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無謀だけど本を書こうと思った理由

たまたま押した「ワンクリック」

そんな小さな行動が人生を変えることだってある。

2021年2月。親の介護のため、長年住んだ東京を離れ、宮城の実家に戻ることになった。母親のがんが発覚したと同時に急性統合失調症も発症。妄想なども言うようになり、2つの病気を抱えながら70歳を超えた父1人だけでは手に負えない状況となってしまった。

2か月ほど東京と仙台を毎週新幹線で往復していたが、さすがに体力的にきつくなった。今、私が支えずして、誰ができるのだろう。海外に転職したいと思っていた矢先だったが、今は、自分のキャリアよりここまで育ててくれた家族のそばにいるべきだと感じた。

しかし、現実はそうは甘くはなかった。
東京の会社に籍を置き、介護をしながら在宅勤務で、仕事を続けられることになったが、出された条件は週3日勤務。

「今、あなたに渡す仕事がない。かき集めないと」

言った方はそんなに重い意味はなかったようだが、今までやっていた営業の仕事ができなくなり、事務方の雑用に回った。介護によって時間と場所が制約されたことで、自分には価値がないと言われたようだった。

30代で介護を経験している人は周りおらず、本人が辛いのは分かっているが、妄想を言ったり、夜中に起こされたり、ずっと目を離せないという状況は、支える家族にとっても、辛かった。おまけに在宅勤務の仕事は、一番苦手な作業が割り振られて、やりがいも感じることが出来ず、収入も激減。でも、生活のためになんとかしなければ。とにかく、心を押し殺す日々だった。

お金もない。

時間もない。

自分らしくない。

「ない」の3拍子。


この日から「今の自分は何ができるんだろう」と、自分探しの旅が始まった。

そんなモヤモヤな日々を過ごしていると、世の中が激変した。コロナだ。外に出にくい状況でストレスも限界にきていた頃、ふとFacebookの広告が目に入り“クリック”してしまった。

「好き」で繋がる体験シェアサービスを提供しているTABICAというサイト「オンライン体験」を実施する主催者募集だった。「オンラインスナック」というキャッチーなコピーも面白いと思った。Zoomで飲み会を設定し、スナックのママがいて飲みながら話をする。最近は辛いことばかりで楽しいと感じていなかった私の心が久々にワクワクした。

「オンライン」なら、場所が宮城でも自宅でも、好きな時間に実施できる!

緊急事態宣言が出た頃で、「オンライン」でできることの需要も増えており、タイミングもよかった。思い切ってページを作成し始めてみたところ、その後、どんどんと予約が入り、毎晩のように開催した週もあった。「あっという間に時間がたつ」「癒される」「楽しかった」そういった声を頂くことで、私も嬉しかったし、何より、「話を聴く」という好きなことで、初めて稼ぐことが出来たのだ。単価設定は1人500円と安くしていたが、初めて振込された時は、めちゃくちゃ嬉しかった。

好きだから、命を削るように我慢しなくても、少ない労力で、誰かの楽しいにつながり、対価を頂ける。本業の仕事で稼いだ何千万円の売上よりも、自分だけで稼いだ500円にやりがいを感じた。

やってみて、反応が悪ければ変えていけばいい。その次は「旅」が好きなので、オンライン旅行を始めてみたり、それがきっかけで大学の講義の仕事も舞い込んできた。そのノウハウを教えて欲しいというゲストさんの要望で、オンライン体験の企画を作る講座も始めてみた。こうして少しずつ自分が楽しいに、ゲストさんの反応のスパイスとくわえて試行錯誤を重ねた結果・・・

なんと、集客知識ゼロで、Zoomを「ゾーム」と勘違いして呼んでいたアナログな私が、TABICAで2020年度のMVPオンライン体験賞を受賞することができた。

楽しい、ワクワクするという「感情」の循環が私の中で生まれ、それがゲストさんにも波及する。「副業(サブ)」というよりは、本業も含めて、スナックや旅行などいくつかの複数の軸で収入源を持った「複業」スタイルにしたことで、1つの調子が出ない時でも、もう1つの方でカバーでき、本業の給料を補う収入を得ることができるようになった。

「感情」と「経済」の好循環も生まれた。

実は、過去に企業からNPOまで5社転職し、色々な業界の仕事も経験した中で、常に働くことに悩んでいた。人より敏感で繊細過ぎて人が好きなのになんだか疲れたりストレスをためやすかったが、それが副業ではオンラインでもゲストさんの様子に対応できる強みとなった。色々やりたいことが多くて、長く続かないことや器用貧乏だねとよく言われ、1つの専門性も持てないことも悩みだった。しかし、逆に色々な引き出しがあったこともゲストさんがリピートしてくれる大きな要因となった。時間も1時間だけなど、介護をしながらの生活でも、場所と時間に制約があっても、やりくりできている。

むしろ、オンラインによって日本全国、世界の人とつながれるようになった。

そうこうしているうちに相乗効果で、本業でも「英語」という好きな軸を活かして、家で自分のペースでできる翻訳の仕事が回ってきた。未経験だったが、好きなことであれば、頑張ってスキルアップしようとする。こうして少しずつ本業もオンライン体験も好きや得意な仕事で回せるようになってきた。

働くことで悩んだ時、SNSの情報や周囲の声やアドバイスが邪魔になる時がある。


結局自分が腑に落ちて気づいて変えようと行動をとらない限り、結局何も変わらない。そして、時に一番有効なアドバイスはいつも、「問い」の形だった。そんな風にして問いを投げてくれるような本をここ1年でたくさん読んできた。

「ない・ない・ない」と嘆くのではなく、自分の中にしっかりと既に「ある」自分らしさ、つまり好きや得意、自分の心地よくて持続可能なスタイルに向き合いながら探しに行く旅の様だった。

自分らしく働くことを考えた時、色々な制約を乗り越える方法は、その人らしさによって正解は変わってくる。働く悩みにとことん向き合ってきた私だからこそ、声を大きくして言いたい。

「あなたらしく働く方法の答えは、あなた自身の中に既にある。
あとはそれに向き合って見つけるだけ」

そんな風に昔の私のように働くことで悩んでいる渦の中にいる人や、もっと自分を活かして働きたいと思っている人へのエールを込めて。自分らしい働き方を探す旅のガイドになるような本を書いてみたいと思った。

小さな変化や行動を起こすきっかけになるような。

ということで、書くことが苦手な私が無謀にもKindle電子書籍の出版に向けて、6ヶ月のプログラムに参加して一歩踏み出しました✨

これから書く過程もアップしてみたいと思います^_^



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