創作怪談 『配信』

私は所謂、配信活動というようなものをやっている。
私が学生の頃からそういった活動を職業とする人が増えてきていて、働きたくないと思っていた私にとって、これは天職だろうと学生の頃から活動をしている。

今はバイトをしながら、所謂ゲームをプレイしながら喋るゲーム実況者というものをやっている。
それなりに年数をやっているのもあってか、なかなかの数のファンも定着し、楽しく活動をしていた。

少し余裕ができたので、引越しをしようと思い立った。

というのも、今は実家住まいで、一応生活費としてバイト代を渡してはいるのだが、そう言った活動に理解のない家族は定職につけとうるさく、居心地が悪い。

目星をつけた物件は借家の一軒家ろ結構綺麗だが、家賃はそんなに高くない、何より保証人不要だった。
住宅街から少し離れて、ご近所もある程度距離があるということもあり、配信にはピッタリだった。

初めての引越し作業というのと、バイトでなかなか荷解きが進まず、4日ぐらいかけ、ようやく防音の環境も整え、新しい家具等も満足いく配置にできた。

 配信再開しますという旨を投稿すれば、すぐに反応が返ってきて1人ニヤニヤとしていた。

バイトも終わり久しぶりに配信を行っていた。
ゲームをプレイにながらも、コメント欄にも目を向けて、時々コメントに返事をする。
ゲームは最近流行っているものなので視聴者数も普段より少し多めだ。

「あ〜ホラーねぇ……」
コメントに対して、返事をする。

『ホラーゲームはしないのか?』
そんなコメントが目に付いた。

正直、ホラーや怪談は苦手だ。
けれど、ゲーム実況や配信活動でそれらは結構需要がある。
推しがビビっている姿を見るのが好きという物好きは多い。

「まぁ、いずれやるよ」
そう答えると

『本当か?』
『絶対やらないやつwww』
そんなコメントで溢れかえる。

「いや、だってさ〜怖いじゃん」
そう言うと

『www』
『怖いのかwww』
『ビビり〜w』
 少し小馬鹿にしたようなコメントが増えた。

「は〜!?そんなん言うな今度やってやるわ!」

そうすると
『おー!』
『言ったな?』

そんなコメントが流れた少し後

『なんか聞こえた……』
『誰の声?』
『女いる?』
『彼女おるんか?』
『え、なんか声した』

そんなコメントが流れ出した。

「え?何?やめて、ビビらせないでw」
少し笑いながら返事をするが、コメント欄の勢いは止まらない。
ゲームを途中で止めて、コメント欄の方をしっかりとみて読む。

『いや、女の声したよな?』
『わかんなかった』
『めっちゃはっきり聞こえた』
『怖っ!』
『ヤバくない?』

『ホラゲやってやるって言った後、「本当?」って声聞こえた。』  

 「え?マジ?」
怖すぎるが、一旦配信を中止してから、録画していたその配信を見直す。
ゲームのBGMや、操作音、そして雑談をしたり、コメントに答える自分自身の声

「いや、だってさ〜怖いじゃん」

「おー、そんなん言うな今度やってやるわ!」

 [本当?]

少しノイズが混じったような女の人の声。
それがはっきりとそれが聞こえた。

その後、ファンがその場面を切り抜いてSNSにアップロードしたことで賛否両論、ヤラセだ本物だ彼女が居たのを誤魔化しただけだと、少しだけバズったのだが、正直そんなバズり方はしたくなかった。












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