ただ名前を呼んでくれさえしたら。
ばっちりメイクよりこのままが可愛いと君が言ったすっぴんの私が、鏡の前で不機嫌な顔をしている。その上寝起きで浮腫んでいる。とてもじゃないけど可愛くない。どうせ誰も見てないし、今日はどこにも行かないんだし、このまますっぴんでいいかともう一度鏡を見る。ううん、でも、私が見てる。そう思い直して棚の上のメイクボックスを取り出し、ごとりと置いた。誰も見てなくても、君がいくらすっぴんの方が好きだと言っても、私はそうは思えないしふと鏡や窓ガラスに映った自分を可愛いと思いたい。まつ毛をしっかり