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私の英語多読遍歴164:The Fault in Our Stars

たくさんの人が絶賛していて、ページも少ないのですぐ読めるかなと。

ガンが肺に転移し酸素が手放せない16歳のHazel。骨肉腫で片足を切断した17歳のAugustus。自分の病気や死のせいで誰かを傷つけたくないと人と深く関わることを拒むHazelの心を少しずつ開いていくAugustus。お互いを知るほどに惹かれ合う二人だったが…

あらすじからしてもう悲しい結末が見えているような話なのですが、ただティーンエイジャーが出会って恋をして悲しい別れ…というよくあるケータイ小説的な話ではなく、そこに死生観だとか生きる意味ってなんだとかそういった哲学的な問いがあったりします。

ストーリーで重要になるのがHazelが大事にしている小説で、主人公はガンを患う少女、そして小説は語り手である少女が突然語りをやめてしまうことで終わるというなんとも衝撃的な作品です。この登場人物たちはその後どうなったのか、それを知りたくてHazelは著者に手紙を送るのですが、返信はありません。

二人は病気を背負っていても、そこはティーンエイジャーです。Hazelはテレビの「America's Next Top Model」を見るのが楽しみの一つだし、Augustusはゲームに夢中の普通の男子高校生で、二人の会話もとてもティーンらしいものです。しかしお互いに病気を持つ者同士、例えば「学校に行っているか、いないか」でどのくらい病状が深刻かを本人に聞かずとも推測できたり、そこここに病気の影が見え隠れしていて、ユーモアがありつつもシビアな状況を感じます。

死はとても身近にあって、将来を思い描くことができないという辛さ。それでも自分のために誰かが苦しみ傷つくのはごめんだとなんともないふりをし、「16歳で死ぬのは最悪だけどもっと悪いのは16歳で死ぬ子供を持つこと」と両親を思うHazel。

二人がある目的のために無理を通して旅した先はオランダのアムステルダムで、目に映るものすべてがきらきらとしていて美しく、ああそうだよね本当に美しい街だよねと、自分の記憶にも重ね合わせていっそう描写を楽しむことができました。自転車で通り過ぎる人々、オランダ語のrやgの響き、アメリカ人であるHazelから見たオランダの印象というのも面白かったです。

たった100ページほどと短い話なのですが、線香花火の最後の火花のように、儚くも美しい、駆け抜ける命の話でした。若い世代にヒットしたようですが、大人が読んでも十分に良い泣ける本だと思います。

以上「The Fault in Our Stars」でした。

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