見出し画像

PIPE DREAM(2019) 22.夢物語

ここ京都府立文化芸術会館に初めて訪れた日、劇場では人形劇の公演が行われていて、あたりいっぱいに子どものにおいが充満していたことを思い出した。
会館最寄りのコンビニである府立医大病院敷地内のコンビニはいつも病院独特のにおいがして、実はすこし苦手だと思っている。わたしは今どんなにおいを放っているのだろう。

誰しもにいつか必ず訪れるサムシング。それが死。
りんごが木から落ちるように、川の流れが止まらないように、このくにではみなすべからく抗いようのない死を迎える、らしい。とってもドラマチックだな。

今日ここまでの道すがら、寺から、いかにも親戚一同、みたいな喪服の面子が出てくるのを見た。
久しぶりに乗った土曜昼間の阪急電車は人がたくさんいて化粧品の匂いがした。

死はその人自身のものなのか、あるいは周囲のものなのだろうか。
ともかく、死について考えるわたしたちは生きている。


ルサンチカ『PIPE DREAM(2019)』、京都府立文化芸術会館での公演を終えました。

受付席に座りながら冒頭の当日パンフレットのための文章を書いた。
朝からずっとじりじりとしていて、舞台って、本番ってこんな感じだった、と思い出す。お手伝いのおばさまがフレンドリーなかたで、たびたび話しかけてくれたので緊張がほぐれた。なんでわたしが緊張しているんだろうな。
誰かを舞台上に送るとき、いつも祈るような気持ちでいる。もう自分にできることは何もないんだよなって。

「大丈夫?」と何度も聞くが、河井朗はそのたびに「大丈夫」と言う。何時ごろだったか、あるとき、「走ってくる」と言って河井朗がいなくなった。それから本番1時間前くらいまで姿を見かけなかった。


本番を終えると、河井朗はたくさんの人に囲まれていた。それを横目に見ながら片付けを進めた。

今までで一番よかったんじゃない。帰りのバスの中でそう言うと、河井朗は「当たり前やろ」と言った。静かになったと思ったら、目を瞑って眠っているようだった。お疲れさま。

軽く飲んで早めに解散。この作品にはまだもう少し先がある。
でもとりあえず、これで一段落。明日には閉会式を終え、あさってからまた稽古がはじまる。


次の公演は2月26日、27日。人間座スタジオにて。今回のPIPE DREAM(2019)をリクリエーションし、C.T.T.(Contemporary Theater Training)という試演企画に参加します。演出もまた違ったものになるはず。ご興味のある方はぜひ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?