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私の英語多読遍歴165:The Hundred Secret Senses
こちらのnoteで紹介されていたのを見てから気になっていた本。
Oliviaはアメリカ人だが父親は中国からの移民だった。そしてその父には祖国に残してきた娘がいた。父の死後中国からやってきた”姉”Kwanは、死者が見え、その声が聞けるという。エキセントリックな言動でOliviaを悩ますKwanだったが、Kwanはどんなに酷いことをされてもOliviaに無償の愛を注ぎ続けた。Kwanが語るのは中国での暮らし、そして自分の前世だという少女の話。Oliviaはただの昔話ととりあっていなかったが…
邦訳タイトルは「私は生まれる見知らぬ大地に」とこれまた印象的です。ストーリーはアメリカ人のOliviaの視点から見るKwanや彼女の故郷中国と、中国人であるKwanが語る昔話の2層になっています。
Kwanが語る物語は昔の中国のある村で、宣教師たちの世話をしていた少女の話。200年以上前なのに、Kwanはそれは自分であるといいます。前世を語り、また自分の(今世の)少女時代の話も混ざり、またそれに死者の世界についての話も出てきてだんだんと夢の中のような不思議なファンタジー感が醸されていきます。
またその物語がすごく面白くて、アメリカ人目線から見る中国のエキゾチック具合なども相まって読んでいるこちらまで引き込まれるようでした。
それとは別に現実でのOlivia夫婦の不仲だとかもあるのですが、それが最終的に色々つながってこの結末になるのか!という驚き。お節介でぐいぐいくるKwanをOlivia同様最初はちょっと鬱陶しいなと思っていたのですが、その愛情がどこからくるのかがわかったときぐっときました。時空を超えた愛とでもいうのか、いろいろ超越した想いみたいなものがいきなり壮大なスケールで展開するとでもいいましょうか。
昔話を聞いているうちに気づいたらその中にいたよ!みたいな話です。ファンタジー味もあって、中国の風景に妙な懐かしさを覚えたりもして、アジアと西洋の感覚の違いは大きいというのをこんなところで再認識したりもしました。
ページ数はそこそこありますが、行間が結構多いので見た目よりは語数は少なめかと思います。文中でKwanが話す片言英語は、このくらいでも通じるという目安、そしてそれが周りにどういう印象を与えるかなどいろんな意味で参考になります。(逆にOliviaが話す中国語に対しKwanが「英語みたいな中国語だからね〜」と揶揄する場面があり、立場が逆転するのが面白いなと思いました)その他の英語はわかりやすいですし、みごとな情景描写、衝撃的な展開もあってサクサク読めると思います。
読んだ後優しい気持ちになれそうな小説です。レビューの中には人生観変わった!という人までいるので、興味があればぜひ。
以上「The Hundred Secret Senses」でした。
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