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GOOD WAR 8.より速く、より高く、より強く

チラシができました。オレンジ。
朗くんはチラシに合わせてオレンジのニットを着てきていた。かわいい。

稽古開始、「よい争い」とは? について。
「その人たちの主観でしかない」、「GOODという単語とWARという単語が合わさることに違和感がある」、「GOOD/BADが主観でしかない限り、『GOOD WAR』というタイトルで作品を上演する以上、それが「共感を求める」ものであるとおかしいと思う」など意見が出る。
良い悪いで言うと、わたしは争いについてあまり「悪い」とは思っていないのだと思い知らされる。「WAR」を狭義の戦争のみと捉えるのなら「いやだな」とは思うが。
朗くんが「戦争というもの自体にはいいも悪いもないと思っている」と言う。わたしもそう思う。
「(インタビューで)色々話を聞いてみて、当人はグッドだと思っていても僕にとってはグッドと思えなくて、だから僕はグッドなウォーはないなと現状思っている。だからこそ、今回作品としてはグッドなウォーを作りたいなと思っている」とのこと。

わたしは「GOOD WAR」というタイトルがとても気に入っているのだが、二つの良いなと思うところがある。
まずはその言葉そのもの、「よい」「戦争」。これはわたしは自分の人生をよい戦争にしたいなと思っているから。
もう一つは「GOOD LUCKになんか似てる」ところ。
戦いというもの、少なくなく、当人にとっては切実なものだが他人にとってはどうでも良いことであるという側面があるように思う。
グッドラックという言葉に秘められる、祈りとしての側面と、翻っての無責任さがいいなと思っている。
わたしにとってのGOOD WARはわたしだけのGOOD WARで、同時に、朗くんが言ったように、他人にとってはBADであるということはままあるだろう。
そう考えていて、GOOD WARとはつまり人生のことではないかと思った。
人生に良いも悪いもないけど、それでもいいものにするためには戦い続けなければならないとわたしは思っている。
だからわたしは戦う人を肯定するし、その戦いがわたし(他人)にとってBADであっても、相手(本人)がGOODと言うのならその戦いを肯定したい。
というか、みんな戦ってるでしょ!? と思っている。そう思っているから、その戦いを肯定したい、と思っている気がする。戦わずに生きてゆける人がどれほどいるだろう。

話題は変わり、「第三次世界大戦はいつ起こると思うか?」。「いつ」とはずいぶん具体的だ。
諸江さん「2025年。(この状況が続くと)国の補償破綻が起こるのではないか。戦争の形がどういう形を取るのか、物理的な戦いになるかもしれないが、国を買うとか、合併とか、そういうことも起こってくるのではないか。今がその種火な気がする」
伊奈さん「2022年。諸江さんに同意」

続いて、「オリンピックはこのまま来年日本でやると思いますか?」。
「経済の仕組みが同じ限りは同じように金を動かす手段として続く気がする」と伊奈さん。
オリンピックのモットー「より速く、より高く、より強く(Citius-Altius-Fortius)」は、まさに争いの原理に思える。

その後、いくつかシーンを作り、今度はそのシーンの中の登場人物を考える。
学芸員、警備員、美術好きな人、という言葉の中に、フェイスさん、という言葉が聞こえてきて、えっそれは何、となった。

朗くんが、「今、あなたは『何の人』ですか?」と聞いている。
伊奈さん「ドラマーって言われる」「でもドラマーという言葉に囚われる気がない人」
しかし伊奈さん、なんだか座りが悪そうで、朗くんに「これは?」「じゃあこれは?」と何を言われても「そうは思わないけど」と言う。
諸江さん「時の人かな。よく俺の話を周りから聞くから。時の人になる前はUBERの人、運ぶ人だった」
綾子さん「主人公。でも客観的に見たらその他大勢」
わたしは「記録する人」「見ている人」だなと思った。

次、「あなたは戦場では何をやってる人、どういう役割だと思いますか?」
残さん「希望で言えば参謀、だけど実際は歩兵だと思う」
伊奈さん「希望は、家にいて関係ない、と横目で見てる人」「現実は、『出勤』する人」
諸江さん「理想は戦場カメラマン。現実は、家財を持って逃げている人」
綾子さん「決して人殺しをしたいわけじゃないけど、思い浮かんだのはスナイパー。現実は、すごい早く死ぬと思う。諦めちゃうと思う」
わたしは理想が「守られる人」、現実は「諦めた人」かなと考える。違うかもしれない。

GOOD WAR、2020年最後の全体稽古、これにて終了。
みなさまよいお年を!

以上。

出席:河井、伊奈、諸江、山下、渡辺、田中
日時:2020年12月23日 18:00〜21:00
場所:京都府立文化芸術会館

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ルサンチカ 『GOOD WAR』

 「GOOD WAR」には、私たちが「戦争」と聞いて想像する争いと、社会に実際に存在する争いの両方が含まれています。争いに勝った人、争うことをやめた人、これから争う人、争いから逃げる人が剣闘士として登場し、「よい争い」と「わるい争い」の区別がないことを実感しながらも、自分(や自分の周囲)の生活のために争いを行います。
 私たちは生きている限り、これからも誰か(または環境)と戦い続けなければいけません。現時点で戦っていなくても、生きている限りいずれ争いに巻き込まれます。『GOOD WAR』ではそのいずれ行われる争いと、過去にあった争いとの向き合い方を鑑賞者と共に考えるべく演劇作品を上演します。

日時:
2021年2月5日(金)、2月6日(土)
2月5日(金) 19:00
2月6日(土) 11:00/15:00

会場:京都府立文化芸術会館

チケット(発売中)
一般 予約:2,500円 当日:3,000円
U30 予約:2,000円 当日:2,500円
高校生以下:500円
※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)は無料
発売方法:パスマーケット、当日販売のみ

チケット取り扱い:
オンラインチケット(パスマーケット)→https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/012t5m11b5x68.html#detail

構成・演出:河井朗
ドラマトゥルク:田中愛美
出演:伊奈昌宏、諸江翔大朗、山下残、渡辺綾子
美術:辻梨絵子
音響・照明・舞台監督:京都府立文化芸術会館
制作:沢大洋
企画・製作:ルサンチカ
協力:古川雄大、台風クラブ、ARCHIVES PAY
主催:京都府、指定管理者 創、Kyoto演劇フェスティバル実行委員会、ルサンチカ
助成:公益財団法人全国税理士共栄会文化財団、公益財団法人パブリックソース財団、京都府文化活動継続支援補助金

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