中1女子、父のAVを見る|ネット時代の性教育と人権
素朴な小学生時代
有名私立大学の文学部4年に在籍するキョウコ(仮名・21歳)。北関東の中規模都市の出身だ。長い髪を1つに束ねて、ナチュラルメイク。太目の眉が素朴な面影を残している。卒業後は金融関連の会社に就職する予定だ。
キョウコには地元に、高3から付き合っている彼氏がいる。遠距離恋愛を続けてもう3年以上。単独の相手との交際期間としては、今回取材した学生たちのなかで最も長い。育った地域は自然が多く、野を駆け回るような小学生時代を過ごしたという。
「割とのんびりしていたので、性的なメディアに触れることもあまりなかったですね。ベッドシーンがある少女漫画を回し読みするくらい。特に衝撃や嫌悪感はありませんでした」
中学校で性的環境が激変
のどかな性的環境は、中学校へ上がると激変する。その公立中学には幅広い地区から生徒が集まり、荒れていた。不良の先輩が、キョウコに性的な情報を色々と教えてくれた。
「シックスナインとは、とか、そういう話をしていることが楽しかったですね。知っていることに優越感があったり。『ブラとパンツはお揃いじゃなきゃダメらしいよ』とか、先輩から得た知識を友達にひけらかすのが気分良かったです。性欲より好奇心ですね」
友人の父のAVを盗み見
1年生のとき、友人が「家にお父さんが隠しているAVがあるんだ、見つけちゃった」と興奮した様子で言ってきた。みんなで見ようよ、とその子の自宅へ。両親が外出している隙に、女子だけで鑑賞会を開いた。
「うわー気持ち悪いな、と思いました。写真と違って動きとかもすごくリアルで。でもその行為が何を意味するのかは、ちゃんとはわかっていませんでした。みんなで『マジきもくない?』と言い合って、すぐ消しちゃった。その友人は、お父さんがAV持っていることがショックだったと思いますよ。だからこそ笑いにしちゃおう、みたいな。その事実を1人で隠し持つよりも、みんなに『お父さん気持ち悪いんだけど』と言って共有することで」
児童虐待防止法は、子どもにポルノを見せることを「性的虐待」と定めている。いくら親が、我が子がアダルトサイトなどを見ていないか目を光らせていても、自分の所有物を見つけられてしまってはシャレにならない。家庭でのポルノ管理は厳重に。
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