見出し画像

自分の魅力と技術で、生きていく~日本一売り上げるキャバ嬢に学ぶ「選ばれる力」と仕事術

「結果を出したい」「愛されたい」は「選ばれたい」に通じる。「会いたい」と思われる人になる。だったら、「選ばれた」実績のある人の技術を知れば「選ばれる」極意がわかるのではないか?

文字通り「自分を商品として自分の魅力で自分を売る」——そんな夜の世界で結果を出した小川えり(通称エンリケ)の「日本一売り上げるキャバ嬢の指名され続ける力」について、まとめてみました。


1 小川えり(エンリケ)とは


エンリケ


 2018年までの7年間東海地区指名NO.1を守ったキャバ嬢。中学の先輩から代打を頼まれたことをきっかけにキャバクラの世界に入る。当初は栄にある人気店に修行のつもりで入店し、徐々に人気をあげる。その後系列他店へ移籍したが、退店。錦にあるアールズカフェに所属し、型破りな接客で人気を博す。ネットにあげた「直瓶写真」で有名になり、その後SNSでも人気を博す。7年間トップを守り、2017年のバースデーイベントでは、2日間で1億円、2018年には3日間で2億5000万を売り上げる。2018年、日本で顧客3組しか選ばれないフェンディのショーに招待され、それをSNSで配信。2019年11月にキャバ嬢は引退して現在はタレントとして活動中。

 エンリケは自身を「ネクラで人見知りだけど、実はひょうきんで目立ちたがり屋」と書いています。

 マラソン大会で1位になりたいと思ったらコツコツ走って体力をつけ、戦略的に走って1位になったり、小学校6年生の時に存在感をアピールしたくなって、クラス行事のピアノ伴奏に立候補して、オーディションを勝ち抜いて選ばれたり。

エンリケは努力して、自分で自分の性格を変化させてきました。

「私は1番が好き」

そう語り、そしてNO.1になったエンリケ。その技術とはいったい何なのでしょうか?


2 ナンバーワンになるまで

(1)ありのままの自分でいる&人と違うことをするとウケる

 エンリケの心情は「ありのままの私で接客しよう」

 元々アールズカフェは内装が重厚な雰囲気のお店だそうです。周囲に気を遣い、最初はおとなしくしていたそうです。ですが、あるお客に

「えりちゃんて、同伴の時はおもしろいのに、店に来ると急につまらんがや!!」

と言われ、「1度(素を出して)やってみやぁ」と言われ、それまでのぶりっこを打破し、殻を破ってみたそう。すると、エンリケが素を出したことにより、お客様も素顔を見せてくれるようになったそうです

キャバ嬢はきれいでかわいくなくては指名がもらえませんが、でも、それだけでは席は持たないのです。おしとやかに座って微笑んでいるキャストより、おしゃべりが楽しかったり、キャラが面白い子が求められています。

…結局きれいでかわいくなかったら指名はもらえないんやないかーい!…というある種辛辣な場面もありつつ。それでも、自身も書いていますが、エンリケは「すごい美人…というわけでもない」と、関係各所、口をそろえるのです

エンリケ2

 それでも、お金を払ってでも、エンリケに会いに行く。お店に行ったらずっと話せるわけではないのに、エンリケにお金を落とす。それがエンリケの魅力。

そんなエンリケがナンバーワンになる前にやった「人と違うこと」

 ありのままのフレンドリー接客、 ブログでも素をさらけ出し、「痛客しばいた」とタイトルをつけてちょっと過激なタイトルでブログ更新、変顔してブログ更新、踊ってブログ更新etc.

本来のひょうきんであほな私をさらけ出したんです

…果たしてそれでおさまるのだろうか?

そんな中の1枚が、ドンペリを直接瓶から一気飲みする「直瓶」写真。

これがウケて、「実際に見たい」というお客様が来店。写真は演出でしたが、実際やってみたらできてしまい、これまたブログに更新。これがいわゆるエンリケの「直瓶伝説」というもので、以来、「エンリケ=ドンペリ=直瓶」がトレードマークに。

 「素をさらけ出す」と書いていますが、実際は「明るく楽しむ相手や場を盛り上げる」これがエンリケ接客の神髄です。

(2)人間関係は大切。敵をつくらないことは仕事をするうえで大切。

型破りばかりがフューチャーされがちですが、それは土台があってこそ。

エンリケは結構堅実で体育会系です。

①シカトされても挨拶をする

 こちらが根性を魅せると、相手も根負けして挨拶してくださるのだそう。

怖いと思う先輩には距離を置いてしまいがちですが、ちょっとした気遣いをすると、いつか心を開いてくれるものです。(略)挨拶されなかったからといって、こちらも挨拶しないでいると、そこで人間関係は終わってしまいます。私は、人間関係はどんなときにでも途切れせてはいけないと思っているので、こちらからアプローチし続けました

