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オーストラリア・俳句シンポジウム その2

金森マユの報告 2

"Haiku and Australia - borderless, but placeless?" 『俳句とオーストラリア ー 境界を越える、でも、場所は?』がオーストラリア学会第35回全国研究大会での豪日交流基金(AJF) 助成シンポジウムの一環として6月15日、松山大学の樋又キャンパスでに行われた。

金森マユのオーストラリア俳句・報告2 では、オーストラリア俳句協会副会長、俳人ロブ・スコット氏の 『オーストラリア俳句は』の一部を自分自身があらためて日本語で学ぶために報告エッセイとしてまとめみた。前回の金森マユのオーストラリア俳句・報告1ではメルボルン大学所属、俳句研究者、作家のグラント・コールドウェル先生のお話から学んでいる。


オーストラリア俳句は

ロブ・スコット氏の報告はオーストラリにおいての俳句の歴史を三段階に分けられた。

1。模倣時期 (1970年代初期まで)
オーストラリア人は全般的に俳句がなんであるかを知らず、とりあえず日本の俳句の真似をしていた段階。日本の古典俳句の翻訳を模倣。季語や音節数などの誤解が多かった。

2。発見前(1990年代まで)
オーストラリア人はまだ俳句とはなんであるかを知らないが徐々に俳句像を見出しつつあった段階。ここでは  2人の重要人物があげられた。まずは物議を醸した翻訳家ハロルド・スチュワート(Harold Stewart)の2行韻文連句が酷評されたこと。そして地元の詩人/教育者であり、地元の視点から俳句の可能性についてオーストラリアの詩人たちに多くのことを教えたジャニス・ボストック(Janice Bostok)のこと。

3。発見 (現在)
とりあえず、俳句を楽しみ、俳句を詠むことが出来るようになれば、多分、俳句がなんであるかわかるだろうと思う段階。世界的俳句ムーブメントと共に歩んでいる。俳句と川柳の教会が消失し、季語の解釈がオーストラリア特有の「キーワード」として進展している。

現在は表現の自由度が高まっており、季語の使用や写生としての俳句などのルールには程よい距離をとり、多様な試みがある。なかでも、オーストラリア特有の言い回し、先住民の言語、地域の動物相や名所などがオーストラリアの「キーワード」として関心が高まっていると報告された。

スコット氏の修士号研究論文はこちらから
The History of Australian Haiku and the Emergence of a Local Accent
https://www.thehaikufoundation.org/omeka/items/show/1967

オーストラリア俳句のアンソロジー
Under the Same Moon: Fourth Australian Haiku Anthology
スコット氏、Lyn Reeves, Vanessa Proctor編集
はこちらから

スコット氏の句集:

Down to the Wire, footy haiku (2016)
はこちら
https://redmoonpress.com/product/strongidown-to-the-wireistrong-footy-haiku-by-rob-scott/

Out of Nowhere, haiku and senryu (2016)
はこちら 
https://redmoonpress.com/product/strongiout-of-nowhereistrong-haiku-and-senryu-by-rob-scott/



  • 写真はロブ・スコット氏

  • このレポートはロブ・スコット氏から確認を頂いております。

  • #AJFGrants


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