創作怪談 『不思議な経験』

何故だか不思議なものを見たり、経験することがよくある。

最初は、確か小学生の頃だったはず、小学校から帰っている最中、ふと空を見上げるとUFOがいた。
典型的なあの形のUFO。

「あ!」
「なに?」
叫んだ私に友人が驚いている。
「あれ!」
UFO指をさすと、友人はそちらを見上げる。
「UFOじゃん!」
友人はそう叫んだ。
見間違えではなかったらしい事はそれでわかった。

次に不思議な物見たのは、UFOを見た時から少し経って、小学校の高学年の頃。

夏休みに、仲の良い友人とその家族でキャンプに行った、そこでは河童を見た。
 川に入って友達と遊んでいた時、河原の草むらに何かが見えた気がした。
草が風で揺れているのかと思っていたが、ひょこっと、河童の頭が出てきた。
本当に皿があるのか……妙に冷静にそう思った。
河童はキョロキョロと周りを見渡している。

「何見てんの?」
パシャパシャと水音を立て友人がコチラへ寄ってきた。
「あれ」
指を指した方を友人は見た。
「河童?」
友人も冷静だった。
「みたい」
「本当にいるんだ」
「ね」
そんな会話をしていると、キョロキョロしている河童と目が合った。
「「あ」」 
河童「やべっ!」と言ったような表情をして、後方の森へと入っていった。

その他にも色々経験したのだが、
次に話すのは、今までと違い1番よく分からないものだった。

大学生になった時、父親の影響で登山にハマった友人に付き合い、一緒に山登りをすることになった。

初心者向きの山らしいが、小学生の頃から運動をやっている友人に対し、ずっと家に籠っているようなタイプだった私は正直、かなりしんどかった。

なんだかんだ楽しかったのだが、下山の最中道に迷ってしてしまった。
道は舗装されていたし、所々道を示す看板もあった。
絶対ありえないのだが、いつの間に木々の生い茂る獣道を歩いていた。
スマホを見て見ると、圏外だ。

方角等もあっているはずなのに、どうしてだろうと言い合いながら、歩いている。
少し開けた場所に出た。
そこにあったのは、家だった。
 古そうではあるが、綺麗な雰囲気のある洋館だった。
冷静に考えれば、そんな所に家なんてあるはずがないのだが、かなり歩いていた事もあり、2人とも疲れてい思考が止まっていたのだと思う。

誰かいるかもしれないと、玄関のドアをノックする。チャイムはないようだった。

返事はない、広そうだから聞こえないのかもと、ドアノブに手をかける。 

鍵は空いていた。
玄関も洋風のオシャレな内装でとても綺麗だ。
ドアを開け、中に向かって友人が声をかけた。

「スミマセーン」
「なんでカタコト?」
「いや、わからん」
友人は笑いながら言った。
そんな事を言いながら、私も叫ぶ。
「どなたかいませんかー?」
変わらず、返事がない。

顔を見合せ「どうする?」
お互いそんな顔をしていた。

ふと、空が陰り始め、ポツポツと雨が降って来て、すぐに大雨になった。
ザーザーと、すぐ先も見えずらい程の大雨になり、軒先にいても濡れてしまう。
これは本格的に困った。
家主には申し訳ないが、少し玄関で雨宿りさせてもらおうということになった。

ドアを閉めても雨音がうるさい。
何度か家の中に向かって声をかけるが、やはり返事は無い。

「上がらせてもらう?」
「うーんどうなんだろう」
「もしかしたら、声の届かない所にいるのかもだし」
「まぁ、入ってみるか」
そういって、室内へ入ってみる。

声をかけつつ、室内を回るのだが、全部屋回っても誰もいない。
でも、誰かがいたような気配はする。
客間のような所にあった暖炉に火が入っていたし、ティーセットが置いてある。
ティーポットは暖かく蓋を開ければいい香りの紅茶が入っている。

「外出中かな?」
「玄関開けて?」
 「……確かに」
「でもとりあえず、人居そうだし、少し休ませてもらおうぜ」
「そうだな」

流石に高級そうなソファーに座るのは何となく気が引けて、暖炉の前に座って暖を取る。

先程一瞬だったが、雨に濡れ寒かったのもあり、心地よく、段々と眠くなってきた。
友人も大きく欠伸をしている。
頑張って起きていようと思ったのだが、意識を手放してしまった。

「……お……おい!」
意識が戻った時に見たのは知らないおじさんの顔だった。
どうやら眠ってしまって、知らぬ間に横になって寝ていたらしい。
「大丈夫か?何があった?」
隣で友人も体を起こしている。

「あれ……?」

外だった。
寝ていたのは登りの時も登った舗装されていた道だ。
「怪我でもしたのか?」
おじさんは親切でかなり心配してくれている。
おじさんは下山中に道端に倒れている所を見つけたらしい
「あ、すいません」
「怪我とかは無いんで大丈夫です……」
友人と2人でペコペコ頭を下げながら、お礼を言う。
 
そのままおじさんと一緒に下山した。
おじさんは、麓の自販機で暖かいコーヒーを買ってくれた。

おじさんにもう一度お礼を言い、別れた後に、2人で顔を見合せ話し出す。
「家に居たよな?」
「無人の洋館な」
「あれ夢?」
「2人して同じ夢見たって?」
「そうなると歩いている最中に、急に寝たってことになるぞ」 
「ん〜」
「でもまぁ、俺ら一緒にいるとなんか変なこと起こるしな……」
「……それなぁ」

小学校から大学までずっと一緒のこの友人、UFOを見たのも、河童を見たのもこの友人と一緒の時。
その他の不思議な経験も、その友人としか体験しない。 
友人も自分自身も霊感とかもない、本当に不思議だ。










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