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GOOD WAR 5.青春の可能性が高い


稽古前、朗くんとふたり、企画の最初に立ち戻って考えてみる。いったいなにがしたくて、なにをすべきなのか。

「私たちは(今ここでは)声を上げられないけど生きている」ということについて考える。
朗くんは「戦争をしたくない」らしい。その「戦争をしたくなさ」は、イコール運の悪さで死にたくないということらしい。友人知人が招集されたら嫌だとも言っていたな。
SO LONG GOODBYEをやって、「俺たちは商品だ」「飼い慣らされている」と思い知った。俺一人の力では戦争を止めることはできない(と思っている)。

「なんで戦っているのか」「なんで戦わされているのか」が気になる。
「何の当事者であるか」が重要。そうだな。わたしもそう思います。

モニュメントは「その時まではその人はいた」という証明=情報(には違いない)。

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クレジットやエンドロールの話をしていて、そうか、クレジットは証明なのだなと思った。
映画のエンドロールって、なぜだか一つの生の終わりみたいな感じがする。お葬式っぽい儀式感もあり。

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「今回の公演(モニュメント)を使って、お客さんに何を共有するのか」それが重要。
「今、俺たちの周り」で何が起きていて、何と戦っているのか。それを(インタビューの中から)拾っていく必要がある。

わたしは戦う人に幸あれと思っているんだなと気付いた。
戦いを避けて生きていくな、戦って生きてゆけと心のどこかで思っている。

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デーヴ・グロスマン、ローレン・W・クリステンセン著『戦争の心理学』をぱらぱらとめくっていると(まだ読んでいない)、巻末に「エラスムスの二二の原則 危険な世界にあって強くあるため、また義を守る人であるために」という文章が付録されていた。
これは、争いというか、戦いについての本なのではないかという予感がある。一人一人の戦い。争いというのは団体戦に思えるな。
朗くんはこの作品において「争い」と「戦い(あるいは闘い)」は同じです(同じ意味で使います?)、と言い切っているが、わたしにはどうにも違うもののように思えてならないのだった。

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朗くんの「今日という日はいかがですか?」の言葉から稽古開始。
各々今日一日の出来事や感じたことを話してゆく。

インタビューの文字起こし原稿を読んで「どの辺が印象に残ってる?」。
立って読んだり、そばに人間を配置したりして発語してみる。

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次は、昨日のゲームの実践。
「京都市役所を中京区から移転させます。誘致先についての投票会です。」
伊奈さん、諸江さん、残さんがそれぞれ南区、下京区、北区の代表として登壇し、プレゼンし合う。
投票者は朗くん、綾子さん、わたし。
中間投票を経て、もう一度プレゼンを挟み、最終投票という流れ。
下京区の諸江さん。交通の弁のよさをアピール。確かになと思う。
南区の伊奈さん。交通の弁も悪くなく、高速道路が走っていることをアピール。市民にとって高速道路はあまり関係がないのではないか。同じように交通の弁をアピールした下京区に比べて土地が空いていることをアピール。それはいいかも。
中間投票では各区一票ずつとなり、簡単な質疑応答タイムを挟んで二度目のプレゼン、投票へ。
結局諸江さんが代表した下京区に移転作は決定した。
綾子さんは残さんの北区に投票しており、「みんながガツガツやってる中、残さんの”ウィズコロナ”と言う言葉がスッと入ってきた」とのこと。わたしも残さんの「北区のクリーンエアー」という言葉は印象に残っています。
なかなか面白いゲームだった。戦略が重要。

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続いて、死の証明/存在証明について。
「死の証明」って、死んでいませんよ、の証明? 逆に、死んでいますよ、の証明? と混乱する。
「死んでいる人に対して自分(私)が生きていることを証明する/自分(私)が死んでいることを生きている相手に証明する」これってすごく難しそうだ。
存在証明ってよく聞くが、具体的にはどう言うことなのだろう。そりゃ人によって違うんだろうが、体系化するとどういうものになるのか。
「危ないことをする?」 ヤンキーみたいだな。しかしなるほどヤンキーの行為は存在証明かもしれないと思う。
証明は人に見てもらうことが重要。注目を集めること。音を鳴らす、声をあげる、屯する、自傷する、など。なるほど。
残さんの存在証明といえば、「胸元に手を持っていって鼓動を確認させる」。確かに。シンプルだけどそうだなと思う。その発想はなかった。

最後に、伊奈さんの「あの日」についての話。
死の匂い、夏、蒸した日。伊奈さんは足元がふわふわしている。

稽古終了。
WEBに乗っている文章を読み直していたら、戦いてのは、生活のための戦士というか、職業戦士というか、そういうのもあるよなと思った。

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残さんと朗くんの写真を撮り忘れてしまった!
というか、実は今のところ毎日「写真は?」って聞かれるくらいには忘れがちなのだった。以上。


出席:河井、伊奈、諸江、山下、渡辺、古川、田中
日時:12月16日(水)18:00〜21:00
場所:京都市立文化芸術会館

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ルサンチカ 『GOOD WAR』

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 「GOOD WAR」には、私たちが「戦争」と聞いて想像する争いと、社会に実際に存在する争いの両方が含まれています。争いに勝った人、争うことをやめた人、これから争う人、争いから逃げる人が剣闘士として登場し、「よい争い」と「わるい争い」の区別がないことを実感しながらも、自分(や自分の周囲)の生活のために争いを行います。
 私たちは生きている限り、これからも誰か(または環境)と戦い続けなければいけません。現時点で戦っていなくても、生きている限りいずれ争いに巻き込まれます。『GOOD WAR』ではそのいずれ行われる争いと、過去にあった争いとの向き合い方を鑑賞者と共に考えるべく演劇作品を上演します。

日時:
2021年2月5日(金)、2月6日(土)
2月5日(金) 19:00
2月6日(土) 11:00/15:00

会場:京都府立文化芸術会館

チケット(発売中)
一般 予約:2,500円 当日:3,000円
U30 予約:2,000円 当日:2,500円
高校生以下:500円
※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)は無料
発売方法:パスマーケット、当日販売のみ

チケット取り扱い:
オンラインチケット(パスマーケット)→https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/012t5m11b5x68.html#detail

構成・演出:河井朗
ドラマトゥルク:田中愛美
出演:伊奈昌宏、諸江翔大朗、山下残、渡辺綾子
美術:辻梨絵子
音響・照明・舞台監督:京都府立文化芸術会館
制作:沢大洋
企画・製作:ルサンチカ
協力:古川雄大、台風クラブ、ARCHIVES PAY
主催:京都府、指定管理者 創、Kyoto演劇フェスティバル実行委員会、ルサンチカ
助成:公益財団法人全国税理士共栄会文化財団、公益財団法人パブリックソース財団、京都府文化活動継続支援補助金


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