②気遣いをする

 キャバクラの仕事は、お互いが指名を競うライバルである一方、「チーム」の仕事だそうです。一匹狼になったら、やっていけない仕事。

 新人の時は、先輩が指名された席についていても(ヘルプ)、自分が指名されたわけではないので、その間に給料はそのキャバ嬢にはつかないそうです。人気のキャバ嬢になればなるほど、指名は増え、その席にいられない時間は増えます。その時、自分に給料はつかなくとも、その場を盛り上げて場をつなぐと、返ってきたときにその先輩はやりやすいのだそうです。

 そうやってがんばっていると、先輩が指名されたときに呼んでもらえて、「場内W指名」という形で自分にもポイントが入ったりするそうで、新人時代はそうやって先輩との人間関係を築いたそうです。

 人気のキャバ嬢となってからも、待機時間中に話したり、お店が終わってからご飯に言ったり、体調を崩した人には連絡をいれたりと、とにかく内部に人間関係にも気遣いを心掛けていたそうです。

 特にバースデーイベントの時は、お店全体での動きとなるため、自分のバースデーイベント前はスタッフ1人1人に直筆でメッセージをかき、ちょっとしたプレゼントを贈ったそうです。

 お客様に対しても、一緒に働く仲間に対しても、笑顔で気遣い。これ鉄則。


3 「選ばれる」仕事術


数ある店、数あるキャバ嬢の中から、「エンリケを選ばせる」仕事術。いろいろあるのですが、汎用性の高そうなマインド面を中心に抜粋しています。

(1)場を読み、気を配る

 「今、相手はどういう状態か」「その場で、最も大切にすべきは誰か」これを読むのが大切です。

 相手は今日、プライベートで来たのか、接待できたのかはもちろん、プライベートなら、元気なのか、落ち込んでいるのか、接待なら、最も盛り上げるべきは誰かなど。聞くこともなく場を読み、適切な行動をとります。

 もし後輩を慰めるために常連が連れてきたのなら、常連以上にその後輩を大切にする。接待できたら、常連がもしいいボトルを入れていてもそれは出さずに小さく見せ、きちんと接待相手を立てる。

 何を言われずとも観察し、場を読み、お客様の大切にしたい人を大切にし、全体に気を配り、そのうえであえていつも通りの接客をする

どうやってそんな風に観察力をつけたら?と思いますが、それはやはり、たくさんの席に着いた経験から身につけるよりほかない、とエンリケは語ります。お客さんの表情からわかることは、本当に多いので、常にアンテナをはるしかない、と。そして、やっぱり「場は早く盛り上げる」これがエンリケ流。


(2)仕事はスピードが命

 連絡がすぐにとれる人は、どんな場面でも信頼されます。これはどんなビジネスマンにも共通していることで、仕事ができる人ほど返信が速いしフットワークが軽い。早く行動したほうが勝ちだし、時間を作るのも仕事のうちだとエンリケは語ります。

 そしてこれは、一流の人々と接しているエンリケだからこそ、ビジネスマンにも響くセリフでもあります。

 呼び出し音が鳴ったらなるべく早く出る……私が見る限り、仕事ができる人ほど返信が早いもの。逆に言えば、仕事ができない人ほど返信が遅いのです。
これは接客の仕事だけのことではないと思います。取引をしようと思っているA社とB社があって、A社から先に返事があれば、A社と取引をりようとだれもが思うでしょう。たとえとてもいい企画書がB社から届いたとしても、時すでに遅し。早く行動したほうが価値なのです。しっかり連絡が取れているのは、信頼関係ができている証拠。つながりにくい人より、つながりやすい人との人間関係の方が密になります。こんな小さな気配りから、仕事ができる人とできない人の差が出てくるのだと思います。

 だから、エンリケは呼ばれればすぐにお客様のもとに行くし、「明日ゴルフ行かないか」と聞かれたら、すぐ「いいですよ」と即答する。就寝中でも3時間おきに起きて携帯をチェック。

もちろん、仕事は先取りでやっておく。

謝ることもそう。謝るのは「すぐに」が基本。プライドなんて必要はない。トラブルが起きたら、できることを考えてとっさに行動することが大切です。

(3)謝ることは信頼につながる

謝るときに大切なことは、まずその人とコミュニケーションを取ることです。会っても電話をかけるのでもかまいません。まず意思を疎通させるのです。つながりがゼロな場所に、コミュニケーションは育たないのです。

1番怖いのは、その場は流すけれど、そこからぱったりつながりを断ってしまうお客様。「悪くない」は思い込みかもしれない。謝ることは楽しくないし、できれば避けたいもの。

 でも、自分に火があれば素直に謝り、コミュニケーションをつないでいれば、信頼されてきずなが深まることがあります。

(4)基本は身に着ける。崩すのはそれから。

 型破りと言われがちなエンリケですが、ものすごく体育会系で努力の人。そもそも、週7日フル出勤しているような人です。

 基本が身についているから、崩すこともできますし、崩していても基本のマナーは守っているので、いろんな場所で遊びなれているお客様や年配のお客様が見ると、「この子はきちんとした教育を受けてきているな」とわかるのではないかと思います。

 キャバクラにはマナーがあります。座るときは背もたれに背をつけないとか、足を組まないとか。膝の上に2枚ハンカチを置くとか、グラスは下の方を持つとか。あえてそれを崩している場面もあるけれど、基本をわかって押さえるのと、それを最初から身に着けずに無視するのは、別物

