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私の英語多読遍歴143:Klara and the Sun

「Never Let Me Go」で衝撃を受け、出版時から気になっていた本。値段が少し下がったので。

クララはAFと呼ばれる人工知能を持つロボット。子供の友達となるために作られた彼らはさまざまなことを学習し、またある程度の感情も持っている。ジョージィという少女に選ばれ共に暮らすことになったクララは人間の身勝手さに翻弄されつつも純粋な気持ちを持ち続けジョージィに尽くす。

不思議な感じのする作品です。(単に読みきれていないだけという可能性もありますが)細かい説明、AFがどうして作られたのかとか、そもそもどういう世界なんだとか、そこらへんがクリアに説明されることはなく、そういうもんだという前提で話がどんどん進んでいきます。

人工知能であるクララの視点で解釈された世界が語られるのですが、その少し人とずれた感じというのが絶妙。おそらく太陽光がエネルギー源だからか、”おひさま”に対する信仰のようなものをもっています。それは彼女が観察し学んだ結果得たものなのですが、それがどういう意味を持つのか、わかるようでわかりません。ただピュアなクララの目から見た世界は美しく、人間はときに理解不能な行動を起こしますが、それもすべて受け入れていくのがこう…切ないというか悲しいというか。

暗示的な表現が多く、想像で補っている部分も結構多いので人によって解釈が変わるかもしれません。SFといえばSFなんでしょうが、叙情的というか余韻がずっと残るような、それから人にどうも説明しにくい、そんな本でした。

英文は難しくはないと思います。ただ前述したぼんやりした世界観のせいで意味がよくわからないところはあったかも。

オーディオブックはナレーターの声がとてもよくて、クララの少しだけ平坦なロボットライクな喋り方、その他のキャラクターの使い分けも見事でした。発音がとてもきれいだった(アクセントがないというかすごくニュートラル)ので、途中真似するべくシャドウイングなどもしてみたり。

カズオ・イシグロの書くストーリーは静かな世界の中にどうしようもない諦めや哀しみがあるよう印象があります。読んでてしんみりしてしまうんですが、その切ない余韻も含めてきらいじゃない。また機会があれば他の本も読んでみたいと思います。

以上「Klara and the Sun」でした。

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