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日本の最先端教育の地。

ある界隈で注目を集める日本の教育の最先端、島根県。

9月末に開催された「ソーシャルイノベーションフォーラム」でソーシャルイノベーター最優秀賞に輝いた岩本悠さんの取り組みについてお話が聞けるということで「島根発!最先端の教育カイギ」に参加して来ました。

地方創生に関心のある方ならおなじみの「ないものはない」海士町。この海士町から始まった「学校魅力化プロジェクト」を「学校魅力化プラットフォーム」へというのが、今回のソーシャルイノベーション。

海士町・隠岐島前高校での「プロジェクト」を「プラットフォーム」に進化させることで、この取り組みを全国に広げようというわけです。

そもそも「学校魅力化プロジェクト」ってなんなの?ってところから、わたしなりに整理してみたいと思います。

学校魅力化プロジェクトとは

日本海の島根半島沖、約60Kmに浮かぶ隠岐諸島の中のひとつ、中ノ島がまるっと海士町。本土から高速船またはフェリーで1,5〜3時間、人口約2300人のこの小さな島に「学校魅力化プロジェクト」の創始者、岩本悠さんが移住されたのは我がムスメの生まれた2006年のことでした。

その頃の海士町はというと...財政破綻寸前、島内唯一の県立高校は廃校目前というピンチに見舞われつつも、そこから這い上がろうとする意志を持ったキーマンたちが集まっていて一部からは「おもしろい島」とみなされつつある時期だったようです。

そんな海士町の教育委員会に、今でいう地域おこし協力隊のようなポジションで入られたのが悠さん。悠さんはここで「人づくりからのまちづくり」を推進していきます。そして、その舞台の中心となったのが、島唯一の高校、県立隠岐島前高校です。

「存続可能な高校」から「魅力ある高校」へ。

存続させることではなく、通いたい、通わせたいと思われる魅力的な学校を作る。これが「学校魅力化プロジェクト」の本質です。「魅力のある高校だからこそ存続できる」という、ある意味当然ながらも見過ごされがちなことを大切にしてきた結果が、今につながっているのだと思います。

では「学校の魅力」ってなんなんでしょう?

一般的に、志望校を決めるときに意識されるものといえばやっぱり偏差値ですよね。あとはやりたい部活があるかどうかとか、通学にどのくらい時間がかかるかとか、進学希望の場合は進学実績や指定校推薦の枠なんかも重要な判断基準になりそうです。

...と、こういうことを基準に学校を選ぼうと思うと、「通える地域に1校しかない」状況は圧倒的に不利です。だって、選択肢がないんですもの。選びようがない。実際に、わたしは選択肢が多いところでムスメを育てたいという思いもあって東京に住んでいたわけで、選択肢がないという状況は「学校の魅力」以前の問題だと、10年前のわたしだったら思うのかもしれません。

しかしながら、2020年の教育改革を控えた今、その認識は大きく変わろうとしています。

隠岐島前高校の教育の特徴は「島全体を学びのフィールド」にしたこと。「学び」を学校という枠から持ち出したんですね。学校にコーディネーターを配置して学校と地域をつなぎ「学び」が教員だけでなく、セクターを越えたさまざまな人たちによって支えられるしくみがつくられました。島という限られた空間の中で学校という枠組を外したことで、その学びの幅を大きく広げることに成功したのです。

勉強だけではない学びのある学校」わたしはここに魅力を感じています。そして、この潮流は海士町から島根県へと広がり、今、島根では県をあげて教育システムを変えようと動き始めています。そしてこの動きは全国へ。

東京には学校の外にもさまざまな学びがあふれています。これは本人次第でアクションを起こしやすい土壌があるということです。その一方で、地方では学校の学びを学校外に広げる取組が広がろうとしています。

今回、わたしが離島に移住するという選択肢を持てたのは、このうねりを知っていたからに他なりません。そして、今回の教育改革による教育観の変化に伴い、離島での教育がハンデではなくチャンスにもなりうるのではないか、そう思えるようにもなってきました。(海洋教育にも注目が集まっていますしね)

ただ、わたし個人としては「高校生のアクション=地域」である必要はないと考えています。子どもたちがやりたいことを思いっきりやっていれば地域は勝手に活性化するというのがわたしの持論。でもこれが難しい。だからこそ地域に理解を求める必要があり、そのためには「地域活性化」という概念が切り離せないんですよね、きっと。

そして今回のイベントもまた釜石ローカルベンチャープログラム同様に「学校魅力化コーディネーター」という名前の地域おこし協力隊人材発掘イベントでもありました。移住するための地域おこし協力隊ではなく、叶えたい未来を創造するために地域おこし協力隊として移住するという選択。確かにこのほうが結果が伴いそうな気がします。地域おこし協力隊募集のあり方も少しずつ変化しているのかもしれません。

photo : 海士町のとある方のお名刺より「ないものはない」

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