「型」は何事にも大切なのですね。

(5)その他こまごまテクニック

*相槌は「え~」じゃなくて「あぁ~!」…肯定的に聞こえるから

*キャバクラの席でのNG会話は、政治・宗教・家族・仕事・スポーツ

 距離を詰めるのは共通の話題や相談事


(6)当たり前のことを、当たり前にやり続ける

◎挨拶をする ◎お礼を言う ◎謝る 
◎遅刻をしない ◎無断欠勤をしない
◎身だしなみを整える ◎言葉遣いに気をつける


4 モチベーションをキープする仕事術と売れるコツ


(1)「売れたい」からすべては始まる

 売れるコツは、まず「売れたい」という気持ちを持つこと。売れたいから工夫をするし、気配りをするし、試行錯誤をする

 実際に売れるためには「数をこなす」ことが重要です。多くのお客様の席に着き、数をこなすことで仕事に慣れ、臨機応変力をつける。

 そして、仕事ができる人は仕事ができる人を好むもの。仕事ができるキャスト(キャバ嬢)になるのが、売れるコツだったりもするそうです。

 量より質、とも言いますが、数をこなして試行錯誤、というのはやはり大切ですね。

(2)自分ならではの売り方を考える

 エンリケの自分らしさとは、「その場の雰囲気をとにかく盛り上げて楽しませること

 これが「素のひょうきんな私をさらけ出す」ことであり、「ありのままの私で接客する」というエンリケスタイルに繋がるわけですが、誰もがこのスタイルがはまるわけではありません。

 どのスタイルが1番売れるのか、まず自分でいろいろ試してみること。

 自分の個性は何か?得意なものはなにか?何が売りになるか?それを考えて毎日の仕事に活かしていくと、指名され続ける人になるとおもいます。 

 

(3)気持ちや状況が落ちたら、初心に戻ってやり直す

 エンリケさんはいわゆる「エース」を作らないキャバ嬢だそうです。「エース」とは、1番のお客様で、ねぽりんはぽりんではかつて、ホストに貢ぐエースになりたい女性が特集されていたこともありました。

 かつてはエンリケもエースがいたそうなのですが、エースが「もう自分がいなくても大丈夫だね」と来店しなくなり、1位から陥落したことがあったそう。

 そのとき、最初からやり直そうと、フリー(指名なし)のお客につくという、新人と同じことを始めて指名を獲得し、以降エースは作らなくなりました。NO,1になったキャバ嬢がフリーにつくのは、プライドとしてなかなかできることではないらしい。

 ごちゃごちゃ考える前に、落ちたら最初に戻ってコツコツまたやりなおす。目の前のことに一生懸命になると、きちんと結果はついてきます。


(4)記録を付けると意識が上がる

 中学時代から日記をつけていたエンリケさんは、

・その日のポイント(指名、同伴、ボトルなど、給料に反映されるポイント)
・給料額
・お客様の名前
・降りたボトルの数
・SNSのアクセス数

などを記録している模様。書くことで意識が高まるし、今までの道のりがわかって、次にどうしていけばいいかわかるのだそうです。

これと似ているかもしれませんが、「何か1つのものをやり遂げた経験」も大きく自分の背中を押してくれます。

実はエンリケ、売れない頃に看護師の資格を取ろうとしていたらしく、21歳で通信制高校に入学しました。結局看護師への道はかなわなかったものの、レポートを書いたり、週に1回スクーリングに行ったりということを経て、4年かけて卒業できたことは、やりとげられた経験として仕事でもいい影響が出たと語ります。

健康に気を遣い、精神面も安定させるように自分にも気を遣う。

当たり前のことを当たり前にする。それがエンリケのNO.1でい続ける仕事術。


5 会うだけでパワーがもらえそうなエンリケオーラは作れるのか

本を読むと、エンリケはすごくパワフルだし、会うだけでパワーがもらえるタイプの人だろうな、と思います。

エネルギッシュで努力家で、「ひょうきん」な自分をさらすけれど、周りのことをすごく見ていて気遣い屋。なにやっても成功しそう。

いや、疲れそう。普通に疲れそう。でも、エンリケはお客さんの前で「疲れた」と「がんばって」は言わないのだそうです。


そんなのエンリケが特別だから……と思ってしまうと、この本もこの記事もまるで意味がなくなってしまうので、エンリケが語る「オーラの作り方」を最後に紹介します。

1 姿勢を正しくすること
2 自分に自信を持つこと
3 いい人と出会うこと

 「いい人」=なんでも前向きに考える人  

 そして、いつも笑顔でいること。


ちなみに「自信を持つのがしんどいんだよ!」という方には、

この記事で、「折れない自信の持ち方」についてまとめています。心屋仁之助さんの著作をまとめていますので、なにかの助けになれば幸いです。




よろしければサポートお願いします!いただいたサポートは、誰かに「らびゅ~♡」で還元します。人間的におもしろくなりたい。Twitterもやってます。