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【用語解説】PET/CT患者の不安軽減のための介入措置

こちらでは、CHD Journalの文献に登場する専門用語を解説していきたいと思います!

1.Uptake Room(和:安静室、待機室)

点滴や検査を行う患者が休憩するための部屋
(※1室で薬剤投与と安静の両方の役割がある。本文では合わせて “uptake room”と表現。)

2.18F-FDG(和:フルオロデオキシグルコース)

「フルオロデオキシグルコース」の略称。1976年に開発された、放射性医薬品のひとつ。18F-FDGを投与した後にPETスキャンを行うと、体内の18F-FDG分布を表した二次元、または三次元の画像を得られる。がん検査の際には、がんに取り込まれ易いFDGの体内分布からがん細胞を「集積像」として映し出す。検査後は、腎臓、尿管、膀胱を経由して尿と一緒に対外に排泄される。


3.Positron Emission Tomography; PET(和:陽電子放出断層撮影)

細胞の活動状況を画像で診断する技術。FDGから放出される微量の放射線をPETカメラでとらえる。がんや、脳・心臓の疾患を診断する際に用いられる。


4.False-positive Uptake(和:偽陽性集積)

PET検査で体内でFDGを取り込む際、細胞密度、細胞の分裂速度、組織の活動程度、腫瘍の大きさなどが診断結果に影響。この時、悪性腫瘍を正常・良性疾患と判断してしまう「偽陰性」、または正常・良性疾患を、悪性腫瘍と判断してしまう「偽陽性」の結果が出てしまうケースがある。
偽陽性になりやすい疾患に、急性炎症、大腸ポリープ、子宮筋腫など。
(※本文では、褐色脂肪が偽陽性の要因に取り上げてられている。)


5.Biomaker(和:バイオマーカー、生物指標化合物)

血圧、心拍数、血液検査の結果など、疾患の有無や進行状態を示す目安となる指標。「薬理学的に濃度反応を確認できる」、「客観的に評価できる項目や物質(タンパク質など)がある」という条件がある。
「イメージングマーカー」(CT、MRIの検査結果)、「分子バイオマーカー」(血液中物質)、「腫瘍マーカー」など、指標となる物質によって呼び分けられる。


6.Brown Fat Cells; BAT(和:褐色脂肪細胞)

脂肪を分解し熱を産生することで、体温を調節する細胞。寒い環境で交感神経の活動が高まると活性化する。
褐色脂肪細胞の機能が低下したり、数が減少すると、生活習慣病やメタボリックシンドロームを引き起こすリスクが増すと言われている。


7.Nonpharmacologic Intervention(和:非薬理学的介入)

薬剤を使わないケアのアプローチ。音楽/照明などの環境、芸術活動や動物など、医療の他の側面に重点を置く。


8.State-Trait Anxiety Inventory; STAI(和:特定不安検査)

患者の不安状態を測定できる心理検査。1970年、Spielberger,C.Dによる「不安の特性・状態モデル」に基づいて作成された。
(※本文では、「薬剤注入/安静時間前後に8項目のSTAIアンケート調査を実施」とある。)


9.Skin Conductance(和:皮膚コンダクタンス)

「コンダクタンス」とは、回路における電流の流れやすさのこと。人体において、汗の量が増えると電気流量も増大する。人の汗腺は交感神経系によって制御されているため、皮膚コンダクタンスを心理的・生理的覚醒の指標とするケースがある。


10.Salivary Cortisol(和:唾液コルチゾール)

「コルチゾール」はストレスによって分泌が亢進されるホルモンの一種。分泌量が多いと、血圧や血糖レベルを高め、免疫機能の低下などをもたらす。検査では、唾液中のコルチゾールの分泌量を測定する。


11.Cohort(和:コホート)

共通した因子をもつ集団。人口学では同年に出生した集団を指し、疫学では母集団を指すことが多い。


12.Be Analyzed Retrospectively(和:遡及的に分析される)        →Retrospective Analysis(和:遡及分析)

問題やトラブルの原因を追究する方法のひとつ。「原因は何か?」「その原因の原因は何か?」…と、系統的図式を描きながら、結果と原因の関係を逆算しながら追究するアプローチ。


13.Masking(和:(試験の)マスキング;遮蔽化)

診察・評価の結果から主観に基づく偏り(バイアス)を取り除くこと。


14.Confounding Factors(和:交絡因子)

調査の対象となる因子以外で、病気の発生に影響を及ぼす因子。
例に、喫煙と脳梗塞の関連性を調査する場合に、飲酒や遺伝など、喫煙以外の因子が影響を与えているケース。


今回は統計の話なども登場し、かなり専門性の高い内容でした。原文はより詳細に実験内容が書かれています。よろしければ、ぜひご覧ください!

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