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【屋根の上に吹く風は】時々冷たく、時々心地いい。


映画「屋根の上に吹く風は」を観た感想を書こうと思います。

監督の浅田さかえさんより、AKIU SCHOLĒ のHP経由で直接メッセージを頂き、この映画を知ることが出来ました。


たった1週間の上映期間、そして、1日1回の上映です。

ちょうどこの前までやっていた「夢みる小学校」も、上映期間は1週間でしたが、こちらは1日、午前と夕方の2回の上映がありましたから、今回の映画はもっと狭き門!なんて感じていました。

上映は今週の木曜日まで、そして、11:30~の回のみです。

新田サドベリースクールの1年間に密着した映画、「屋根の上に吹く風は」のHPには、尊敬する養老孟司先生の推薦コメントが掲載されています。

先日のブログでも掲載しましたが、

淡々と記録される学校の日常には、見ていて多少イライラする場面もあるが、それはこちらが効率性、合理性、経済性を重視する現代社会に毒された大人だから。

教育は内容ではなく形式である。
中身ではなく器だといってもいい。

どれだけ本気で先生が話しているか、
それを子どもは見ていて、話の中身は二の次である。

背景に映される風景も美しく、子どもたちが成人したのちに、
心のうちに帰るべき故郷が生じているだろうことを感じさせる。

https://www.yane-ue.com/recommend/

とコメントが寄せられています。




ドキュメンタリー映画で、120分の尺です。比較ではありませんが、「夢みる小学校」は90分程。
中には、子どもたちの姿だけでなく、茂木先生や、尾木ママこと尾木先生からのコメントシーンも盛り込まれていました。


それに対して、120分、本当に、新田サドベリースクールの子どもたちの日常のみを映したこの映画は、子どもたちに対して向き合う大人の葛藤や、悔しくて泣いてしまう子どもの姿や、“退屈”に向き合う姿、周りの目、自らの進路に向き合うこと、・・・
淡々と記録されているけれど、私は改めて、「サドベリースクール」の存在を道しるべに、現場を飛び出したことを思い出しました。


教育は決して、キラキラしたことだけではなく、苦しいことも、見たくないものも、恥ずかしい悔しいもある、それって当然だなと思っています。

だから、他でもない、「デモクラティックスクール」に心震えて、日本中を回ったんだと、思わされました。


夢みる小学校」が、公教育のロールモデルなら、
デモクラティックスクールは、ゼロベース教育のロールモデルです。
全てを失っても、立ち上がれる教育です。


何もないところから、子どもたちと一緒に、何が自分の人生なのかな、を、生きることを通して学び取っていく、まさに、内容ではなく、器なんだと思います。

そういう意味では、映画の中で、スタッフの方の1人が言った
「こんなのサドベリーじゃない!」
というのもまた、違うんだろうな、なんて感じながら観ていました。

スタッフだって間違うし、子どもたちに教わったり、気付かされたり、反省して、次の道へ進もうとする、デモクラティックスクールで行われる、「スタッフ選挙」は、色んな事を大人に対して投げかけてくるものだなと感じました。

子どもは“自然”。合理性や理屈ではどうにもならないことがあることを、大人に教えてくれる存在です。



デモクラティックスクールは私にとって、動き出す力をくれた学校の在り方です。
実際に、日本のデモクラティックスクールを見てきたからこそ、そこに居るスタッフの方々と話してきたからこそ、別な場所でも、デモクラティックスクールの楽しさ、厳しさ、それが映像にしっかり詰まっていて、

120分の淡々とした日常ですが、
だからこそ、おススメと感じる映画でした。


そういえば、養老先生がいつかのYouTubeで、

自由な学びのフリースクールみたいなところに行ったことがあって、そこに居た中学生の子が「もういいかな、って。人生。」って言っているのを聞いて、ドキッとしましたね。

https://www.youtube.com/c/%E5%85%AC%E5%BC%8F-%E9%A4%8A%E8%80%81%E5%AD%9F%E5%8F%B8

みたいなことを言っていました。これを観た時、多分どこかのサドベリーかな、と思っていたのですが、きっと新田サドベリースクールのことだったんだと思います。

映像の中に、あれ、これかな?というシーンがありました。

「もう13年も生きたんだよ、もう十分だよ」

って、中学生の子がつぶやくシーンがありました。


ネタバレになるのでこれ以上言いませんが、その言葉も、その言葉の裏には彼なりのたくさんの悔しさや悩みがあって、エンディングで出てきた彼の姿に、私はとても感動でした。


養老先生以外にも、推薦コメントが寄せられていますが、認定NPOフリースペースたまりばの西野さんからは、

答えのない問いが続き、モヤモヤも生まれる。でも、ここが大事。
隣にいる人といっぱい語り合いたくなるいい映画ができた。

https://www.yane-ue.com/recommend/

  というコメント。そうです、モヤモヤってすごく大事です。自分の心で感じて、自分で考えている証拠だと思います。

詩人の谷川俊太郎さんからは、

入学して卒業するものではなく、学校は大人と子どものあいだに日々「生まれる」ものだということを私も学びました

https://www.yane-ue.com/recommend/

というコメント。学校は、大人と子どもの間に日々「生まれる」もの。

今の日本では、学校と呼ばれる建物は日本中にあっても、大人と子どもの間に生まれる「学校」が、少なくなっているんだと思います。


そして、キャスターの安藤優子さんの推薦コメント。

「自由ってむずかしい。」
そう言ってこの学校からあらたな一歩を踏み出していった男の子の言葉に、このドキュメンタリーのすべてがギュッとつまっている。

昭和のど真ん中の教育を受けた者として、最初はハラハラ、ひやひやでこの学びの場の日常を見ていました。

でも、自分で考える、行動する、責任を引き受ける、そんな学びの場があることに、正直うらやましいとさえ、感じました。

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自由って、楽かもしれないけど、難しい、そんな言葉を、小学生の男の子が口にしています。

是非映画を観て頂きたいのですが、この子への、親御さんの姿勢もまた、
この言葉を生み出してたんだと感じました。


https://www.forum-movie.net/sendai/movie/3876



実は、1人1票とか、遊びの中から学ぶとか、
夢みる小学校」、つまり「きのくに子どもの村学園」とも似ているところがあるサドベリースクール。


きのくにのモデルは、イギリスのサマーヒルスクールというオルタナティブスクールです。このブログ(アメブロ)でも何度か出てきていますが、きのくにの学園長の堀さんは、サマーヒルのニイルさんとも交流があるそうです。

今回、「夢みる小学校」で出てきた言葉と、「屋根の上に吹く風は」で出てきた言葉では、一見、相反するものがあったと思います。



「学校は、とにかく楽しいだけでいい。」

と言った、南アルプス子どもの村小中学校の、加藤校長先生


「最初は楽しいけど、最近はずっと退屈!」

「自由は楽だけど、難しい。」

と言った、サドベリースクールの子どもたち。



どちらも、

素敵だと思っています。


色々とありますが、
子どもたちの事実がそこにあるかどうか、
これに尽きます。



映画「屋根の上に吹く風は」は、明日までの上映です。是非、淡々と記録されたサドベリースクールの日常、遠くに足を運ばずとも感じられる、
“良いことばっかりじゃない、”
そんなサドベリースクールの姿を、観て欲しいなと思います。


ということで、最後に。

AKIU SCHOLĒ は、サドベリースクールでも、サマーヒルでもない、
仙台の秋保町にある、日本のオルタナティブスクールです。




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