

接触する車もあれば、タイヤに突っ込むものもあり、スピンしたり乗り上げたり、ありとあらゆるアクシデントシーンを順番に再現して写真におさめる。

もちろん黄色の旗を振っているキスケ(おじゃる丸キャラ)もカメラにおさまる。キスケの手をもって旗を振るのは私だ。

1周目が終わるとピットに戻る車も出てきて大忙しになるが、とても楽しんで再現している。

ちなみにこのピット作業のためだけににレゴの「フェラーリのピット」を買った。フェラーリは作られず、ピットと作業者だけが残っている。

3周目くらいになると再現するシーンもなくなってくるのでゴールになる。
ゴール直前は接戦状態なので、私も介入してミニカーを動かす。

接戦シーンもカメラにおさめ、満足した彼は大きな声で「ゴール!」と叫ぶ。

それから順位をまたブログで更新し、見所を写真とともに書いていくのだ。
何かの雑誌で見たようなレース解説がそこには並んでいて、彼の記憶力のすごさに驚かされる。応用できないのが残念だ。

次の日にサーキットの片付けをして、トミカ週間はやっと終わりを迎える。

ミニカー遊びは生活空間がサーキットに侵略されるからあんまりやりたくない。
でも、トミカに新車が出るたびに、ほんとにキラキラと目を輝かせて「ミニカーします!」
家のごみ捨てで貯めたお小遣いで買うのだ。

第3土曜が新車の日だから、だいたい月の終わりはミニカー遊びになる。しょうがないから遊ぶけど。

ママは散らかってる部屋はあんまり好きじゃないということを、いつか理解してくれないかなぁ
と虚しい期待をしている。

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